残り、短篇集2冊。
「 これが最後の仕事になる 」 編:講談社
「 最初の1行は 全員一緒 」の ショートショート・シリーズ、第3弾。
著者24人による 全24作品、「 メフィスト賞 」作家 多め。
“最初の1行” は 本書タイトル「 これが最後の… 」です。
第1弾『 黒猫を飼い始めた 』は「 ミステリー 」「 エンタメ 」と好みの作品が多くて 面白かったですね。
第2弾『 嘘をついたのは、初めてだった 』は 悪くなかったけど「 ドラマ系 」多めで 少々ガッカリ。
今回も 著者のラインナップが「 ミステリー寄り 」で 期待が
高かったんですが 前回と同じような「 ジャンル配分 」でした。
ですが「 すごく好み 」、「 エグい 」作品と 深く刺さる作品があったので 満足感は 結構 ありましたね。
「 存在の耐えられない軽さ 」 小川哲
「 系外惑星 探査プロジェクト 」に参加した「 読書好き 」の私の話。
小川哲は 前に読んだ「 短篇 」と『 君のクイズ 』が 面白かったんで 期待してたんですが、コレも良かったですね。
「 孤独 」で ちょっぴり切なくも あるんだけど「 広い世界 」が
( 宇宙だけでなく、大量の本としても )に希望に満ちて見え、
読後感は 意外と 晴れやか( 軽やか と言うべき? )。
「 二重螺旋の虚夢 」 五十嵐律人
客に騙された ホストが 妙な仕事をヤラされて……みたいな話。
オチが弱い( もっと いい方法がある )ような…。
もっと 深く信じ込ませても よかったかも。
「 親友 」 秋吉里香子
ケーキ屋で働く 学生の私の「 最後 」の仕事。
バイトの 同じ学校の智子は なぜか よそよそしくて……。
「 社会派・青春ドラマ 」で ちょっとした「 ミステリー 」要素も あったり。
「 半分では足りない 」 呉勝浩
「 双子の兄弟 」の会話劇。
違和感を感じながら 読み終えて「 最後の指示に従い 」もう一度 読んで、その意図がわかって ニンマリ & 感心。
( コレは “必ず2回読む” 作品なのだ )
ちょっと前に読んだヤツの アレと 奇しくも同じではあったけど、凝っていて 面白かったです。
呉勝浩 作品( 長篇 )も 一冊くらいは 読みたいんだよな…。
いまのところ『 爆弾 』を予定してるけど いつになることやら。
「 疎開 」 宮内悠介
疎開の準備を進める 下宿屋の女性と ひとり 残った 店子の男性による「 戦争 」話。
「 暴力 」よりも「 創作 」をしろ、といったところかな。
「 教壇にて 」 河村拓哉
中学校の男性教師の最後の授業。
数年前の “あの状況” が出て来て 虚を突かれ、さらに 何かあるのかと 思ったら そのまま 尻すぼみ気味に 終了。
「 教師のエピソード 」との 噛み合わせも よくなくて、後味の悪さだけが残ったような…。
「 アイドル卒業 」 桃野雑派
タイトル通り「 アイドルもの 」で、かつ「 家族もの 」。
「 偶像 」として「 しのぎを削る アイドル業界 」、
そして「 ファン 」( の語源は fanatic = 狂信者 みたい )。
…と、よくある話かと思いきや「 意外性 」があったし、
結末も 良かったですね。
「 悪魔との契約 」 須藤古都離
20歳前に「 悪魔と契約したから 33歳で自殺する 」と
インタビューで答えた デスメタル・バンドの グレッグ。
グレッグが33歳を迎える前日のライブが終わり……。
『 ゴリラ裁判の日 』の人。
こちらも ショートショートらしい「 話 」だったし、
「 オチ 」の爆発力も あったりと 好きな作品です。
「 ハイリスク・ハイリターン 」 方丈貴恵
「 探偵事務所 」に入ってから 仕事を まったくしていない
獄潰( ごくつぶし )。
彼は クビと 多額の報酬を掛けた「 最後の仕事 」として 事務所の「地下」で、謎の生物が出す「 謎かけ 」に挑むことに。
「 ~ 六本足を 殺したのは だあれ?~ 理由は なあに? 」
( 実際は もっと長い )
その「 謎かけ 」に 正解できなければ 文字通り「 消滅 」させられるというが……。
予想外の設定( ネタバレしちゃった )、
しかも「 本格 」要素も あったりと 好みの内容でした。
さすがに「 犯人ドンピシャ 」とは いかないものの(?)
