今月 読んだのは…
ホラー・ミステリー
「 最恐の幽霊屋敷 」 大島清昭
ホラー系・ミステリー「 新シリーズ 」の連作短篇
「 歩く亡者 」 三津田信三
“特殊能力” 系・ミステリー
「 完全無欠の名探偵 」 西澤保彦
の3冊。
長くなるけど 一気に 紹介。
「 最恐の幽霊屋敷 」 大島清昭
ホラー・ミステリー。
大学時代の友人から「 幽霊屋敷 」の過去の事件を調査してほしいと依頼された 探偵の獏田夢久( ばくた ゆめひさ )。
その「幽霊屋敷」とは、そこに住んでいた 拝み屋の女性が多くの悪霊を封じた「 封魔の壺 」で 殴られて殺され、その後 残された家族も 全員 不審死した 一軒家。
今は「 最恐の幽霊屋敷 」を謳って賃貸されている その家では
怪奇現象が起こっており、多くの霊能者が亡くなってもいた。
界隈では 拝み屋が殺されたときに割れた「 壺 」から解放された 悪霊たちの仕業だと言われており……。
『 影踏亭の怪談 』『 赤虫村の怪談 』『 地羊鬼の孤独 』は
読んでます。
3作とも「ホラー・ミステリー」として面白く読めたんだけど、
「 本格 」部分が弱く、かつ そこに ページを多く割いていて チョットもったいない印象を覚えたんですよね。
ですが、本作では「 本格 」要素が ほどほどに抑えられていて
個人的には 全体的に バランスが よかったです。
で、メインの「 ホラー 」の方ですが、てっきり 探偵を軸にして進めるのかと思っていたら、
オカルトライター・鍋島猫助( なべしま ねこすけ )の著書
「 最恐の幽霊屋敷に挑む 」に書かれた「 屋敷に関わった人々の体験談 」と、
「封魔の壺」に封じられた、特に強い力を持つ「 八体の悪霊 」の それぞれの「 怪異 」や「 因縁 」の取材という構成でした。
中身の方は「 怪異 」の数が多く( バリエーションも違う )、
さらに「 死人 」の数も すさまじかったりと ケレン味たっぷりで 楽しい仕上がりとなってます。
個人的には 各パートの「 一人称視点 」による心情描写も良かったですね。
ちなみに「 お仕事モノ 」要素がある、テレビ・ディレクターのパートが 一番 好きです。
「 ホラー 」を絡めた ミステリーらしい「 真相 」( お前が元凶かよ!)もあったりと「 エンタメ性 」が高いのも 好印象。
( 何となく 著者の「 ジャンル映画 好き 」が垣間見えたり?
そもそも「 タイトル 」からして ネタっぽい )
ページ数「 約300ページ 」と ちょうどいいし、ノンシリーズ
という事で 手にも取りやすいので「 ホラー・ミステリー好き 」の方に オススメできそうです。
「 歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理 」
三津田信三
ホラー・ミステリー。
三津田信三、全然 読めてねェ…。
とりあえず サクッと読めそうなのをチョイス。
刀城言耶の「 助手 」が探偵役となる 新シリーズ。
連作短篇で「 全5話 」の構成。
大学生の 瞳星愛が「 怪異収集家 」の 刀城言耶から託された
「 怪異譚・事件 」を 刀城の助手、天弓真人に読み聞かせ、天弓が その謎を 合理的に解く( 解釈する )……
みたいな「 基本設定 」。
ちなみに、舞台は 刀城言耶の頃から 十年ほど経った時代です。
著者らしい「 ミステリー 」と「 ホラー 」が合わさった内容だけど、今回は「 ホラー感 」は 抑え目な印象。
まあ、いつもの 三津田信三 では ありましたけどね。
感想は、それなりに ハードル( 期待値 )を上げて読んでるってのもあって フツーだったかな。
「 本格感 」も 強く感じませんでしたし。
それでも、突飛な「 真相 」は 面白くもあって 楽しくは 読めましたよ。
