1960年代の日本においてレトルトパウチ食品の普及が始まると、ワラビ、ゼンマイ、ナメコ、キクラゲ、タケノコといった数種の山菜をカットして水煮し、パック詰めした「山菜水煮」、「山菜ミックス」などと呼ばれる加工食品が出現した。これらは調理の手間がかからず野菜の風味を加えることができる上、季節を問わず入手できるため、外食産業に急速に普及した。
蕎麦やうどん店においては、山菜水煮を振りかけるだけで作れる「山菜そば」「山菜うどん」がまたたく間にメニューの定番となり、特に簡素な立ち食いそば・うどん店で大いに重宝された。
また、喫茶店やデパート大食堂のような大衆向け外食においても、山菜水煮を用いた「山菜ピラフ」「山菜スパゲッティ」といった和洋混淆の珍奇な料理が次々と開発され、人気を博した。
家庭向けにおいても、山菜水煮を用いた「おこわの素」「炊き込みご飯の素」が販売され、急速に普及しつつあった炊飯器に混ぜて炊くだけという簡便さが人気を博した。
平成期以後は、生鮮野菜が流通して風味野菜としての価値が薄れた上、肉食文化の普及により山菜類が一般的に好まれなくなったことから、山菜水煮の需要は減退の一途をたどることとなった。