「 伏線 」も しっかりあったので 納得感もありましたね。
本書で 一番 面白かったです。
「 事故をつくる男 」 白井智之
アタリ屋の男は 運よく 金持ち男の車に 轢かれて……という
ような話。
ショートショートらしい 話で「 オチ 」も 悪くなかったけど
「 エログロ 」は “ナシ” なので 物足りなさも。
「 神の冤罪 」 潮谷験
あらゆる哺乳類に対応した「 人工子宮 」の開発に成功。
その思想から 何度か「 テロ行為 」を行っていた男は、警備の
手薄な、ある人工子宮に関係する施設の爆破を企てるが……。
先が読めない感じで 面白く読めた作品。
SF設定と 落差のある 人間味らしい「オチ」が浅くて 深い。
「 海月祭( くらげ まつり )をもう一度 」 多崎礼
「 浮遊石 」の屑で出来た土を使って生み出される 雲海月
( くも くらげ )。
村では 最後の「 海月祭 」が行われ……。
幻想的な「 祭 」、「 戦争 」と「 奪われた青春 」の話。
好みの話じゃないけど「 戦争 」と「 祭 」の対比、
「 想い 」の心情描写が 上手くて スルッと読めました。
「 最後の告知 」 真下みこと
「 路上キス 」により ライブ・アイドルグループから「 卒業 」する事となった さとみん。
彼女の「 推し 」である 僕は さとみんの 最後のインスタ配信を見守るが……。
ある種の「 優しさ 」の表れか、と思いきや スゲー俗っぽく、
「 金の流れ 」の構造が やるせなかったりと「 夢 」の カケラもない シビアな現実の話でした。
駐在所の警察官の話。
「 いい思い出だ 」で 締めちゃう “軽さ” に「 頼もしさ 」と
「 怖さ 」を感じた作品。
という事で、個人的に「 エンタメ系 」?で オススメなのが
『 ハイリスク・ハイリターン 』( 一応「 本格 」)
『 ~ ペットショップという名の地獄 』(「 残酷 」系 )
『 半分では足りない 』( トリッキー系? )
あと『 魔法少女ミラクルミルキー 』も挙げとくか。
「 ドラマ系 」では
『 存在の耐えられない軽さ 』、『 まだ間に合うよ 』
あたりかな。
今回も 何だかんだ 面白く読めたけど『 第1弾 』が “良すぎた” ので 強く オススメとは言えない感じです。
「 未収録作品 」を集めた 中篇・短篇集、全5編。
各作品の最初に「 執筆の経緯 」みたいのがあります。
「 赤マント 」
『 人形館の殺人 』の 架場久茂( かけば ひさしげ )と
道沢希早子( みちざわ きさこ )が 主人公の ミステリー作品。
「 短編連作 」の目論みがあったらしい。
ちなみに 2人とも まったく記憶にないです。
タイトルから 陰惨なのを期待したけど「 人が死なない 」系
で 少しガッカリ…。
本人が書いていた通り “ごく普通” の内容なのかな。
というか アレって『 鳴風荘事件 殺人方程式Ⅱ 』の…だよね。
「 崩壊の前日 」
白茶けた地面で 集めた「 石ころ 」を「 紫色の空間 」に投げる「 夢 」。
わたしが すっかり雪景色になっている外を 彼女と歩いていと、ポケットに重さを感じ……。
ちょいちょい ユーモラスなところがあった『 深泥丘奇談 』
シリーズと違い、全編シリアス調な「 幻想譚 」。
短編『 バースデー・プレゼント 』の 姉妹編の つもりで書いたとのこと。
後半 繰り返される「 石投げ 」と “由依”( いろいろな作品で出て来る 女性の名前 )の「 問いかけ 」は 雰囲気ありました。
「 洗礼 」
作家の僕の 元に届いた U君からの手紙と「 洗礼 」という
タイトルが記された「 ノート 」。
「 洗礼 」は「 K大学 推理小説 研究会 」所属の ぼくが 皆に
「 犯人当て 」の問題を出す内容の ミステリー小説で……。
作中作の「 入れ子構造 」になっている作品。
ちなみに「 洗礼 」で 皆に出される 犯人当てミステリー小説、
『 YZの悲劇 』は「 ダイイングメッセージ もの 」です。
てっきり「 入れ子構造 」に 何かあるんだと 思っていたんだけど、何もなし。
まあ、「 あとがき 」を読む前から 追悼なんだと 気付いたので
ガッカリはしませんでしたけどね。
あ、けれど アレが またしても『 鳴風荘事件 』のヤツで そこは
ちょっと気になりました。
「 蒼白い女 」
編集者と入った 喫茶店で “顔が蒼白い女” を見かけ……
という怪奇譚。
幻想怪奇譚『 深泥丘奇談 』の番外編みたいです。
一回 ハズしてからの流れが 良かったし、怪談めいた「 オチ 」も キマっていて 面白かったですね。
「 人間じゃない ‐ B〇四号室の患者 ‐ 」
『 綾辻行人 ミステリ作家徹底解剖 』に収録された、綾辻が
原作を提供した 児嶋都の漫画『 人間じゃない 』を 小説化。
精神科に入院している患者、山路悟が 後任の医師に「 自身が描いた絵 」と その「 絵 」出来事があった事件を語る……。
みたいな「 ホラー系・本格ミステリー 」。
漫画の方が「 漫画だから成り立つ仕掛け 」だったようで 楽しみにしていたんですが、ちょっと期待し過ぎでしたね。
それでも「 面白い仕掛け 」ではあったので 面白くは 読めたのかな。
という事で、それなりに 面白く読めたものの コレといった作品がないため オススメ度は 低めかな。
でも「 幻想怪奇 」として『 崩壊の前日』『 蒼白い女 』は
軽く ススメときます。
これで ほぼ、綾辻行人 作品は 読んだと思っていたんだけど、
『 フリークス 』を読んだ記憶が アルような ナイような…。
「 3編のあらすじ 」を 読んだけど ピンと来なかったので 読んでないのかも。
折を見て そっちも読んでみるか。