ショート・アンソロジー「 だから捨ててと言ったのに 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

 

“意味ナシ” 引用から。( ただの自己満なんで 飛ばしてね )

 

 

『 やられた! 罠だ!( 略 )

 

ただ一つだけ 気がかりなのは、目が覚めた時に あんたがどんな顔をしているかだ。

 

泣き顔だろうか。申し訳ない顔だろうか。情けない顔だろうか。

 

そういのは ごめんだな。

出来れば 私の予想外の顔をしていてほしい。

 

頼むぜ、相棒。 じゃあ、それを楽しみに。 おやすみなさい 』

 

 

林泰広『 魔物が書いた理屈っぽいラブレター 』

 

 

 

本題。

 

 

残りの1冊。

 

 

 

「 だから捨ててと言ったのに 」

編:講談社

 

 

ショートショート『 最初の1行は全員一緒 』シリーズ 第4弾。

 

作家25名による 全25編で 最初の1行は「 だから捨ててと言ったのに 」。

 

 

 

「 無理解 」  潮谷験

 

プラモデル作りに 没頭するを理解できない を殺す計画を立てるが……。

 

倒叙ミステリー。

 

“興味がナイ” からくる「 綻び 」の 着眼点がイイ。

 

 

 

「 お守り代わり 」  真下みこと

 

元アイドルの女性ホストの男に これまでの「 経緯 」を話し始める……。

 

よくある 依存・搾取の「 話 」ではあったけど ちょっと捻ってましたね。

 

 

 

「 シングーは流れる 」  須藤古都離

 

いつのまにか 熱帯魚・プレコが 入った水槽を持って ブラジルのジャングルにいた ヒモの男

彼女から その魚を捨てるように 言われていて……。

 

こちらは ヒモ男がたどる、幻想の旅( 帰還? )…といったところかな。

 

捨てられそうな ヒモ男が 重なるんだけど、帰るところが

あると違い、ヒモ男には ない。

 

なので 巡り巡って あんな形になったのかなと。

 

最後の「 安かったのよ 」が なんか意味深な気も。

 

女性依存の男だけど 自分からではないので チョットだけ同情。

 

 

 

「 捨てる神と拾う神 」  黒沢いづみ

 

捨てていなかった息子を 叱った 絵美

代わりに 片づけた 宏美は 次に……。

 

少しずつ 世界観が変わってくる?ヤツ。

 

読後「 ひょいと顔を出した… 」の部分や その後の「 浮いた 」の映像を思い浮かべて オオッ…となった。

 

 

 

「 パルス、瞬き、脳挫傷 」  岡崎隼人

 

ケーブルに繋がれた あなたわたし

母船は 潰れ、酸素の供給も 尽きそうになり……。

 

ちょっと アレではあったけど こちらも 変わるヤツ。

 

「 話 」としては 好きだけど 引っ掛かりも 強いんだよな。

 

 

 

「 母の箪笥 」  砥上裕將

 

大きくて場所を取る「 和箪笥 」を捨てようとしない

は 子供の頃から その箪笥を捨ててほしいと言っていて……。

 

まさかの「 某 ビフォーアフター 」な話で あの音楽が 頭の中に 流れた。

 

 

 

「 ミックス 」  河村拓哉

 

アニメ・グッズを合成する「 オタク・ミキサー 」の話。

 

独自性があって 好きです。

 

でも「 合成 」で納得するかなぁ。

 

 

 

「 累犯家族 」  五十嵐律人

 

「窃盗癖」を持つ 息子を守るため 家族で窃盗を繰り返す 家族。

夜、に内緒で 息子が 家を抜け出していて……。

 

設定は 良かったけど…。

 

実は “ノリノリだった”(?)の部分が もっとあれば。

 

 

 

「 重正の電池 」  荒木あかね

 

芹那( せりな )の脇腹には 深々と 包丁が刺さり…

「 トイプードルのくせに 武士みたいな顔 」の重正(しげまさ)に 芹那との思い出が蘇る……。

 

『 此の世の果ての殺人 』の人ってことで ドラマチックかつ

「 ミステリー 」で 面白かったですね。

 

 

 

「 その。をよく見ろ 」  似鳥鶏

 

公園で 大学生が襲われた事件。

公園名から資料を漁ると 30年前の「 日記 」が出て来るが

それは「。」が多く使われているもので……。

 

「 ヘンな日記 」が醸し出しす 不穏な雰囲気は 良かったけど、

なんか惜しい。

 

まあ、勝手に トンデモナイ奴を 想像してたのが 悪いんですが…。

 

 

 

「 East is East,  and 」  皆川博子

 

自分と 他者を描いた「 家族の肖像 」のような話?

