最初に “意味なし” 引用。( ネタがあったらやります )
『 ハハハ、 この娘は 決して キレ者などでは ありません。
むしろ ドジで マヌケ、このメンバーの中では かなり異質です。
しかしね、このゲームでは その “異質さ” が
時に 思いもよらぬ 威力を発揮するのですよ 』
『 LIAR GAME 』アニメ版 11話
今月 読んだのは…
幻想ミステリー
「 ナッハツェーラーの城 或いは最後の〈 奇書 〉」
倉野憲比古
SF・本格ミステリー
「 M.G.H 楽園の鏡像 」 三雲岳斗
“始めの1行は全員一緒” ショートショート 第4弾
「 だから捨ててと言ったのに 」 編:講談社
とりあえず 3冊。
初めに「 ミステリー 」2冊から。
幻想・ミステリー。
…さあ、館で仕事が待っている。
私は 小説を書かなければならない。
己の肉をあたかも 彫琢するような仕事だけが 待っている…
┇
13年前、未完の原稿『 ナッハツェーラーの城 』を残して 姿を消した、“怪奇探偵小説家”・御霊神矢( ごりょう しんや )。
10年間 作品を書けずにいる 小説家・倉賀野影比古( くらがの かげひこ )は 編集者と 親友の書評家の手を借りて 脱出、
新作の着想を得るため 彼らと共に 御霊が 暮らしていた 城館、
「 畸幻館 」( きげんかん )へ向かう。
トラブルがありながらも「 館 」に たどり着いた 倉賀野たちだったが そこで 御霊婦人の 娘2人が殺される事件が発生。
事件があった夜「 御霊の書斎 」にいた 倉賀野は そこから現場となった「 納骨堂 」に入る 姉妹を目撃していたが、
その後「 堂 」に入る 謎のフードの人物も目撃していて……。
前に読んだ『 墓地裏の家 』が、
「 昔のホラー映画の オマージュ感ある ミステリー 」
で 面白く読めたため コレも気になってました。
それでも『 ドグラ 』『 黒死館 』『 虚無 』、「3大奇書」を
目指したような内容らしい…? と知って 少々 身構えたんですが 意外と すんなり読めましたね。
主に 幻想怪奇ミステリー作家・倉賀野による「 視点・語り 」によって 話が綴られるんですが、
彼の「 誇大妄想 」が スゴいために「 信頼できない 」どころか
「 まったく 信頼できない 語り手 」の様相になっており 全体的に なんとも 不安定な 読み心地。
ですが その「 倉賀野の あやふやな精神状態 」の描写・情景が 妙に 味わい深くもあり 楽しさも感じました。
( 前提として「幻想モノ」が嫌いじゃないってのがあるけど )
内容を ほとんど 忘れているので 当てには なりませんが、
なんとなく『 大幽霊烏賊 』( 著:首藤瓜於 )と 似たような
空気を感じたかな。
余談だけど、「 若い女性を殺して その血を浴びた… 」と言われている エリザベート・バートリ。
近年 それは「 冤罪 」だった( ハメられた )との「 説 」が※出ているんですが、
その事も 本書で ニュアンスは ちょっと違っていたけど 軽く触れられていましたね。
〔 ※ ハメられた理由は 権力・財産 目当てや「 借金帳消し 」。
よくよく考えれば 昔とはいえ、権力があったからって 流石に
何百人も 殺せない( 民衆も 黙ってない )よなぁ 〕
「 内容 」の方も 倉賀野が「 妄想的な思考・心理状態 」によって ひとり落ち込んだり、逆に ヤル気を持ったりの 内省的な描写が多いため、
ちゃんと「 殺人事件 」も起こりますが「 話 」として読むと
あんまり面白くないかも。
特に 前半の「 3大奇書 談義・議論 」や「 本格 と 変格 」の
話など 興味がないと えらく退屈かもしれません。
私の方は 一応、全部(『 匣の中~ 』含めて ) 読んでるので
それなりに 興味深く 読めましたけど。
全体としても 各章の合間に入る「 変格(幻想譚)」らしい趣のある『 断章 』パートを どう結末に 繋げるのか気になったし、
「 倉賀野 ≒ 倉野憲比古 」や「 未完小説 = 本書タイトル 」という メタ・フィクション的な構造、
倉賀野に 劣らない「 館のヘンな住人たち 」や ケレン味のある
「 殺人現場 」など 趣向が凝らされていたので 退屈せずに 読み進められましたね。
ミステリーとしても「 トリック 」自体には 物足りなさを覚えたものの「 構成 」自体は 嫌いじゃないし、
(「 第2の事件 」の “見えない犯人” は 結構 好きだったり )
「 本格度 」は 低めに感じられましたが「 変格 」( 幻想 )
らしい 納得感は きちんと 感じられました。
ただ、「 最後 」の方は いろいろ バラ撒いた割りに フツーで、
そこは いまひとつだったかな。
それよりも その前の “アレ” の方 が「 意外な犯人 」の要素も
ありつつ(?)少し『 ドグラ 』っぽさも感じられて 断然 好きですね。
まあ、それはそれで “そのまんま” では あるんだけど。
そんなわけで 個人的には「 最後の方 」は 少し 合わなかったんですが 楽しく読めた作品では ありました。
オススメは し難い作品だけど「 幻想怪奇ミステリー 」自体
少ないので そっち方面も イケるなら 読んでみてもいい…かも?
