今思えば
私達夫婦は距離が近くなり過ぎたのだと思う
いつの間にか
お互いの境界線を飛び越えてしまっていた
夫は子供が生まれて
何年かした辺りから
私の前で不機嫌を隠す事もなく
感謝の言葉も口にしないのが当たり前になっていた
いつしか夫にとって
私は気を遣わなくて良い存在になったのだろう
喧嘩をすれば
「クソ女!」と怒鳴る夫
すかさず
「うるさい、クソ男!」と応戦した私
親しき仲にも礼儀あり…は
私達夫婦の辞書にはなかった
だからこそ
駄目だったのだと今になってわかる
ごめんを言わなくても
成り立つ関係
まるで何事もなかったかのように…
その繰り返し
それは信頼関係があったから?
それも少し違う気がする
今思えば、お互いがお互いを
自分の所有物と思い込み
自分の延長線上にいる人…とでも思っていたのかもしれない
何を言っても、しても許される関係など
本当はどこにもない
不倫発覚からは
夫はさらに酷い言葉を吐いた
自分の罪を正当化する為に
どんな言葉でも使って
私の心を抉った
その度に
ドクドクと血が滴り落ちた
私にはもう言い返す力は
残っていない
今も私は
血を流しながら生きている
これは
現在夫が好きであるとか否に関係なく
一生止まる事はないだろう
今は思う
夫婦は他人でいる内が花なのだと…
気遣いがなくなったらお終い
夫婦だからこそ
ある程度の距離感を保っていないといけないのだと…
それは
今ここまで夫婦の距離が遠くなって
もはや他人になってこそ
やっと気づけた事だ