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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

今月 読んだのは…

 

 

幻想SF系の 一族モノ

 「 羊式型人間模擬機 」  犬怪寅日子

 

 

本格ミステリー

 「 月灯館殺人事件 」  北山猛邦

 

 

ヒーローもの 人間ドラマ

 「 みんなを嫌いマン 」  献鹿狸太朗

 

 

多重推理系・本格ミステリー

 「 毒入り火刑法廷 」  榊林銘

 

 

の4冊。

 

 

夜、涼しくなってきたので イケるかなと思い 4冊目を読んだが

再び 暑くなってきて 後悔…。

 

 

まずは「 SF系 」2冊から。

 

 

 

「 羊式型人間模擬機 」  犬怪寅日子

 

 

幻想SF系・人間ドラマ。

 

『 ハヤカワSFコンテスト大賞 』受賞作品。

 

 

 

今朝、大旦那様が御羊になられた…

男性が死の間際に陥ったとき「 羊 」となり、その「 御羊肉 」を「 家族が食べる 」しきたりを持つ 一族

 

その 一族に仕える、「 御羊肉 」を食べる儀式の準備する役割を担っている わたくしは、時折 一族の人々 それぞれの記憶を思い出しながら その準備を始める……。

 

 

 

物々しいタイトルや「 羊になる 」設定が気になっていた作品。

 

薄っすら ネタバレ気味っぽいかも。

 

まあ、タイトルや あらすじにも 書いてあるんで さほど問題ないとは思いますが。

 

 

ページ数が「 150ページ弱 」と 少なく、この暑い時期に ちょうど良さそうだと思い 読んだんですが、

 

“語り手” である わたくしの「 言い回し 」が独特で 思ったよりも 読み終わるのに時間がかかりましたね。

 

 

「 話 」としては「 男性は 死ぬ前に “羊になる” 」一族

そこに仕える わたくしの 一人称で描いた「 一族モノ 」。

 

上で書いたように わたくしの 言い回しが 独特で ノリ難かったんですが、途中で わたくしが「 アンドロイド 」だと 分かってからは※

 

( ※ 実際は「 それとなく仄めかす 」感じ。

ハッキリ提示されるのは 後半頃 )

 

その「 独特な言い回し 」に 納得できて 気持ち的に( あと

フツーに慣れてもきて ) 読み進めやすくなりましたね。

 

 

ちなみに、タイトルの「 人間模擬機 」が「 アンドロイド 」

の事で、

 

「 羊式型 」の方は「 御羊肉の儀式のための 」を表す言葉に

たぶん、なってます。

 

 

内容の方は「 男性だけが羊になる 」のほか「 肉体美 」「 性転換 」「 同性愛 要素?」など「 性 」にまつわる エピソード、

 

(「 両性具有 」もあったり… )

 

「 肉を食す 」「 多くの生き物たち 」「 命を慈しむ者 」など

「 生命 」にまつわる エピソード、

 

家、血、しきたり、性別、肉体など「 不自由 」(制約・制限)と 個人の「 自由 」にまつわる エピソードで 紡がれており、

 

それを 生命ではない「 アンドロイド 」による観察( 視点 )を介して描くことで「 人間とは… 」みたいな テーマが浮かび上がってくる感じになってます。

 

映画で 例えると ヨルゴス・ランティモス 作品っぽいかも?

 

それと「 家族のエピソードの積み重ね 」という ところから

『 百年の孤独 』を思い出しましたよ。

 

 

個人的に 面白かったのが、一族の わたくしの「 呼び方 」が ユー、ゆー、ユゥ、U… などと それぞれ違っているところで、

 

それが「 個人の性質 」や「 制約と 自由 」の 形を変えた表現になっている様に思えて 印象深かったですね。

 

ちなみに、わたくしの呼び名の元?は 終盤に出てきます。

 

あと「 ええ、ええ 」と2回繰り返す わたくしの「あいづち」※も ちょっとした 伏線になっていて そこは チョット感動。

 

( ※ この「 あいづち 」の理由・意味は この間の アニメ、

『 アポカリプスホテル 』っぽかった )

 

 

それと 最後に掲載されている「 選評 」で気付いたんですが、

 

羊「 sheep 」と 寝る「 sleep 」を掛けた「 生と死 」の要素もありましたね。

 

