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berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

今月 読んだのは…

 

 

平成( ミステリー、サスペンス系 )・アンソロジー

「 平成ストライク 」  編:遊井かなめ

 

著:青崎有吾井上夢人千澤のり子遊井かなめ

小森健太郎白井智之乾くるみ貫井徳郎天祢涼

 

 

本格ミステリー

「 私雨邸の殺人に関する各人の視点 」  渡辺優

 

 

本格ミステリー

「 その謎を解いてはいけない 」  大滝瓶太

 

 

の3冊。

 

まずは アンソロジーから。

 

 

 

「 平成ストライク 」

編: 遊井かなめ

 

著: 青崎有吾、 井上夢人、 千澤のり子、 遊井かなめ、

小森健太郎、 白井智之、 乾くるみ、 貫井徳郎、 天祢涼

 

 

平成・アンソロジー、全9篇。

 

「 今頃かよ 」との声が 聞こえてきそう…。

 

「 平成 」ってだけではなく「 ミステリー作家 」が執筆しているのも 気になっていた作品。

 

例によって「 延び延び 」で、今回 ようやく 読みました。

 

ちなみに 一番の お目当ては 白井智之 です。

 

 

この中で 千澤のり子 は 聞いた事がなかったんですが、

ミステリー作家 みたいですね。

 

こちらも 知らなかった、編者でもある 遊井かなめ の方は

「 サブカル系 」の感じなんですが、

 

『 サイバーミステリー宣言! 』なんかにも 執筆してるんで

「 ミステリー系 」の人でもあるっぽいです。

 

 

という事で 正しくは

「 平成 + ミステリー & サスペンスの アンソロジー 」です。

 

実に 版元「 南雲堂 」らしい構成ですね。

 

 

そんな本書は タイトル通り、「 平成 」という時代に起こった 事象や事件を テーマ・モチーフにした「 内容 」になっており、

 

小森健太郎 以外は 全て「 書下ろし 」になってます。

 

あと、各作品の最後に 遊井かなめ による「 解説 」みたいのが

あります。

 

ちなみに「 表紙 」は “ギャル”( モデル 『 egg 』が協力 )。

 

「 平成感 」が 強い印象の “ギャル” ですが、本書の「 題材 」にはないんですよね。

 

そこは チョット残念だったな。

 

 

 

「 加速していく 」  青崎有吾

 

尼崎駅で 電車を待つ 新聞社カメラマン・植戸(うえと)は

記者からの連絡を受け「 脱線事故 」があった場所へと向かう。

 

事故現場を 上から撮影する事になった 植戸は「 工場の階段 」に目を付けるが、しばらくして 尼崎駅で 同じ電車を待っていた 高校生が 現れて……。

 

 

「 福知山線 事故 」が題材。

 

「 未曾有の脱線事故 」に 高校生が絡んでくる、という

「 非日常 + 日常の謎 」みたいな? 人間ドラマ・ミステリー。

 

 

事故現場の描写が上手く、やたら緊迫感があったな。

 

「 ミステリー 」としては ちょっと前に「 WOWドラマ 」で、

青崎が原作の『 早朝始発の殺風景 』をやってましたが、

 

方向性としては アレに近い感じの ミステリー作品でしたね。

 

 

 

「 炎上屋尊徳 」  井上夢人

 

「 ネット炎上 」が題材。

 

「 ネット炎上 」は 良い方にも、悪い方にも 使える

( 良いも 悪いも リモコン次第? )…みたいな話。

 

「 ネットの拡散( での告発 )」には 何者かの “思惑” がある

かも…という話でもあります。

 

まあ、令和でも 似たようなのがあった( これからも ある )

から「 平成感 」は 少なめ。

 

内容自体も フツーでね…。

 

もう少し ミステリー的な 読みどころ( 意外な展開・オチ )や、ドラマ性なんかが ほしかったな。

 

 

 

「 半分オトナ 」  千澤のり子

 

「 … どうせ中止になるんだから 」

「 本当に実行していいんだな 」

 

「 二分の一 成人式 」を間近に控えた 政宗武田は ある計画を立てていた……。

 

 

「 二分の一 成人式 」が題材だけど、

「 子供への虐待 」要素もあったりと 重めの内容。

 

「 格差を実感する 学校行事 」、「 思慮が足りない 教師 」

など、“子供あるある” も ツライね…。

 

「 ミステリー 」としては「 倒叙 」系だけど、

チョットした「 仕掛け 」もあったりで 総じて 面白かったかな。

 

 

 

「 bye bye blackbird 」  遊井かなめ

 

「 六本木WAVE 閉店 」、「 渋谷系 」等が 題材。

 

「 六本木WAVE 」閉店の日に 訳も分からず “追われる事” になった男の話。

 

馴染が まったくないため、ほとんどノレず。

まあ、それでも 普通に 読めましたが。

 

時代を感じる アレ( ミステリー部分 )は良かったですね。

 

全体的に あまりピンとは 来なかったものの、

「 時代の変化 」や「 平成 」も 十分 感じられました。

 

 

 

「 白黒館の殺人 」  小森健太郎

 

「 差別 」が題材。

 

「 黒人差別 主義者 」の 田畑が暮らす、

表側は「 真っ白 」、裏側は「 真っ黒 」な 白黒館。

 

その白黒館で、抗議しに来た ジャーナリスト牧師

2人と 会った 田畑が 対談後しばらくして 殺される事件が起きる。

 

刑事弁護士の 栗生慎太郎は その事件の依頼を受けるが、

現場は「 密室的 」な状況で……。

 

