『田うなぎ様』(伍ノ巻)
息を切らせながらアミを持って駆けつけた母親は、アミを子どもに渡すと、携帯電話で時間を確認しました。
少し走れば何とかなる……かな?
母『早く捕らないと授業が始まっちゃう』
子『わかってる!スグに捕まえるよ!!』
その場でウネウネとしているだけの田うなぎを捕まえるのなんて簡単だ!
と思っていた男の子。
アミをそっと近づけた瞬間、田うなぎはヒョイと物陰に隠れます。
右に左にもう少しで捕まえられるのに、紙一重ですり抜ける田うなぎ……
このままじゃ遅刻しちゃうよ…
……
そうだ!
きっとパパなら捕まえることができる。
子『ママ!電話でパパ呼んで!!』
母親は家で仕事に行く準備をしている父親に電話をかけ、事情を説明した。
父親は時計をみて、返事をした。
父『後5分で仕事に行く準備ができるから、支度が整ったらそっちに行くよ!』
そう言って勢いよく電話を切ると、急いで準備にとりかかった。
一方、母親はもう1分すら余裕が無いことを知っていたので、
母『後はパパに任せて、急いで学校に行くわよ!ほら、走って!!』
子『だめだよ!誰かが見張っていないと、田うなぎ逃げちゃうよ!!』
そんな話が聞こえたかどうか解らないが、田うなぎはニョロニョロと移動し始めました。
……
その時、
(六ノ巻に続く)