 

「 タイトル 」は ラドヤード・キプリング という人( 親切にも

作中に 名前が出て来る )の 詩の一節、

 

「 東は東、西は西 両者が まみえることはない 」からで、

 

「 東洋と 西洋の 文化や 価値観の違い 」を表した言葉みたいですね。

 

これを知ってないと「 オチ 」が しっくりこないような…。

 

 

 

「 靴 」  清志まれ

 

「 ガラスの靴 」を捨てるよう言った 皇太后の本意とは……。

 

「 おとぎ話 」への 今風のカウンター。

いや「 時代が変わった 」と言うべきか。

 

ちなみに、著者は「 いきものがかり 」の人みたいですよ。

 

 

 

「 恋文 」  金子玲介

 

元野球部のキャプテン・亮也の「 手紙 」が “捨てられ” ていて……。

 

深刻な話かと思いきや 思いっきり笑える話でしたね。

 

畳みかける「 終盤 」の キモ楽しさよ。

 

 

 

「 食パンと右肘 」  舞城王太郎

 

「 カビたパン 」からの まさかの「 異次元 」展開へ。

 

久しぶりの 舞城節は 読んでいて楽しかったし、話も良かった。

 

 

 

「 吊し柿の家 」  高田崇史

 

落ちてきた “それ” に 我慢ならなくなった 妻の お吉

慌てて やってきた 江戸浪人である 夫の与三郎であったが……。

 

実在する、刀の試し斬り「 公儀 御様御用 」の役職に就いていた山田浅右衛門( やまだ あさえもん )が絡む内容。

 

顛末も 良かった( 好みだった )し、歴史ウンチクも 勉強になりました。

 

 

 

「 だから棄てゝと云つたのに 」  伊吹亜門

 

天才作家・黛千鶴を見下ろす 助手の

は 机に ある台詞を書き残す……。

 

始めて読んだけど 文章が ウマい。

 

それ故に 捻りが少ない顛末には ちょっと ガッカリ。

 

 

 

「 こわくてキモくてかわいい、それ 」  背筋

 

人気者の聡子ちゃんから「 こわくて キモくて かわいいやつ 」の話を聞くことになった

 

それは 公民館にある パソコンをいじっていたら現れた「 ひろってください 」とのファイル名が付いた「 写真 」のことで……。

 

ちゃんと不気味で しっかりコワイ。

 

 

 

「 久闊を叙す 」  芦沢央

 

「 虎だ 虎だ、“俺は” 虎になるのだ 」…みたいな話(?)。

 

どっかで聞いた事あるような…と思ったら『 山月記 』だった。

 

 

 

「 ネオ写経 」  にゃるら

 

大学の 怪しげなサークル「 ネオ写経部 」に所属する

は サークル仲間の Aさんが気になっていて……。

 

「 煩悩まみれ 」な話。

 

なんとなく 先が読める展開だったけど、文体が面白かったし、

読み心地も 良かったかな。

 

 

 

「 海に還る 」  多崎礼

 

人魚の話。

 

ちょっと BLっぽい 味わい。

 

 

 

「 切れたミサンガ 」  柾木政宗

 

ラブホの部屋、全裸で 目を覚ました 千鶴

すでに日付も 変わろうとしていたが なんとかしようと 2人

移動を始めるが……。

 

無事、たどり着けるか…(?)という サスペンス。

 

人によっては 共感できる、意外な「 真相 」(?)で すごく

良かったですね。

 

伏線っぽいのも あって「 ミステリー 」としても イイぞ。 

 

 

 

「 猟妻 」  谷絹茉優

 

「 収集癖 」のあるを持つ、車イスで生活する 物書きの男

ある日 は 壊れた楽器を見下ろすに 違和感を覚え……。

 

イヤな予感が ジリジリ迫ってくる話。

 

一番「 捨てて 」が しっくり来た内容だったかな。

 

 

 

「 擲( なげう )たれた手紙 」  夕木春央

 

病気で亡くなった の病室で 握りつぶされた「 手紙 」を見つけた 

数日後、手紙の宛名と 同じ苗字の男が現れ……。

 

「 悲恋 」モノ。

 

人の気持ちを 勝手に慮る話は ちょっとイヤだな。

 

 

 

「 指輪の幽霊屋さん 」  最果タヒ

 

恋が終わった 恋人たちの指輪を供養している ドーナツ屋の

 

まだ 自分の指輪を溶かしていない は呆れて……。

 

「 詩 」を書いてる人だからか 苦手な作風。

 

の「 共依存 」的な関係性にも ノレなかったけど、

その想いもまた 幽霊なのかもしれないと 思うと チョット納得。

 

 

 

「 探偵ですから 」  麻耶雄嵩

 

半月前に が拾ってきた 犬のタワシ

 

に まったく懐かず、部屋の隅で じっと見ているだけのタワシに 嫌な気分になったのは、に ある計画があるから。

 

その計画とは の殺害で……。

 

 

倒叙ミステリー。

 

…では あるけれど、麻耶らしい 人を食ったかのような内容でしたね。

 

まあ、私は 好きだけど。

 

「 捨てて 」よりも タイトルの方が 強いのは どうしたもんか。

 

 

 

ということで 個人的に 特に良かったのが、

 

『 重正の電池 』『 こわくてキモくてかわいい、それ 』

『 恋文 』『 吊し柿の家 』『 切れたミサンガ 』

 

『 パルス、瞬き、脳挫傷 』『ミックス』『食パンと右肘』『 探偵ですから 』なんかも 面白く読めましたね。