「 M.G.H 楽園の鏡像 」 三雲岳斗
「 SF新人賞 」を受賞した SF・本格ミステリー。
2泊3日の「 宇宙旅行 」に 結婚予定のカップル 一組を招待。
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従妹の 森鷹舞衣( もりたか まい )の計画に乗せられて
多目的・宇宙ステーション「 白鳳 」を訪れた 鷲見崎凌( すみさき りょう )。
2日目の見学後、「 白鳳 」研究施設所長の 朱鷺任博士( ときとう )との面会を終えた 2人が「 居住ブロック 」へと戻るため エレベーターに乗るが しばらくして 停電が発生。
電力復旧後「 本体 」へと戻った エレベーターから降りた 2人は、横切った “何か” を確認するため「 無重力ホール 」へ。
そこで 2人は「 与圧服 」を着て 亡くなっている 副所長を見つけるが、その死体は「 前面に 強い衝撃を受けた 」かのような状態であった…。
「 有り得ない。 無重力状態の宇宙ステーションで、墜落死なんてね 」……。
作者が「 ライト系 」を多く書いている人だったので スルーしてた作品。
…でしたが、第2弾である『 海底密室 』が 面白そうだったので 第1弾であるこちらを まず 読んでみることに。
「 宇宙施設で 起こる 殺人 」ということで『 星くずの殺人 』が思い浮かんだけれど、
本作は「 2000年 発行 」と それよりも だいぶ前の作品なんですよね。
そういう意味では 意外と 重要な作品なのかも。
作中の年代は わかりませんが、宇宙旅行も お金さえあれば すぐに行けたり、
個人のデジタル端末に「 特定の人格を複製した 」プログラム
( AI )「 アプリカント 」※ が入れてあったり、
( ※ アプリ と レプリカント の組み合わせ )
「 仮想空間 」も 一般化している感じだったりと かなり進んでいる 世界観。
ですが、主な舞台となる 宇宙ステーション「 白鳳 」の方は
現実味がある設定なので SFだけど 取っ付きやすい印象。
「 話 」自体は 上記通り 比較的シンプル。
主人公2人の「 偽装結婚 」や「 運よく “当たった” 」ところは どうかとは 思ったものの
こうでもしないと 一般人には 宇宙旅行は キビシイので 目をつむることに。
ただ、鷲見崎と 舞衣の関係性が『 S&Mシリーズ 』の 犀川&
萌絵 に似ていて そこは 少し ノイズになっちゃいましたね。
( 朱鷺任博士も 四季博士に 似てたけど
こちらは「 天才科学者 テンプレ 」なんで… )
あと、古めに感じられるところも ちょいちょいあったり。
( 25年前の作品だし…ではあるが )
それでも 材料工学専門である 鷲見崎の「 素材に 目が行く 」
性質は キャラ設定として 面白かったし、
( 好みで言えば もうちょっと オタクだったり クセがあっても よかった )
2人それぞれの「 心情描写 」も しっかりあって ドラマとしては 悪くなかったです。
「 ミステリー 」としては「 無重力での墜落死 」と 強く興味をそそられる内容。
「 SF新人賞 」作品ということで「 本格 」の方は 期待していませんでしたが まさかの「 本格 」でしたね。
「 トリック 」も面白かったし「 伏線 」も ちゃんとあったりで 満足感、納得感もありました。
ということで、個人的には 予期せずに「 本格ミステリー 」と
出会えて よかったですね。
「 文庫版 」の方は 加筆修正してるようなので 読むならそっちの方が いいかもしれません。