 

先に書いたように 唯一の「 書下ろし 」ではない 作品。

解説によると「 同人誌のリメイク 」らしいです。

 

こういう「 真相 」は 嫌いじゃないけど「 平成感 」は なかったな。

 

特異な「 白黒館 」が 事件に絡んでこなかったのも ガッカリ。

 

( とはいえ「 館 」がないと「 真相 」が弱くなるが )

 

 

 

「 ラビットボールの切断 」  白井智之

 

「 新興宗教 」が題材。

 

父親が 公園のトイレで子供の…( 書けない )で捕まり、

“被害者” になるため、母親が ハンドミキサーを…( 書けない )

したため、家を出た あさみ

 

ひょんなことから、あるルール( 書けない )を条件に

宗教法人「 ラビット 」に 入信した あさみ だったが、

 

教祖・春(はる)と 女性信者4人が暮らす「 施設( 山荘 )」で「 股間を 切断された 」教祖の死体が 発見される……。

 

 

いろいろと ヒドくて、サイテーで 最悪な「 話 」と、

“人を選ぶ” 作品です。

 

…だけど「 本格ミステリー 」として 面白いんですよね。

 

まあ、出てくる 謎の探偵の名前は “玉無し探偵” ですけど…。

 

 

強引な伏線が まま見られる 白井作品だけど、本作では あまり

気にならなかったな。

 

作中DVD『 玉奈市( たまなし )オブザデッド 』の くだりも

なんか説得力があったし、サイコな「 目的 」も 素晴らしかったですね。

 

「 平成感 」は なさそうな感じですが 以外にも

 

「 ヘンな宗教 」「 家庭環境により 限られる 選択肢 」、

「 加害者( 家族 )バッシング 」など、まあまあ 感じられましたね。

 

でも、アレ※の方は 今っぽいのかな。

 

( ※ アレ  ネタバレ白字 →「 梅毒 」。

「 梅毒トレポネーマ 」は 試験管で 人工培養できないが、

「 ウサギの睾丸内 」でだけ培養ができる

 

本作に出てくる 宗教の名は「 ラビット 」…  )

 

 

「 本格度 」は高いと思うので 白井智之 “大丈夫な人” は ぜひ読んでもらいたいですね。

 

 

 

「 消費税狂騒曲 」  乾くるみ

 

そのまんま「 消費税 」が題材。

 

ふたりの男性( ひとりは刑事 )の「 消費税 」あれこれ

( 主に 小銭関係 )に「 殺人事件 」( 倒叙 )を絡めた、

サスペンス・ミステリー。

 

暗かったり、閉塞感がある 作品が多いなか、

唯一 ユーモアを感じる作品でした。

 

( といっても 税金が上がる 話だけど… )

 

「 短編 」で よくみかける、ミステリーや サスペンス系の

「 小話 」みたいな作品なんですが、

 

それ系も 結構 好きなので 本作も 面白く読めましたね。

 

主人公のひとりが「 ミステリー好き 」という事もあって

「 ミステリー・ネタ 」があるのも 嬉しい。

 

題材が題材なので「 平成感 」も高く、一番 本書らしい 作品だと 思いましたよ。

 

 

 

「 他人の不幸は蜜の味 」   貫井徳郎

 

「 ネット・バッシング 」が題材。

 

中堅の商社に勤める 女性

 

女性は 正義感から ネット上に「 過去に残酷な犯罪を犯した 」という ウワサのある 芸人に対して 中傷するような コメントを発信していた……。

 

真偽不明なのに 正義感から “それ” を信じて 攻撃してしまう、

愚かな人間を描いた ブラックな人間ドラマ。

 

痴漢にあっている 主人公・女性

そのウップンを 晴らすかの如く書きこんじゃう心情のほか、

 

「 匿名性により高まる 攻撃性 」「ネットで広まるウソ情報 」「 身近な人の書き込み 」

 

など、いろいろと やるせない、そしてアホな「 話 」ですが、

( そもそも 人は皆 アホだけど )

 

ぬっくん の「 心理描写 」が巧みで 面白く 読めましたね。

 

 

 

「 From The New World 」  天祢涼

 

「 東日本大震災 」、「 福島第一原発 事故 」が題材。

 

 

原発被害に遭った福島の「 帰宅困難区域 」へ「 一時帰宅 」

している 少年・玲生( れお )。

 

の目的は 震災で亡くなった母親にだけ なついていた、

元野良ネコの “ムス” を連れ帰る事だった。

 

そんなのもとに 防護服を着ていない 謎の女性が現れる。

 

その女性、音宮美夜( おとみや みや )は 特殊な「 共感覚 」を持っているらしく……。

 

 

音宮美夜『 キョウカンカク 』( シリーズ )の探偵。

( 一作目だけ 読んでる )

 

「 帰宅困難区域に 取り残された飼い猫 捜し 」という、

いろいろと悲しい「 人間ドラマ 」。

 

ちゃんと「 ミステリー 」にもなってたし、「 希望 」も 感じられたりと「 締め 」に ふさわしい内容ではあったけど、やっぱ重いよな…。

 

 

 

という事で 全体で見ると「 重め 」で、

「 平成感 」としては “薄め” の印象でしたね。

 

そんな中で「 平成感 」を強く覚えたのは『 加速していく 』『 消費税狂騒曲 』かな。

 

『 消費税 』については “軽いミステリー” としても 面白かったですよ。

 

一番 楽しく読めたのは ダントツで『 ラビットボールの切断 』ですね。