さて、

我が家の窓際食堂の開店時間前から日暮期まで窓際を陣取る様になったサビ柄猫のお嬢、

かつて餌付けされたお隣の庭には目もくれず、他の姉妹たちとは別行動で

雨の日も風の日も、我が窓際食堂でじっと物憂げに固まっているのです。

 

 

出会った頃はガリガリに痩せていて、毛艶もマットな質感で全くよろしく無かったのですが

少しずつ、ふわふわ感も出てきたかなと。

ご近所さんたちからご飯をもらっていたにも関わらず、一番痩せていたのがこの子でした。

 

 

 

 

それにしても、べっぴんちゃんですやんか。

器量よしで、性格も奥ゆかしい子です。

そしておしゃべりが大好きな子でした。

 

随分とおじいさんに可愛がられておったのでしょう。

姉妹は恐らく3匹で、みんなナデナデ大好きで人懐っこいんですよ。

サビ柄二姉妹ともう1匹はうっすら縞模様のグレーのお猫でこの子は万人ウケする器量良しなのですぐに新しい保護者をゲットしました。

 

出入り自由なので、しょっちゅう姉妹猫や親猫とつるんでいます。

 

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10月も半ばを過ぎて、そろそろ秋の長雨が始まり出した頃

毎日毎日うちの窓際食堂で寂しそうに待っている、そう、窓が開いて自分が入れる瞬間を待ち侘びていたサビ猫サビーヌ(安易な名前ですけれども、サビ猫はとりあえず全員これで)

夜だけは、諦めて姉妹のいる隠れ家に戻っていた様です。

彼女の健気さは、自分はお腹がいっぱいでも教会裏のお猫食堂の皿が空っぽになったら

ワタクシたちにミャオミャオと訴えかけてきて、自分の仲間たちのごはんを懇願するんですよ。

足元に絡みついてきて、一緒によく歩きましたものでござんす。

 

ある時は、ワタクシの友が飼っておる鶏に野菜クズなどいわゆるコンポストを持っていく時にも、このサビーヌはまるで子犬のように一緒にどこまでもくっついて来るのですよ。

そして車が通る通りでは、非常に用心深く、しかしワタクシにピッタリと歩幅を合わせて散歩してくれたりしました。

言葉は全部解していて、うちの黒もふと会った時のことを彷彿させましたよ。

 

やれやれ

 

 

そのうち、毎朝窓際で彼女が待っているとホッとするようになった自分がいました。

(今日も無事で生きていてくれてたってことですし、当時はまだ寒くなかったので)

 

彼女は、既にバルちゃんの時同様に4匹目の我が家の家族になっていたのです。

ただ、バルちゃんと違うのは

彼女は明らかに、窓際食堂の通い猫ではなく、外猫を卒業したいという明確な意思表示をしていたことですよ。

黒モフですら、ここまでの窓をカリカリするやうなアピールはしませんでした。

 

何が彼女をそうさせたのか分かりませんが、本当に切々と必死でした。

 

 
 

 

 

写真撮る暇があったらおうちに入れてよ

 
 

 

朝は6時からご出勤されてこちらの気配を感じるや否や、

窓をカリカリ。

 

そして食後は窓際のサビーヌになるわけです。

 

 

ご近所のお猫の世話を請け負ってくれている人の中には、保護団体に連絡する際に役場にも相談しなければならないんですけど、村長が猫嫌いなので猫を処分する方向に話を持っていかれると(ホンマかどうか知りませんが)嫌だからと反対する人もいて

意見がまとまらず、この子たちの将来についてどうしてあげられるのか悶々としたまま

サビちゃんとの根比べは2週間弱続きましたが、

我が家に入り浸るサビーヌに関しては我々の判断で

まずはダメ元でオットがSNSでこのお嬢を引き取ってくれる保護主を募ることにしました。

期待してなかったんですけど

なんと、すぐに共通の友人が手を挙げてくれたんですよ。

翌日にやって来ると意気揚々としたメッセージが送られてびっくりしましたがな。

 

 

が、

その人、SNSを見たのは週末のアペロの真っ最中やったんです。

コンタクトしてきたのは引き受けるつもりの人の友人(ややこしい説明やわ)

もちろん、引き取りたいと言っている本人のお家で(相性的に)難しいと判断したらコンタクトしてきた友人が面倒を見るわ!と具体的にしっかりした話をされておったので

薄めに希望は持ってもいいかな、と思いたかった感じですわ。

 

 

というのも引き取るつもりらしい女性は、

まあ、ワタクシその彼女はかれこれ20年近く知ってるんですけど、

だからこそ、これは無いな。

という悲しいけれど確信がありましたんよ。

 

彼女は、酒が入っていようがいるまいが、何か楽しい計画話が盛り上がった翌日は絶対ひっくり返してしまう常習犯なんですよ。

それはオットも心得ておりますんで、

もしかしたら、今回は違うかも知れへんし、彼女を宛にする気はなくとも

一応バックアップ案があるからそれを申し出てくれた友人の方にだけ期待をしてみることにしました。

その方もお猫を飼っているので、手放しで喜ぶのは本当に引き取ってもらってこちら共々

お互い様子を見てからやなと思っとりましたけれども

 

