BETTAKO -其の124- | 熱血店主のスクラムな毎日

熱血店主のスクラムな毎日

ラグビってる一姫二太郎3児の父っす。
創業昭和56年池袋の東口で営み続けてきた
BETTAKO、2018年JR埼京線板橋駅徒歩2分ほどで
古家を改築再び頑張らせてもらう事になりました。

徳之島と与論島の間に浮かぶ、周囲55.8kmの

島がある。空港から84号線を知名方面に進路を

進むと、黒糖焼酎を醸す素朴な酒造会社、

新納酒造株式会社に出会う形となる。


蒸溜所は更に620号線進み、屋小母→徳時→住吉を

通り過ぎ、鹿児島県は大島郡知名町田皆、

東京からは、約1,944kmの距離に蒸溜所がある。

銘柄名称「天下一」。

個人的な見解ではあるが、黒糖有名三羽烏の
朝日や龍宮、長雲といった、要はdancyu銘柄を
凌ぐトップクラスのポテンシャルを秘める
銘柄を今回BETTAKOラボで解析をしてみた。
注:あくまで個人的主観。

 

瓶蓋を開け、生(ストレート)で味わってみた。
喜界島から与論島まで、5つの島々で醸される
黒糖焼酎は、島によって風味が異なる。
えらぶとも違い、稲乃露とも違う素朴な味わい
ながら、しっかりと黒糖の風味が凝縮された
天下一は、麹の旨味も黒糖を邪魔する事なく、
織り込まれている銘酒と印象を覚えた。

【ストレート時の分析結果】
Ama+3.933.0mm) Krb+3.72(2.9mm) At:a+3.69(3.5mm)

 

本土の芋焼酎や麦焼酎、球磨焼酎とは異なり、

この銘柄の旨味を引き出す、湯割りの術を

少し思考の時間を設けてみた。

水質の異なる水を4種類の用意し、パターンの違う
工程を複数回試みてみた。
湯温と割り合は、これまた数ミリ単位で調整しつつ
この銘柄が持つ物語の未知のあらすじを描いてみる。
この蔵、新納酒造は黒糖を2度掛け合わし醸す。
それゆえに、甘味と風味とのバランスをどの
タイミングで均一にするかを探るポイントを、
微調整を重ねギリギリのラインを探ってゆく。
pHの値が高い水脈の相性は、個人的には不向き。

【お湯割り時の分析結果】
K1Ama+3.86=82s(4.5mm) Krb+4.22=62s(4.5mm) Atb+3.95=66s(4.5mm)
NAma+4.1=87s(4.6mm) Kra+4.2=103s(4.8mm) Atb+3.87=121s(3.96mm)
OAmb+4.6=92s(4.0mm) Kra+4.2=79s(4.5mm) At:a+4.21=172s(3.6mm)
K2 :Am:a-4.1=97s(4.1mm) Kr:b+4.0=84s(4.3mm) Atb-4.5=154s(3.9mm)
Best N125s(4.35mm=b+40.32)

 

氷を用いてロックで試みた。
毎回同様、厚みと材質の異なるグラスを2種類
用意し、氷のキューブ面積は一定、氷の個数と
解溶時間を考慮し、ロックの深みを探る。
ロックの場合、その素材の甘味を引き出す方法は、
銘柄ごとに溶解の際に生じる回流がポイント。

【ロック時の分析結果】
Am:a-3k(105s=4.5mm) Kr:b+2.5k(113s=3.8mm) Atb+2.5k(161s=3.9mm) 

Best 2.5k(124s=4.12mm)

 

次は水割りを試みてみた。
水割りの場合、旨味と後味を均一にする必中の、
ポイントがある。それは銘柄の旨味を引き出すのに
左右されることが多い為、最も重要性が高い。
今回は、色々と試したいことも多かったので、
異なる5種のお水を使用して解析してみた。
作業で試してみた。

【水割り時の分析結果】
K1Am:b-m44.5%=(4.5mm) Kr:b+m53%=(4.0mm) At:a-m60.5%(4.8mm)
N:Am:a+m53.5%=(4.7mm) Kra-m56%=(4.5mm) At:b+m60%=(4.85mm)
O:Am:a+m64%=(4.55mm) Krb+m61%=(4.78mm) Ata-m49%=(4.45mm)
K2:Amb-m60.5%=(4.24mm) Kr:c-m66%=(4.8mm) Ata-m58.5%=(4.66mm)
M2:Am:a++m64.5%=(4.50mm) Krb+m65.0%=(4.90mm) Ata-m59.5%=(5.05mm)
Best M2m60.5-63.5%=a+(4.95mm)

沖永良部名産 黒糖焼酎天下一最後の分析燗つけ。
単に温めるだけが、燗付けではない。
蔵元が仕上げた銘柄のポテンシャルを図る際、
全ての答えが、燗つけに凝縮される。
どんな素材を用いても、そのメッキは必ず綻び
剥がれ落ちる。その一瞬を見極めるのが
燗つけである。

今回の酒器は2種類、異なる水質を4種を使用し、
割合・温度・タイミングを見計らい、沖永良部島で
造られた、この天下一の性格とポテンシャルを、
酒器で拾い上げてみた。

【燗付け時の分析結果】
K1Am:c+m54.5%=(4.80mm) Kr:b-m55.4%=(4.55mm) At:b+m60.5%(4.77mm)
N:Am:a-m64.5%=(4.95mm) Kr:b-m58.8%=(4.70mm) At:a+m64.5%=(5.15mm)
O:Am:a-m62.5%=(4.95mm) Krb-m55.8%=(5.05mm) Ata+m58.5%=(4.76mm)
M2/O:Am:a++m67.5%=(5.12mm) Krb+m60.5%=(4.95mm) Ata-m67.6%=(5.25mm)
Best M2/O m63.5-67.5%=a+(5.10mm)

今回、この天下一という銘柄を解析と分析を
繰り返すたびに、驚かせられ、久々に笑みが
こぼれた銘柄でした。
温める事に躊躇しやすい黒糖焼酎ですが、
この天下一は、程よく温める事によって、冒頭でも
記述したdancyu銘柄の三羽烏、
朝日・龍宮・長雲を超える程の旨味を秘めた
ポテンシャル持ちの銘柄でした。

今回、沖永良部島の焼酎を分析しましたが、
その他、徳之島の奄美や、あじゃ、与論島の
有泉など、鹿児島本土から、遠路離れた島々の
焼酎は、まだまだ都会に染まってない、だからこそ
素朴な味わいが旨味に変わるのかもしれません。

だが、それを引き出せる人が居ない…のも現状。
ただ単に嗜めば、味の異なる焼酎の感想。
その銘柄に見合った仕事をすれば、驚きの感想に
変わるのが焼酎です。
普段、晩酌で飲まる焼酎を、さらにワンランク上で
嗜みたい際は、カウンター越しにて遠慮なく
お聞きください。それが私の、もう1つの
仕事ですから。