ボディビルショーのバッグステージは、

常に人が出入りしていて落ち着かない。




ファイナルを前に、

勝負を諦めたプロフィジークの選手や

ショーのスポンサーと思しき人たち

カラーリングなどをお手伝いしてくれた

ボランティアスタッフなどが

最後の機会とばかりに、

写真を撮ってくれとやってくる。




パンプアップをしてようが、

イメージトレーニングをしてようが

お構いなしだ。




それにヒデは常に笑顔で応じる。




一度ヒデに、

「ウザくないの?」って聞いたことがある。



「そりゃ、人が命がけでやってるのに

って思うこともあるよ。」


 

でもそこはプロだから!



そして口には出さないが

日本の第一人者、日本の代表、

レジェンドとして、

ヒデは、常に行動しているのだ。





この日、フレックスは、

珍しく、機嫌が悪かった。



カラーリングを撮影していたメディア達を

「集中できないから、外してくれ」と

追い払った。




フレックスが焦っていると思うと

ほくそ笑まずにはいられない私だったが

「ボディビルは常に自分との闘い」

と言い放つヒデにはこの気持ちを内緒にした。



そして厳かに、

アジアグランプリファイナルが始まった。