遅くなったけど、先月分の 残り「 ミステリー 」2冊。
今回も サクッと。
…その前に 意味ナシ引用。
『「 Mass( 弥撒:ミサ )と Acre( 英町:エーカー )だよ。
続けて読んで見給え。信仰と富貴が、Massarce( マッサカー )
―― 虐殺に化けてしまうぜ 」』
小栗虫太朗『 黒死館殺人事件 』
本題。
「 痾 」 麻耶雄嵩
サスペンス(?)・ミステリー。
ちなみに 時間あったんで 2回 読みました。
波都島から脱出後に 疲労で入院した 烏有( うゆう )は その後「 島 」での出来事と 桐璃( とうり )の記憶を失ってしまう。
烏有は 失った記憶に戸惑いつつも 出版社のバイトから 正社員に採用され 社会復帰、芸術家の卵の わぴ子とも親しくなる。
そんな中、烏有は 突然、深夜に 意志なく「 神社へ放火 」してしまう。
さらに 翌日、放火した神社から「 他殺死体 」が発見されたことがわかり……。
前作『 夏と冬の奏鳴曲 』の続き。
…なんだけど 冒頭から「 主人公が 記憶喪失になる 」という
あんまりな展開。
さらに 甲斐甲斐しく 烏有のアパートを 訪れる 桐璃をよそに
烏有は 芸術家の卵・わぴ子に 惹かれるんですよね。
おまけに この烏有、あまり共感を 得られないところもあってちょいちょい 不快な場面もあったりします。
「 話 」は「 9月1日 」から始まる 日記のような構成で、
前半は「 烏有と 仕事・桐璃・わぴ子 」「 放火の混乱と 恐怖 」の場面なため、
「 放火現場で発見された 他殺体 」の謎は あるけど「 心理サスペンス 」のような雰囲気。
ですが 中盤頃、メルカトル鮎 が現れ、そこから 烏有への
「 探偵講義 」が始まることで「 本格 」らしさが出てきます。
ちなみに、木更津と 香月も 出てきますよ。
で、この「 探偵講義 」のくだりが 個人的には 結構 良くて、
「 寺社への放火 」の方は 納得できなかった※ んですが、これにより かなり 挽回。
( ※2回目は 意識したけど それっぽい描写は なかったような。 アレは 嫌いじゃないけど ある程度 納得感は 欲しい )
ちなみに「 真相 」と「 作者による 人物コントロール 」を思わせる「 烏有の記憶喪失 」や 終盤間近での「 突然死 」から
「 メタ的 」な意味での 納得感は 覚えたので( 合ってるかは
わからないけど… )そこまで ヒドイとは 思ってはいません。
あと、読み終わっても タイトルの意味が わからなかったんですが、しばらくして 宿痾の「 痾 」だと知り なんか納得。
期待値が 高かったんで 評価としては 低めな感じですが「 話 」自体は そんな悪くなかったですね。
今回で 1~3作目を読み終わったけど、『 翼ある闇 』以外は
読者を翻弄させ過ぎ、ミステリー壊し過ぎ では あったかな。
そういう意味では その後の作品は 翻弄し、壊しつつも 比較的 とっつき易く、読む楽しさも ありますね。
『 木製の王子 』だけは ちょっと アレな気もするけど。
「 海底密室 」 三雲岳斗
SF本格ミステリー、第2弾。
取材のため「 深海 4000メートル 」に 建造された 海底実験施設
「 バブル 」を訪れた 記者の 鷲見崎遊( すみさき ゆとり )。
試作の「 人格を複製した アプリカント( 人工知能 )」の端末を忍ばせつつ 取材を進める 遊であったが、
翌朝、施錠された「 倉庫内 」で 身体を激しく焼かれた スタッフの死体が発見される。
倉庫には 可燃性物質の痕跡が 見受けられないなど 不審なところがあったものの、
「 扉 」は 火災などの 異変を察知すると「 緊急ロック 」が掛かる仕様だったため 事故と推測されることに。
「 バブル 」では 2週間前にも 常駐スタッフが 鍵が掛けられた部屋で 自殺する事件もあり……。
『 M.G.H 』では「 複製人工知能 」が広まっていたけど、
今作では まだ「 試作機 」の段階ということで 年代としては
前作より かなり前になってます。
主人公も 苗字の「 鷲見崎 」だけが 共通なだけなので 姉妹編っぽい印象でしたね。
探偵役は その 鷲見崎遊と「 複製人工知能・御堂( みどう )」という ダブル探偵 となっています。
舞台となるのは「 深海底 」に設けられた 実験施設。
そこで「 海洋生活の実現化の研究 」や「 海底資源の調査 」、
「 海洋植物を使った 食料の研究 」などが 行われている設定。
「 ミステリー 」としては タイトル通り「 密室モノ 」。
海底施設という事で 空間が狭く 限定的なので、ある程度 推理の道筋は わかるし、犯人の推測も 出来るんですが 両方 ダメでしたね。
ただ「 メイン 」の方は ともかく「 焼死体 」の方は 手掛かりも十分 あるので なんとかなりそう。
その「 メイン 」は 前作よりも 奇抜性は なかったものの なかなか オモシロイ方法で ちょっと感動しましたね。
「 焼死体 」の方も 結構 感心したので そっち面は ほぼ満足。
まあ「 気付いたんだったら 言えよな… 」とは 思いましたが。
それと「 なぜ バブルで? 」と「 なぜ 密室に? 」の答えも しっかりあるところも 評価したいところ。
「 動機 」関係だけは アレでしたが トリック重視の作品なんで(?)さほど 気にならず。
という事で、前作よりも「 SF色 」は薄いので「 本格 」として 気軽に オススメ出来そう。