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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

 

「 燃えつきた地図 」(日/1968)

 

安部公房の同名小説を 映画化。

 

監督は『 砂の女 』(64年)、『 他人の顔 』(66年)

続いて 勅使河原宏 で、脚本も 安部公房 が担当。

 

調べたら『 おとし穴 』(62年)も 同コンビの作品みたいですね。

 

 

 

半年前に失踪した 根室洋の捜索を、彼の妻・波留から依頼された 興信所の 調査員の男

 

根室が持っていた マッチから 喫茶店「 椿 」を訪ねた 調査員だったが 収穫はなく、その後も 波留の弟や 根室が勤めていた

会社の社員から話を訊くが 有力な情報は得られず……。

 

 

 

調査員の男 役、勝新太郎

根室波留 役、市原悦子

田代 役、渥美清

 

 

この間の『 箱男 』(24年)と同じく 原作を読んでから鑑賞。

 

細かいところは カットされていましたが 原作の雰囲気は よく

出ていましたね。

 

映画らしい演出や「 映画オリジナル 」の部分も 良かったです。

 

個人的に気になっていた、終盤の 短篇『 カーブの向こう 』部分も、尺の関係で あっさり気味でしたが こちらも悪くなかったです。

 

それと ちゃんと「 脚フェチ 」要素があったのも 良かったな。

 

特に 映画オリジナルの「 脚フェチ 幻想 」場面は 気合が入っていて 見応えがありましたね。

 

俳優陣も 個性的な面々だったし、当時の「 風景」 も 懐かしかったりで 面白く観れましたよ。

 

 

ちなみに、情報不足に思えるかもしれませんが 原作も そんな感じなので 気にしなくてもいいです。

 

あと、 終盤に「 ネコの死骸 」が映るので そこは注意しといた方がいいかも。

 

 

ここから「 画像 」。

 

今回も「 ネタバレ 」あり。

 

あと、画像によっては 原作を読んでないと 意味がわからないかもしれません。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  タイトル & タイトルバック 〕

 

 

タイトルと クレジットは「 英語 」表記。

 

海外を意識していたのかな。

 

『 箱男 』の 英語タイトルも コレを踏襲?

 

タイトルバックは 地図の「 等高線 」が(たぶん)モチーフ。

 

さらに「 サイケ 」に 色彩されていて いいデザインでしたね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  喫茶店「 椿 」の店員の「 脚 」〕

 

 

冒頭は「 カーブのある坂 」ではなく、いきなり喫茶店「 椿 」から。

 

しかも すぐに「 脚 」ときたもんだ。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  主人公:調査員の男( 左 )〕

 

 

主人公、興信所の調査員の男を演じるのは 勝新太郎

 

クレジットが 英語だったし、背景に見とれてもいたので 勝新が出ている事に気付かず ビックリ。

 

そもそも「 勝プロ 」製作なんですよね。

 

何度か雑誌で「 勝プロ 」関係の記事を読んでいたのに すっかり忘れてましたよ…。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  依頼人・波留ヤクザの弟

 

 

「 椿 」を出たは 正面にある「 駐車場 」で “ヤクザ” である

依頼人・波留と バッタリ遭遇。

 

「 上画像 」は ヤクザの弟が「 イナズマ・バッジ 」を見せる

ところ。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  ヤクザ弟調査員

 

 

改めて 勝新

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 車で坂を上る 」場面 〕 

 

 

「 坂を上る 」ところ キター!

 

原作を読んでると 興奮するよね(?)。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』

坂道で「 接触事故 」を起こしちゃった 調査員 〕  

 

 

ちゃんと「 接触事故 」もあるよ。

 

このまま 立ち去っちゃうところは 昭和っぽかったな~。

 

この車も そうだけど、当時( 昔 )の「 風景 」なんかも 今見ると 新鮮だったり。

 

ちなみに この「 接触事故 」場面は 結構 重要だったりします。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』

部屋に飾られた「 レーシング・カー 」ポスター 〕

 

 

依頼人の部屋の「 ポスター 」もあった。

 

それと「 本棚 」も あとから 出てきてましたね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  依頼人・根室波留

 

 