ワタクシ、サビーヌを厄介払いしたくて貰い手を探した訳と違いますから。

彼女がワタクシたちに意思表示を見せたからこそ、親身になってこの先を考えてやらねばならぬ、と思っての行動です。

 

 

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果たして

翌日になって、やはり予想通りの展開になりました。

近しい人に猫アレルギーがいるからダメですって(今更どんな言い訳やねん)

ちょっと気が大きくなって友人と浮かれてついあんな展開になりましたごめんなさい。

だそうで。

その友人も、酔いが覚めたら熱意も冷めたらしく、完全に予想通りの展開過ぎて。。

(こいつら責めたところでサビーヌがシヤワセになるわけではござらぬからね)

 

しかし

ぶっちゃけると、こういう人たちの元へお猫が引き取られなくて良かったんですよ。

その先どんな目に遭ってたか分かりません。

貰われていく前に、ある意味捨てられてしまいましたけれども

引き渡す前で善かったんですよ。

そうそう何回も捨てられてたまるかいな。

 

 

 

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うずが呪いをかけておきます。

 

 

 

あっさりと振り出しに戻って

お嬢の保護者探し活動が再び始まりました。

 

天気予報はしばらく雨が続き気温が本格的に下がるという

そんなタイミングの雷雨の朝のことです。

冷たい豪雨が降り頻る中、震えながらサビーヌは窓際から離れる気配がありませんの。

 

おばちゃんは、なんや心が折れそうになって、意を決しました。

 

朝のコーヒーを淹れに来たオットに窓際嬢の様子を見せて眼圧をかけるの図。

 

オットは、

入れてあげたら?

と言いました。

 

彼も切なかったんやろう思います。

多分、そのまま(一時的に)家の中に入れてもええよ、くらいの感じでしたが

ワタクシは既に黒モフでいろんなことをシュミレーション〜実践済みやったので

すぐさま

サビーヌをガレージのあるドアに誘いました。

黒モフ同様に、彼女は何の疑いもなくおばはんの後についてすぐに中に入り

ガレージ、地下セラーを探検し始めました。

かつての黒モフのVIPルームは、何となく雰囲気はそのまま残しておりましたんで(片付けなはれ)

案内したものの、お嬢はガレージを選んだ模様で

テラスの対岸からうちのリビングルームが見えるんですが、ガラスのドア越しに身を乗り出して見ているごはんさんとうず坊を見て、それ以上近づくことはありませんでした。

パターン的には、このドアをカリカリして入れてちょうだいアピールするかな?

とか思ったんですけど、それはありませんでした。

 

 

 

さて

この賢いサビ猫嬢、しばらくガレージ(実際には物置化しておりましてですけど)を探索して、ワタクシがこしらえた簡易ベッド(木箱にワタクシの古着のダウンジャケットを入れたもの)に収まって、安心したのか丸一日熟睡しておりましたでございます。

 

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ご飯もよく食べて、そして彼女専用のお手洗いは見事にきちんと使ってくれておりました。

冷えたらあきませんから、元黒モフVIPルームから持ってきた緩衝材を敷いて大きめのバスタオルを重ねたところに食事用スペースを作り湯たんぽ(これも黒モフのお下がり)で万全の体制が完備出来ました。

 

お嬢は人にたいそう慣れた仔なので、湿った体も十分ドライシャンプーで拭いてあげられましたし、

これまたうちのストックからストロングホールドプラス(これ一つでフィラリア予防、ノミ(虫卵、幼虫、成虫)、回虫、鉤虫、ミミヒゼンダニの駆除に加えてマダニも駆除できる駆虫薬じゃ)

を塗布して保護猫への道のりステップワンが3分で完了。

24時間したらとりあえず万が一うちのお猫たちを接触しても寄生虫やノミなどの感染は防げるというわけざます。

 

うちで引き取るのは困難ですけど、とりあえず出来ることは臆すること無くしてあげたい。

雨が降っておる間は、うちのお公家猫兄弟はテラスに出しませんし、

黒モフはこの子達のいる界隈もお散歩圏内で顔見知りですし、彼はワクチンも済ませておるので多少すれ違ってもあまり心配はおまへん。

黒モフの保護時同様に、最初の1日はひたすら眠って心身を休めていたサビーヌ(外生活の過酷化さよ)

何度も様子を見に行く度に、喜んで起きてまとわりついてきました。

彼女をうんとナデナデして、お腹いっぱいご飯をあげて、たくさん話しかけました。

この日まで諦めずに粘り強くがんばりましたよ、サビーヌ。

彼女は、人と暮らしたいということが確信できました。

甘えっ子で空気を完全に読めるタイプで手のかからない難易度ゼロのお猫です。

 

雨が止むまでの数日の間になんとかこのお嬢の身の振り方を考えようと思いましたん。

 

 

少なくとも

金輪際、窓際食堂で待ちぼうけることは、もうないんです。

この仔はシヤワセを掴む大勝負に出ましたよ。

 

 

長くなったので、

また続きます。