映画雑誌「 映画秘宝 4月号 」
今回は 再復刊した雑誌、『 映画秘宝 』の感想を。
発売したばかりの「 5月号 」ではなく「 4月号 」なので
そこは留意。
それと、今回 紹介する「 4月号 」は
「 2023年度 ベスト & トホホ 」
と、通常と違う内容なので “暫定” での 感想です。
復刊号である「 3月号 」も 読みたいんですが
読む時間がないので 無理かも…。
始めに 読後の感想を書くと “良かった” ですね。
ちなみに 今日「 5月号 」を買いましたが、
パラパラっと見た感じだと 良さそうです。
正直、休刊前は「 アメコミ映画 」の ページ数が多く、
若干 辟易していたところもあったんですが、
( とはいえ「 記事 」は 興味の 有る無しに 関わらず
「 全て読む 」タイプなので ちゃんと読んではいたが )
「 復刊4月号 」は それよりも前の バランスの取れた内容
( 好きな 映画 & ジャンル による )かつ、「 サブカル 」感も
チョット 戻っているような感じで 読み応えがありましたね。
個人的に この号で 一番 楽しく 読めたのが、おそらく 初めて
読んだ ライター、後藤護 の
『 古谷兎丸「 ライチ☆光クラブ 」を
マルセル・デュシャンで読む 』
でしたね。 ( 映画じゃね~ )
この 後藤護は「 引用 」を用いて 書くタイプらしく、
この前の『 EXPRESS 』のページ、
『 クローネンバーグや フルチに 震えた御仁は
ピーター・グリーナウェイを 観なきゃそんでしょ! 』※
においても 引用の 雨あられ状態。
( ※「 特集上映 」に 合わせた記事 )
何だかんだで 楽しくは 読めたものの、
グリーナウェイ『 ZOO 』(85年)に関しては
『 戦慄の絆 』の双子の “先駆け”、『 怨霊界エニグマ 』と
カタツムリで “お仲間” くらいしか 分からず仕舞い。
しかし『 ライチ 』記事の方では
「 漫画 」の元を上映した 劇団「 東京グランギニョル 」から
フランスの「 グラン・ギニョール劇場 」の説明に入り、
そこから 荒俣宏 による
「 乱歩『 芋虫 』は グランギニョル に 近い性質を持つ 」
と来て、その後の「 スプラッター描写 」を経てから
『 帝都大戦 』の加藤と『 ライチ 』のゼラの「 手袋 」
( 2つとも「 星マーク 」がある )と続く様は まるで
「 脳の ニューロン伝達 」のようで、読んでいる こちらの
「 脳 」も ビリビリと刺激され ヘンな充足感が ありましたね。
ちなみに マルセル・デュシャン は 小便器を『 泉 』と称して アートにした人で、
この記事では 作品『 彼女の独身者によって裸にされた花嫁 』
( 通称:大ガラス )と 絡めてます。
まあ「 理解できた 」とは 言えないんですけど…※。
( ※ ネットにある『 大ガラス 』の「 解説 」を読むと 後藤護の言わんとしている事が 何となく分かった…様な気がする )
コレなんかは「 サブカル 」っぽい記事だと 思いますが、
「 5月号 」でも「 プロレス 」や「 偽・サウンドトラック 」、「 幻の エロアニメ 」と そっちっぽい記事がありました。
ちなみに その「 5月号 」でも 後藤護 は、
『 激飢餓家( げきがか )・宮谷一彦が フランスで甦る!
『 世紀末伏魔考 』『 性蝕記 』の狂気と性! 』
と これまた「 サブカル 」強めの 記事でしたよ。
その他 個人的に 良かった記事を サクッと紹介。
『 オッペンハイマー 』記事の「 人物紹介 」が 地味に 参考に
なりました。
知っている人もいると思いますが「 原爆投下 」に 反対した人も 結構 いたんですよね。
こういう事は 知っていた方がいいと 思うんだけどな。
そういう事で 観賞に行く人は 読んでおくと いいかもしれません。
「 年納め 」号らし『 23年 映画業界 覆面座談会 』は
「 製作本数( 公開作品 )に比べ 劇場が少ない 」、
「 低予算、ジャンル映画は キビシイ 」みたいな事が 書いて
あるんですが、
10年くらい前にも 同じような事が 書かれてましたね。
そういう意味で 今っぽかったのは
「 情報過多で 映画ファンに届かないまま 消費される 」
のところでしょうか。
( コレも 前に書いてたような気がするが… )
前よりも面白くなった( 気がする )のが、映画ニュース
『 ジャンル映画 諜報網 』。
『 ヒート 』の続編や 理由は 分からないが 製作停滞中の
『 スポーン 』、
『 28日後… 』シリーズの新作『 28年後… 』など、興味
深い話題がありましたが、
個人的には ポール・ヴァーホーベンが 準備中の
エロティック・スリラー『 Young Sinner 』が 楽しみ。
おおっと『 アムステルダム無情 』(88年)の続編も あるってばよ。
ソフト紹介『 円盤 保存の会 』は「 ジャンル映画 」多めなのが( 知ってる タイトルが多そうだが )嬉しい。
あと、内容紹介だけじゃなく ちょっとした「 裏話 」があったりするのが いいんですよね。
今回は ドン・シーゲル&イーストウッド『 白い肌の異常な夜 』
(71年)を 紹介していますが、
コレにも「 最終的に 女性脚本家2人 が完成させている 」との情報があります。
『 白い肌 』は 女性たちの描写が やたら 臨場感がありましたが 納得ですね。
それと、ジェフ・リーバーマン監督※『 悪魔の狂暴パニック 』(78年)なんかも ありますが、
テイタム・オニール & クリスティ・マクニコル の
エロ系・青春コメディ『 リトル・ダーリング 』(80年)も
紹介( 初ディスク化 )してますよ。
( ※ ジェフ・リーバーマンは あの『 スクワーム 』(76年)の監督 )