もちろん「 黄色いカーテン 」( あとビール )も。

 

依頼人・波留を演じるが 市原悦子

 

原作同様に ヤクザ弟が「 姉、女として どう思う 」みたいな

ことを訊く場面があるし、

 

原作での 波留の印象と併せて “のほほん”系(?)の美女を想像していたので 軽い衝撃が…。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  調査員田代

「 座頭市と 寅次郎 」の オモシロい絵面 〕

 

 

根室洋が勤めている会社の同僚、田代を演じるのが 渥美清

 

これも 原作の「 田代の顛末 」からみて 以外に思った配役だったけど、流暢な語り口を聞いて 徐々に 馴染んできましたね。

 

 

この後の「 バス屋台・乱闘 」場面は 長かったな。

 

ちなみに その「 屋台の乱闘 」の要因とか「 根室の日記 」とか「 町会議員 」とか 結局 ”うやむや” になってますが

 

「 原作 」でも うやむや なんで 安心してください(?)。 

 

 

〔『 燃えつきた地図 』

女性を押し倒そうとする…調査員の「 妄想 」〕

 

 

「 バス屋台 」のくだりの後、調査員が女性を襲う「 妄想 」をするところは「 映画版 」独自の場面。

 

これが「 フェティッシュ 」かつ「 幻想的 」(?)な映像になっていて すごくイイんですよね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 枯葉 」を女性にかける 調査員

 

 

「 上画像 」は 押し倒した女性の上に「 枯葉 」をかけて 全身を覆うところ。

 

女性の全身を覆った後、風が吹いて 少しずつ その「 枯葉 」が剥されていくんですが、それが何とも 風情のある描写でね。 

 

 

〔『 燃えつきた地図 』

服の部分が消えた女性と 現れた「 脚 」を ガン見する調査員 〕

 

 

そして「 枯葉 」がなくなった後の 女性の服の部分が 体ごと「 透け 」て 素肌の部分だけが 残される「 フェチ演出 」が素晴らしい。

 

そこに 残された「 脚 」を “ガン見する” 調査員も ポイントなんですが、

 

「見るだけ」で手を出さないのも 安部公房らしい(『 箱男 』っぽい )んですよね。

 

 

しかも わざわざ「 画像処理 」を施してまで「 透かしている 」のに「 話 」には なんにも関係してこないんですよ。

 

個人的には「 フェチ 」を使って「 孤独 」や「 人との繋がり 」を 間接的に表現していると 思ってるんだけど、

 

タランティーノみたいに ただ「 脚フェチ 」を描きたかっただけかもしれません。

 

(「 脚本 」書いたのも 本人だし )

 

 

ちなみに ばっさりカットしますが、原作でも「 謎 」だった

「 図書館でのナンパ? 」※のくだりも ちゃんとありました。

 

( ※「 ~ ついておいで 」の文言が キモ面白い )

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 本棚 」 〕

 

 

中盤ころ「 本棚 」が映るんですが、本の中に 小説『 燃えつきた地図 』があって これにより「 メタ感 」が出てきましたね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  別居中の妻調査員の男

 

 

調査員別居中の妻を演じるのが 中村玉緒

 

まさかの 夫婦共演で これにも ビックリ。

 

「 下画像 」は「 鏡演出 」。

 

実は本作「 鏡・ガラスに映す構図 」が多いんですよ。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  ゆがんで映る 田代の顔( 左 )〕

 

 

田代から「 写真を見せてもらう 」場面では 入れ物に 田代の顔が「 ゆがんで( 二重に?)映る 」構図なんてのも。

 

コレは後に 田代が「 ウソを吐いていた 」のがわかるので それを暗示させる「 演出 」かもしれませんね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 モデルを訪ねる 」場面。

田代を画面の中心にそえた 意図的な構図? 〕

 

 

そこから続いての「 写真のモデルを訪ねる 」場面では、

 

「 ウソが バレないか不安 」な面持ちを見せる 田代の「 顔 」と

「 落ち着きのない動作 」に注目して 見てほしいですね。

 

この先の「タクシー内」&「 電話 」での「 調査員 VS. 田代 」(?)も ヘンな緊張感があって 面白いですよ。 

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 椿 」で殴られた 調査員

 