詳しくは 個別に。
第一話「 歩く亡者 」
大学生の瞳星愛( とうしょう あい )が 子供の頃に 祖母の家に滞在していた時、その町で起こった 男性の不可解な死亡事件。
男が亡くなったとされる頃、愛は 海で亡くなった者の霊、
「 亡者( ぼうもん )」らしき 男の姿を見ていた…。
┇
大学の特別講師となり「 怪異民俗学 研究室 」を与えられた、
小説家で 怪異収集家の 刀城言耶( とうじょう げんや )。
かつての「 亡者 」の体験談を伝えるため「 怪民研 」を訪れた 愛だったが 刀城は 不在。
代わりに 研究室の整理や「 怪異の記録 」を任されている 刀城の助手、天弓真人( てんきゅう まひと )に 話を聞かせる事となるが、彼は「 怖がり 」であった……。
上手く纏まっていたし「 真相 」も良かった。
「 手掛かり 」関係も 申し分なく「 本格度 」( 納得感 )も
あって 一番 好きですね。
探偵役の天弓真人が「 怖がり 」という設定は良かったけど、
もう少し 動揺したり、アタフタして 欲しかったな。
第二話「 近寄る首無女 」
中学生の和平( かずひら )が ミステリーを切っ掛けにして
親しくなった、文武両道で 女子人気もある 頭類貴琉( かみなし たける )。
裕福な頭類家に 本を借りに行くようになった和平は ある日、
貴琉の祖母から 頭類家が「 媛首村 」の 秘守一族の遠縁なことと、首にまつわる「 障り 」の話を訊かされる。
それから しばらく経った ある日、頭類家を出た 和平は「 首が無い 」と思しき 女を目撃してしまう……。
チョット「 バカミス 」的な感じではあったけど「 昔のミステリー 」っぽさもあって 嫌いじゃなかったり。
ただ「 手掛かり 」関係が弱いのがね…。
第三話「 腹を裂く狐鬼と縮む蟇家 」
熊を捕らえるための「 鉄製の檻 」に 閉じ込められる形で見つかった、腹を裂かれた 子供の死体。
「 鉄柵 」は 被害者が ギリギリ通り抜けられない幅で 犯人の姿もなかった。
さらに事件は続き…。
┇
山で遭難した男は 山中で “少し小さい”「 洋館 」発見する。
別の男もまた、それと同じらしい「洋館」を見つけており……。
山で起こった「 猟奇的な密室殺人 」と「 迷家( まよいが )」系の話。
かなり突飛な「 真相 」で「 手掛かり 」も 弱めに感じたけど、
「 ジャンル系 映画 」っぽくて 結構 好み。
というか、某有名「 ジャーロ映画 」が ネタ元のような。
第四話「 目貼りされる座敷婆 」
大学生になり 会長の泰加子( たかこ )と 彼女目当ての
男子3名がいる「 妖怪研究会 」に入会した 眞世( まさよ )。
研究会で「 座敷婆 」が出るという旅館に泊まることになり
泰加子が その部屋に ひとりで 泊まることになるが、夜中、
彼女が何者かに「 首を絞められる 」出来事が発生してしまう。
その部屋は「 襖 」と「 窓 」の隙間を少しあけ「 目貼り 」し、囲むように それぞれ 男子たちが見張っていたのだが……。
一風 変わった「 準密室 」という「 ミステリー 」要素が強めの内容。
「 真相 」は オモシロかったし、「 多重推理 」な展開もあって 面白く読めたけど、こちらも「 手掛かり 」が イマイチだったような…。
眞世の感じた「 違和感 」が上手く描写してあれば 納得感や
驚きも あったかも…。
第五話「 佇む口食女 」
民俗学者・東季賀才( とうき がさい )は、村へと向かう途中でひとりの男性が行っていた 遺体の「 野焼き 」の現場に遭遇。
詳しく訊くと 口を閉ざされる「 山の怪異 」や、昨夜 現れた
「 口裂け女 」の事を訊こうと 話しかけた 東季は、
その男から「 口食女 」( くちばおんな )という 化け物と、
