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わたしが旅にでる理由 the reason I travel

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タイトルの通り
わたしはヒッピーにはなれない
これもまたこの旅において得た意味のある気づきであったと言える

タイは仏教の国である
信心深い国民が多く住むこの国に
悟りを開きにくる欧米人も少なくない
精神を開いて見えない世界を体験するために
この世の淵が見えてしまったものが
本能的に求めるのがその向こう側の世界、もしくはその境目の世界だ
悟りを開き、精神を新しいレベルに到達させる事への憧れ
噂によるとそれは叶うものと叶わないものがいるのだという

ヒッピー達は大抵
激安バッパーに泊まり
バッグパックひとつで愛と平和を求め世界中を渡り歩く
そう、ヒッピーになりたければ安宿の汚さやおかしな匂いのする水での歯磨きというミッションをクリアしなくてはいけない

わたしは今回チェンマイに滞在する際、ホテルを二箇所予約した
一箇所目は一泊300円の安宿、
二箇所目は一泊900円の宿だ
今考えれば900円の宿でも十分安いのだけれど予約するときには激安宿への挑戦に胸が高鳴り、その安さの代償の大きさの事などこれっぽっちも想像出来ていなかった…
この詰めの甘さにのちのち苦しめられる事になるとはつゆしらず…

一箇所目の宿には3泊する予定だった
エントランスは問題なし
フロントのお姉さんも感じが良く可愛いし、無料のコーヒーや鍵の使い方なども丁寧に説明してくれた
部屋は、うん、汚い、が、まあ、という感じ
イケなくは、ない

カナダでの激安アパート生活を1年経験した私はちょっとやそっとの事ではめげない
最初は嗚咽しそうな思いで歯を磨き、黄ばんだ浴槽が見えぬよう目を細めてシャワーを浴びていても3日もすれば人間は慣れてしまう事を私は知っている
住めば都とはまさにこの事

さて、1番重要なシャワールームのチェックだ
その古びたドアから既に嫌な予感はしていたのだが意を決して開けてみる
…何かが動いた!!!
シャワーヘッドのすぐ横をヤモリが素早く駆け抜けた
壁に張り付いていながらにして手足が動きスピーディに走るその奇妙な姿

もちろん
タイにヤモリが出る事は知っていた
可愛いんだろうな〜、くらいに高をくくっていた私がばかだったとしか言いようがない
ヤモリが出る場所で裸になるわけにはいかないと瞬時に思った
別にヤモリに裸を見られたくないだとか、男として意識しているだとかいう訳では決してない

昔からわたしは変な妄想の癖があった
芋虫や毛虫を見るとそれが口に入ったらと想像してしまうなんとも気持ち悪い最悪の妄想癖だ
大人になり治りかけていたこの癖がここ、タイ、チェンマイで再発してしまった以上、わたしはヤモリとシャワーを浴びる事など、まかり間違っても出来ないと思った
いや確信した

そうなると話は早い
次の宿を2日早くチェックイン出来るよう予約し直し、シャワーを浴びるのは諦めフリーワイファイの24時間営業カフェに逃げ込んだ
ヒッピーに近づくべくして挑んだ安宿宿泊に見事挫折し、
そろそろ日本が恋しくなりはじめていた私は抹茶ラテを注文
ワイファイは使えるかと入店時に確認したのにも関わらずワイファイのパスワードはいりますか?と聞いてきた天然タイボーイ(ピュアなハニカミ屋さん)
イエスプリーズとジャパニーズスマイルをかますと
ダヨネダヨネ〜と言わんばかりの満面のタイスマイルのお返しをいただいた
滞在中の行きつけカフェが決まった瞬間だった

オーダーした抹茶ラテをタイボーイから受け取り席に着く
ふとカップに目をやると
“Wake up” の文字
日本好きのオーナーなのかカタカナでも“ウェイクアップ”と表記があった

目覚めよ…

なにかザワザワとその文字が私に語りかけている気がした

果たしてわたしはこの旅で
精神世界をウェイクアップさせることが出来るのだろうか
安宿に試された夜、悟りが開ける予感が静かに、しかし確実に私に近づいてきているのを感じた