2021.Y展作品「名にしおへば…」連落三首

コロナ禍での所属会派の関西展覧会出品でした。全長縦に和歌2首大字かな散らし。
西行二首でいずれも私家集『山家集』からあまり知られていない歌で5月に合いそうなものを選びました。1首目は「風」から始まる序章とし、川沿いの会場でしたので2首目「水わくる難波堀江」で墨を出して強調。最後「五月雨のころ」でまた墨継ぎし、全体を引き締めました。1首目の小さな集団が下方位置にあるのに対し、2首目の大きな集団が上に上がるという散らしの大字版です。二六版では横幅が足りないと思われますので、全長幅70にして正解だったかと思います。2首目の行数が多いので墨の出し方に差をつけるのが難しかったです。

①風をのみ花なきやどはまちまちて
いづみのすをまたむすぶかな
②水わくる難波ほりえのなかりせば
いかにかせまし五月雨のころ
某書道教育研究会の教員書道展に
作品提供を行いました。
明治期の俳句ですが、某区のゆかり
ある作家•夏目漱石と、正岡子規による
同じテーマ句である「菜の花」を題材に…
半切1/2縦型を対聯にする形式にてお届けしました。指定ナシでしたが、軸装は緑で春らしく感性と一致。

右(黄色)…「菜のはなの なかにいなりの鳥居かな」(子規句)
左(ピンク)…「菜の花の 中に小川の うねり哉」(漱石句)

繰り返される同一文字をいかに避けるかに挑戦しました。会派•社中作品ではないので、作品提供としての位置づけです。