『 ネット上に 前衛映画の ユートピアがある!? 』の記事では
「 前衛芸術 アーカイヴ 」の サイト『 UbuWeb 』を紹介
してるんですが、
まったく そっち系 の知識がないため、興味深くはありましたが
もてあます 内容 でしたね。
その記事に サルバドール・ダリ の映画、
『 Impressions de la Haute Mongolie 』(76年)
が 紹介されたいたので観てみたんですが、
「 ヘンな編集や 映像 」は なんか楽しかったものの、
「 スペイン語 」なため まったく内容は わからず。
鑑賞後、検索してみると「 幻覚キノコを探す 」内容の
「 ニセ・ドキュメンタリー映画 」のようですね。
もうひとつ「 ディズニー絡み 」の作品『 Destion 』(03年)というのが あったので 観てみたんですが、
こちらは ディズニーと ダリの コラボ・アニメ作品の
「 ショートショート 映像作品 」で すごく面白かったですよ。
って事で いきなり「 画像コーナー 」。
〔『 Impressions de la Haute Mongolie 』
ここに タイトルが出る 〕
『 ~ Haute Mongolie 』は「 50分 」くらいの作品ですが、
スペイン語が わからないと 結構 見るのは キツイと 思います。
で、ここからは『 Destion 』の画像。
〔『 Destion 』 画像 1 〕
〔『 Destion 』 画像2 〕
〔『 Destion 』 画像 3 〕
〔『 Destion 』 画像 4 〕
〔『 Destion 』 画像 5 〕
〔『 Destion 』 画像 6 〕
〔『 Destion 』 画像 7 〕
これら「 ダリ的 ビジュアル 」に「 ディズニーっぽい動き 」が付いていて 観ていて 楽しかったですよ。
ちなみに この2つは『 UbuWeb 』に行かなくても
『 YouTube 』にも フツーにありました。
『 Ubu 』が 重かったので サクッと観るなら そっちの方が
いいかもしれませんね。
ついでに ここから「 2023年ベスト 」にも 軽く触れて
みます。
とはいうものの、個人的には「 票数での ベスト 」は さほど
重要視はしてません。
それよりも「 個人のベスト10 」の方が その人の性質が出て
いる選出だったり、
知らなかった作品を 挙げていたりするので 参考になりますね。
『 文春CINEMA 冬号 』にも「 23年ベスト 」があったので 期待していたんですが、
これには「 ジャンル視点 」が あまりないんで 物足りなかったです。
それと比べ『 映画秘宝 』の「 年間ベスト 」の方は
「 過去作品や ドラマも OK 」と “縛り” は緩いし、
参加者数も、ジャンル系の選出も 多いしで やっぱり 読み応えが違いますね。
ちなみに『 文シネ 』で 個人的に 一番 注目している ライター、CDB※の「 ベスト10 」( 順不同 )を紹介すると、
〔 ※ 前に書いたが『 文シネ 冬号 』の CDB記事のテーマが
「 ハリウッドの欺瞞 」。
今回の「 アカデミー賞 」でも その片鱗が 窺われた…?
( 個人的には あまり気にしては いないけど )〕
『 ドラえもん 空の理想郷 』、 『 キラーカブトガニ 』、
『 アリスと テレスの まぼろし工場 』、
『 SAND LAND 』、 『 リバー、流れないでよ 』、
『 正欲 』、『 TAR / ター 』、『 PIGGY / ピギー 』、
『 静かなるドン 全編 後編 』、 『 コナン 黒鉄の魚影 』
…と、メジャーと ジャンル系の バランスが ちょうどイイ
ラインナップ。
コメントでも『 キラーカブトガニ 』の
「 車イス少年 と 少女の物語 」の部分を 評価していたりと
信頼度も高いと 思うんですよね。
(『 キラーカブトガニ 』に関しては『 夏号 』でも 取り上げていて、同じような事を 書いていた )
『 秘宝ベスト 』に戻ると、
順位や「 コメント 」を 読んで 一番 気になった「 映画 」が、
4人が 入れていた( その内のひとりは 監督だが… )
『 野球どアホウ未亡人 』。
どうやら「 昭和スポ根と ポルノが合体 」した作品らしいのですが「 予告編 」が 面白かったので 観てみたくなりましたね。
ちなみに、直接的な エロは ないらしいので 気になった方は チェックしてみてください。
『 文シネ 夏号 』で 池上冬樹 が紹介していて 気になった、
ロバート・アルトマン監督『 雨にぬれた舗道 』(69年)※ は
( ※ これも「 特集上映 」絡みであった )
井口昇が「 1位 」に挙げていて 俄然、興味が湧きましたよ。
後藤護も「 7位 」に挙げてますし。
ちなみに その 後藤護の「 1位 」は
「 ギャスパー・ノエ “激推し” 」らしい、フランス映画
『 ママと娼婦 』(73年 上映時間は 220分… )です。
それと、ポール・シュレイダー監督『 カード・カウンター 』(21年)を 挙げている人も多く( 18位 )、こちらも
さらに 気になりました。
あと、前に 軽く紹介した ニコラス・ケイジ 主演の
『 マッシブ・タレント 』(22年)を入れている人が 3人も
いた事が嬉しかったですね。
…という風に「 ベスト 」は いろいろと 面白いんですけど、
「 トホホ 」の方は「 納得感のある コメント 」があるのは
いいんですが、
説明不足や「 流石に 穿ちすぎじゃね? 」と思うところも多く 結構 モヤるんですよね。
という事で 参考になったかは 分かりませんが、気になった方は 取り敢えず本屋で パラパラ捲ってみてください。