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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

 

初めに 関係ないヤツ。

 

 

西澤保彦、亡くなったってね。

やっぱり ガンは 多いな…。

 

 

『 君のクイズ 』が映画化。

好きな作品だけど、映像化は はたして…

 

小説の方は 短めなので オススメですよ。

 

 

最近「 ホラー小説 」が増えましたね。

 

( それらとは 別に 面白そうな本が たくさん出ている… )

 

意外と「 ミステリー要素 」もあるし、図書館にも 結構 入っているので アレコレ 読んでみる予定。

 

…なんだけど、時間の方が…

 

 

という事で 本題。

 

 

今月 読んだのは…

 

 

本格ミステリー

 「 十戒 」  夕木春央

 

 

特殊設定・本格ミステリー

 「 パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件 」  南海遊

 

 

ノンフィクション

 「 死の貝 日本住血吸虫症との闘い 」  小林照幸

 

 

の3冊。

 

 

読む量としては このくらい( 3冊ほど )が ちょうどいいんだけれど、それだと なんか物足りないんだな。

 

( 読みたいのも ドンドン溜まっていくし… )

 

 

まずは「 ミステリー 」2冊から。

 

 

 

 

「 十戒 」  夕木春央

 

本格ミステリー。

 


亡くなった 伯父が所有する「 孤島 」に リゾート開発の話が

持ち上がる。

 

その視察のため 伯父の弟である父親観光開発などの関係者

伯父の友人の8人と共に「 島 」を訪れた 里英( りえ )。

 

しかし、別荘には 誰かが住んでいた痕跡があり、さらに島の

中央にある 作業小屋には 大量の「 爆弾 」が置かれていた。

 

一旦 様子を見ることにした 一行だったが、翌朝に 不動産会社の小山内の殺害された死体が 崖下で見つかる。

 

玄関に置かれていた 紙には「 十項目の指示 」が書かれており、それを守らなければ 起爆装置により 爆弾が爆発するとも書かれていた。

 

その最後の 十項目めは「 犯人を知ろうとしてはならない 」であった……。

 

 

 

ようやく 読めた。

 

『 方舟 』を読んだあとに すぐ読もうとしたんだけど、借りられてたり、気分じゃなかったりで 読めなかったんですよね。

 

 

で 本作、シチュエーション自体は「 孤島ミステリー 」と 普通だけど「 犯人を探すな 」というところが 新味。

 

「 話 」としては、うっかり “知って” しまわないように みんなが 気を使う様子が ブラック・ユーモア的で 可笑しかったな。

 

まあ「 電話 」のくだりだけは チョット切なかったけど…。

 

『 方舟 』よりも 人間ドラマ性は 薄めに思えたけど、途中で

新たな展開が 加わってくるし、犯人の意図が 読めなかったりと サスペンス性は まずまず。

 

十戒らしく(?)「 試す 」話だったけど、そこも チョット捻っていて、インパクトは『 方舟 』よりは 弱かったものの 面白く読めましたね。

 

 

「ミステリー」としても 個人的に『 方舟 』よりも 若干 弱めだったかな。

 

それでも、ほどほどのページ数という事で ボリュームは 少ないものの「 手掛かり 」関係は しっかりあって 本格度の方は 高めな印象でしたね。

 

( まあ、実際は … だったんだけど )

 

ちょっと 残念なのは『 方舟 』を読んでると…なところでしょうか。

 

 

 

 

「パンドラブレイン 亜魂島殺人(格)事件」

南海遊

 

 

特殊設定( SF )・本格ミステリー。

 

「 星海社 FICTION 」の「 新本格カーニバル 」作品。

 

著者は『 永劫館連続殺人事件 』の人です。

 

 

 

亜魂島( あこんとう )にある、紅澄千代( くずみ ちよ )を

所長とする「 紅澄 脳科学研究所 」。

 