( コレだけだと 意味不明だけど 読めば わかります )

 

 

こうして いろいろ書いてみると 面白そうな感じですが、

 

「 羊化 」や 貴族っぽい? 一族などの「 設定 」の詳しい説明は 無く「 物語 」としても 掴みどころがないため、

 

「 話 」に ノリづらかったり、退屈に感じる人は 多いかもしれません。

 

「 選評 」でも 意見が割れてましたし…。

 

個人的には そこらへんは 気にならなかったし、思いのほか

刺さるところもあったりで 何だかんだ 面白く読めましたけど。
 


まあ ページ数は少ないので 気になったら 読んでみてください。

 

 

 

 

「 みんなを嫌いマン 」  献鹿狸太朗

 

 

“ヒーロー” を題材にした SFファンタジー系・人間ドラマ。

 

約140ページの「 中篇 」作品。

 

 

 

ある日「 スーパーパワー 」を手に入れた 大学生、上原至

( うえはら いたる )は、義務感から “みんなを守るマン”

みん守 )として 人類を襲う 地球外生命体と戦っていた。

 

みん守のファン、みん守の正体を詮索するネット、彼を追う

メディア、その 存在自体を疑う者… 各々が みんなを守るマンに「 勝手な思い込み 」を抱く中、

 

当の みんなを守るマンは 苦しみと 責任の重さから 今の自分を奴隷のようだと思っていて……。

 

 

 

著者作品は ショートショート※で『 替え玉 』『 流星 』

2作品を読んでます。

 

(※ ショートアンソロジー『 嘘をついたのは、初めてだった 』

『 これが最後の仕事になる 』

 

感想から書くと、すごく面白かった。

 

トゲや 毒を含んだ 独特な「 言い回し 」も 読んでいて 痛キモチよかったですね。

 

 

本作は タイトル通り、

 

「 人類を守るため 地球外生命体と戦う みんなを守るマン

みんなを嫌いマン になるまで… 」

 

を、ヒーローの抱える 苦しみと 不安、ヒーローを取り巻く人々の身勝手な言動で描いた内容。

 

 

スーパーパワーを手に入れた 主人公が ヒーローを「 正義感 」や「 博愛 」からではなく、“何となく”(?)で 始めてしまい、

 

その挙句に 苦しむことになる設定が まず 面白い。

 

そんなヒーローを「 利用する者 」や「 疑う者 」( 陰謀論 )、 「 身勝手な願望 」を抱いたり「 被害を顧みない 」など、

 

出て来る人々の ほとんどが「 浅慮 」「 軽薄 」で、

 

さらには 地球外生命体から みん守への エゲつない攻撃や、

それで 致命傷を負っても「 超回復力 」のため 死ねなかったりと「残酷性」も 結構高かったりと 全体的に ブラックな味わい。

 

 

個人的に「 動画配信者 」のくだり( みん守を「 客寄せ 」に

使う )が やけに リアリティがあって 感心したんですが、

 

ショートの『 流星 』が「 動画配信者 」の話だったのを思い出して チョット納得。

 

出て来るのが どうしようもない人間ばかりで 少々滅入るけど、

 

( そこが 面白いところでもあるのだが… )

 

が 唯一「 正体を明かしている 」弟の 辿( たどる )が 兄思いの子で 少し ほっこりするんですよね。

 

話の方は「 愚かしくも 愛すべき クズたち( 人類 )」みたいな感じで終わりますが、

 

「 なぜ、が スーパーパワーを得たのか 」

地球外生命体が 日本に、それも 都市部にだけ出る理由 」

 

にも 一応 説明っぽいのがあります※。

 

 

( ※ ネタバレ含むので カッコ内、以下 白字。

 

個人的には「( 人間ではない? )辿を守るため 」だと解釈。

 

また 別の話として、辿の出生が「キリスト」に なぞらえていたけど、「 戦い(苦しみ)を背負わされた 」の方が キリスト的だと思う。

 

こちらで 考えれば「 神話 」「宗教」的( キリスト教ベース )な「 愛の話 」( アガペー )の話といえるかも…

 

 

という事で「 毒気 」「 ブラック色 」が 強めの話が好きな方に オススメしときます。