この土地の「 風土病 」の事を教えてもらう。
さらに、夕方に 大生田( おおた )家から「 野辺送り 」が出ることを知らされた 東季は こっそり「 野辺送り 」を見学することにするのだが……。
雰囲気は とても良かったんだけど「 真相 」が チョット拍子抜け感があってね。
そっちよりは メインじゃないけど、天弓と 愛の方に 少し驚いたかな。
「 完全無欠の名探偵 」 西澤保彦
特殊能力系・ミステリー。
数年前に 古本で 買っていて 積んでいた本。
98年に出た「 文庫版 」( 初刊は 95年の「 ノベルズ 」)と かなり昔の作品。
ちなみに 著者の「 デビュー2作目 」でもありますね。
( 覚えてないけど デビュー作『 解体諸因 』も 読んでる )
白鹿毛グループ総帥・白鹿毛源衛門( しらかげ げんえもん )は、溺愛する 孫のりんが 四国で働く事に激怒。
りんには 何か、家族に言えない「 四国に残る理由 」があると
考えた 秘書の黒鶴( くろつる )は、
「 話をすると 自分の事を、時に 忘れていた 記憶を掘り出して
勝手に 喋りだしてしまう 」
という特殊能力を持つ、グループの警備員・山吹みはる(男)を りんの働く「 女学院 」に 事務員として送り込む…。
┇
少女が 女神のように見ていた、家庭教師の “彼女” が持ってきた ケーキには「 ハトの死骸 」が入っていた。
狼狽する “彼女” をみて イメージが壊れた 少女は 5年後、少女から女神を奪った「 ハトと ケーキを入れ替えた 」 犯人と その動機を 探ろうとするが……。
昔の西澤保彦 作品には オモシロい「 SF 」設定の ミステリーが多くありましたが、本作にも チョット変わった、
「話をしていると 喋りたくない事、出来事まで 喋ってしまう」
という特殊能力が出てきます。
能力により「 喋ってしまう人 」が「 忘れていた記憶を掘り出される 」のみならず、
それにより「 気付いた事 」で、昔から気になっていた「 謎 」を自ら解いてしまう、という設定も 特異。
能力を持つ 山吹みはる が その力に「 無自覚 」で「 純朴 」
( 頭も あまりよくない )ってのも イイです。
内容の方は「 行きの飛行機 」、「 職場 」の同僚や その知人、生徒に “発動” するという「 単発 エピソード 」的な流れ。
「 殺人 」の話もあるけれど、人々のドロドロとした内容が多めなので「 サスペンス・ドラマ 」の雰囲気が 強い印象かな。
肝心の「 りんの話 」は 後半かなと思っていると、中盤に差し掛かるあたりで ちょっと 意外な様相を見せ始めます。
そもそも「 りん & みはる 」のパートと 交互に描かれる、冒頭の「 少女と “彼女”と ハトの死骸 」パートが「 謎 」でね。
軽く ネタバレすると「 平行世界 」が出て来るんですが、
これが 映画『 エブエブ 』(22年)みたいなヤツで 面白いんですよ。
各々の「心情」も 良く描かれていたし、少女の「 失ったモノ 」と 代わりに得た「 ある能力 」が 終盤に “繋がる”構成も 面白かった。
( 人物描写は 今よりも だんぜん 上手い…と思う )
「真相」も意外性があったし、「 失ったモノを取り戻す 」流れや「 みはるの活躍 」も ちょっぴり感動的、
最後の イヤな後味の「 因果の巡り 」も 好みだったりで 満足感もありましたね。
ただ 「 下世話 」で「 性 」絡みの話が多くて 少々辟易したし、
( 昔から この要素も 強かったんですね… )
今読むと「 旧く 」感じるところも 結構 ありましたけど。
でも「 消費さられる 女性 」の視点は 当時としては 新しかったのでは…?
ちなみに「 あとがき 」によると タイトルのネタ元は アラジン の『 完全無欠のロックンローラー 』でした。