アダムとイヴは、それを食べてしまったことで楽園を追放された。
今、あたしは真っ赤なその皮をむいている。
「りんご、切ったよ。食べる?」
「おっ、サンキュー」
ガラスの器を片手に、あたしは彼のいる毛布の中に入り込んだ。
素肌に触れる毛布のくすぐったい感触と、彼のぬくもりが心地よい。
デザートフォークでりんごを一切れ、そっと突き刺し、口に運ぶ。
「うまいな」
「うん。甘酸っぱいね」
幸せなひととき。
だけど、なぜだか少し、不安なの。
あたしたちのしていることが、いつかは終わってしまうんじゃないかって。
深く考えることは、罪ね。
知恵のりんごを食べて追放されてしまった、アダムとイヴみたいに。
純粋に、目の前にあるものだけを見つめるのは、なんて難しいの。