 

ちなみに、主人公は 中盤過ぎに「 調査員をクビ 」になってますが、表記は そのままにしてます。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  「 記憶を失った 」っぽい 調査員

 

 

後半、「 椿 」で殴られた 調査員根室波留の部屋へ行き、

彼女と体を重ねて 目を覚ますと「 記憶 」( 名前?)が消失。

 

原作では「 根室洋調査員が混同した 」ような描写があったけど、映画でも それを思わせるような演出になってましたね。

 

あと ここ、しれっと「 妻のように振る舞う 」波留※ が怖いんですよ。

 

 

( ※ ここは 少し『 砂の女 』“女” っぽい感じがあった。

波留が記憶を消した 」ように見えるなど いろいろ不気味 )
 

 

〔『 燃えつきた地図 』  砂漠の「 イメージ 」〕

 

 

映画独自の「 砂漠 」や その前の「 無人の街 」の映像も わかりやすく 調査員の 自己喪失と 疎外感を表していて 好きですね。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  自転車に接触する 調査員

 

 

波留の部屋を出た 調査員が 坂を降りる時「 自転車と 接触 」

する場面。

 

「 仕事をクビになった 」ばかりでなく「 記憶 」を失ってしまった 調査員の「 社会的 立ち位置 」や「 不安 」を

 

前半の「 接触事故 」と 立場を逆転させる( 強者から 弱者へ )ことで表現してます…たぶん。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  給仕窓と 女性店員の「 脚 」〕

 

 

調査員は 誘われるように「 椿 」に入るが 何も思い出せず…

という、終盤の『 カーブの向こう 』場面。

 

ここの「 椿 」の「 給仕窓 」&「 姿が見えない店主の男 」も しっかり再現されてましたね。

 

( 原作同様「 椿 」の仕様が違っている 不条理な展開 )

 

原作の方では「 女性店員波留が 混同してる 」っぽく書かれていて、映画でも 女性店員の「 顔 」が見えない演出になってるんですが、

 

こちらは 後姿から薄っすら 市原悦子が感じられるし、何より

「 声 」が聞けるので わかりやすくなってます。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』

地図に書かれた 電話番号にかける 調査員

 

 

「 公衆電話 」の場面では ウ〇コも再現されてましたね。

 

削ってないところを見ると 何か意味があるのかも…?

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  その電話を受け 迎えに来た 波留

 

 

終盤、何も知らずに 波留に電話を掛け、迎えに来た彼女を拒む調査員を見て 原作同様に 悲しい気持ちに。

 

そういえば との別居も 調査員の方からなんだよな。

 

ここらへんの 調査員の心境は よくわからないけど、

 

( 夫・男が抱える 責任、重圧、わずらわしさ、そんな感じ? )

 

田代の “逃避” の時と同じく「 公衆電話 」が出て来るところは 意味深( 一縷の望み?)に思えたけど、さすがに 穿ちすぎか。

 

 

ちなみに、迎えに来た波留の服と 直前の「 椿 」の女性店員の服は たぶん 同じです。

 

 

〔『 燃えつきた地図 』  終盤、店のガラスに映る 調査員

ここは 車とか 商品とか見てても 楽しいぞ 〕

 

 

終盤の 街をさまよう調査員を「 店のガラスに映す 」構図も

印象深くて イイんですよ。

 

ここは 調査員が「 鏡の中に入り込んだ 」ようにも見えて、

 

そこから「 社会との隔絶 」( 世間から見えなくなった )を

感じるんですよね。

 

全てを失い 社会的な意味での「 透明人間 」になった調査員だったけど、最後は…

 

「 名前なんてない ~ そのうち 何か考えてやるさ、

二度と忘れない いい名前をな 」

 

と、先行きを見通せないながらも 前向きな(?)終え方。

 

原作と ほぼ同じ文言ですが、直前に「 車につぶされたネコ 」が映るので 原作よりも 暗澹としてましたね…。

 

 

 

ということで「 話 」はともかく、見どころは 多いと思うので

以外と 面白く観れる作品だと 思いますよ。