その研究所の「 独房 」に幽閉されている、10年以上に渡って 96件もの「密室殺人」を起こした 密室殺人鬼・O( オー )。

 

その 殺人鬼・O こと 汀崎( みぎわざき )から「 動機 」を聞き出すため、

 

彼を逮捕した ”素性を明かさない” 探偵、霧悠冬真( きりゆう

とうま )が ディスプレ越しに 尋問を行うことに。

 

しかし尋問中に システム異常が発生し 部屋が暗転、システム

リセット後には 炎に包まれた O が画面に映し出されていた。

 

火災の消化後、独房に踏み込んだ 霧悠の前には 首を切断された O の 焼死体が……

3年前に 焼死体4名、行方不明者2名を出す事件があり、

 

さらに「 他人の人格を上書きする 」研究をしていたとのウワサもある 亜魂島の「 紅澄 脳科学研究所 」を訪れた 茂由良伊月

( もゆら いつき )たち ミステリ研究会の5人

 

到着早々 姿を見せない 島のオーナーを探すこととなった 茂由良たちは、カギがなく 施錠できないはずの「 密室 」で 首を切断された 島のオーナーの死体を発見する……。

 

 

 

たまたま こちらも「 孤島モノ 」ミステリー。

 

あと「 あらすじ 」から 察せられるように「 SFミステリー 」でもありますね。

 

孤島にある 脳科学研究所を舞台に「 3年前 」と「 現在 」、

それぞれで起こる「 密室殺人 」を 交互に描く 構成になっています。

 

かなり突飛な「96件の密室殺人事件 」などの設定のほか、

 

森博嗣『 S&M 』シリーズの「 意味なしジョーク 」ネタ、

 

チョロっと出て来る 清涼院流水『 コズミック 』の「 密室卿 」や「 京極夏彦 作品 」※などから

 

個人的には「 昔のメフィスト賞 」作品( の時代 )の雰囲気を感じましたね。

 

( ※ 有名な話だけど、「 メフィスト賞 」創設の 切っ掛けとなったのが『 姑獲鳥の夏 』

 

 

内容としては『 永劫館 』が あんな感じだったこともあり、

 

『 人格転移の殺人 』西澤保彦 )っぽい、ちょっと ゴチャつく感じかなと 予想していたけど、

 

実際は「 探偵 VS. 殺人鬼 」と 思ったよりは シンプルな構造。

 

( だって タイトルに「 殺人(格)」なんて あるんだもん )

 

「 話 」の方も 比較的 スムーズに進む感じで 読みやすかったですね。

 

 

「 ミステリー 」としては 密室連続殺人鬼・O の存在からして そうだけど、

 

起こる密室殺人の「 犯行不可能性 」が高めで ミステリー的な

ケレン味があり 読んでいて 楽しかったです。

 

「 伏線 」関係は “程よい感じ” に思えたけど、あの “記載” だけは アンフェアだったなような気が…。

 

 

「 真相 」関係は「 3年前 」の方は 意外性があって 良かった

( 好みだった )けど、人によっては イマイチかも。

 

そもそも「 SF設定 」は 好みが 強く出るし。

 

個人的には その真相よりも「 動機 」や「 目的 」の着眼点が

すばらしく思え、驚きも 大きかったですね。

 

あと、殺人鬼・O の「 思想 」も オモシロかった。

 

「 現在 」の方は そもそものアレが あまり好きじゃないヤツで そこに 引っ掛かりを覚えたけど 悪くはなかったです。

 

「 殺 “青春” 」(?)なところは さすがに カワイそうでしたけど…。

 

 

という事で、上記した通り「 3年前 」の アレコレが すごく良かったので 満足感は かなりありましたね。

 

「 SF系・本格ミステリー 」が好きなら 楽しめるのかと。

 

でもまあ「 物語性 」「 本格ミステリー 」共に 素晴らしかった『 永劫館 』と比べると さすがに 落ちるかな…。