本格ミステリー2冊「 仕掛島 」、「 星降り山荘の殺人 」 | berobe 映画雑感

berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

関係ない話題から。

 

 

この間 本屋に行ったら

 

小泉迦十 の「 メフィスト賞 」受賞作で、長らく「 文庫化 」

されていなかった『 火蛾 』(2000年 発表 )の「 文庫 」があって 驚きましたよ。

 

( ちなみに「 ノベルズ版 」を持ってます )

 

内容としては とっつきにくい「 宗教ミステリー 」

( しかも イスラム教、プラス その他 )なんですが 当時、

 

京極夏彦「 百鬼夜行シリーズ 」※

二階堂黎人『 聖アウスラ修道院の惨劇 』

映画版『 薔薇の名前 』( レンタル2回目 初見は 深夜映画 )

 

などの「 宗教系、その要素のあるミステリー 」に 触れていた

事もあり、すごく ハマれたんですよね。

 

( ※ 先に『 鉄鼠の檻 』を読んだのかは 覚えてない )

 

個人的に かなり好きな( 2回読んだ )作品で「 再販 」自体は

嬉しいんですが、

 

「 宗教 」に 興味がないと 面白くない気がするんで ネットの

評判が心配です…。

 

ちなみに、

2001年版の「 本格ミステリ・ベスト10 」で「 2位 」を取ってるみたいですよ。

 

なので「 どんと来い、宗教ミステリー 」という方は チェック

してみてください。

 

 

本題。

 

 

今月 読んだのは…

 

 

本格ミステリー

「 仕掛島 」  東川篤哉

 

 

幻想・怪奇系の 短篇集

「 虚談 」  京極夏彦

 

 

群像劇・人間ドラマ

「 CF 」  吉村萬壱

 

 

本格ミステリー

「 星降り山荘の殺人 」  倉知淳

 

 

と、バランスの取れた 読書。

 

 

まずは ミステリー2作品から。

 

 

「 仕掛島 」  東川篤哉

 

本格ミステリー。

 

 

23年前の夜、「 斜島( ななめじま )」の近くで 船釣りを

していた 中学生3人が 遭遇した「 出来事 」と「 白い人? 」。

亡くなった 出版社の社長、西大寺吾郎( せいだいじ ごろう )が残した 遺言書。

 

その続き「 遺言書 PART2 」の開示を任された 弁護士の

矢野紗耶香( やの さやか )と、

 

列席を求められていた 吾郎の甥・鶴岡和也(つるおか かずや) を捜し、連れてきた 探偵・小早川隆生( こばやかわ たかお )

は、瀬戸内の孤島「 斜島 」に建つ「 御影荘 」を訪れる。

 

だが「 遺言書 」が 読み上げられた 翌朝、鶴岡が 奇妙な死体となって 発見される。

 

前日の深夜、西大寺の長女が 窓から庭を見た時 “浮いた赤鬼” がいて 驚いた、という出来事があったが……。

 

 

 

最近、「 イイ面、悪い面  両方ある、しかも 差が激しい 」

( 故に 評価がムズい )作品に よく当たるんですが、

 

本作も それにあたりましたね。

 

東川篤哉 作品は「 ユーモア多め 」( あと 笑いの ツボ )が

合わないように思え『 館島 』しか 読んでませんが、

 

その『 館島 』の「 トリック 」が かなり良かったため

( というか 好き 話も 悪くなかった…ような )本作も 気になってました。

 

 

「 話 」自体は オーソドックスなんですが、

 

「 館の外で 発見された 奇妙な死体 」

「 庭に浮く 赤鬼?と、現れた小屋?」

「 23年前の事件、出来事 」

 

と、興味をそそられる内容になってましたね。

 

あと、「 館モノ 」らしく「 奇妙な構造の館 」要素も

ありますよ。

 

まあ、プロローグの「 23年前の 夜釣り 」の方は 大方 予想

が付きますけどね。

 

個人的に気になっていた「 ユーモア描写 」関係を 先に言うと、

 

「 辟易する箇所もあったが、思ったより クスっと出来た 」

 

になるかな。

 

 

肝心の「 本格 」部分はと言うと…

 

個人的には “アレ” は「 好きな ヤツ 」でした。

 

ですが「 ツッコミ所 」の度合いは 強く思え、「 納得感 」は

低かったですね。

 

それでも アイデア自体は 独創的で すごく面白いので

それに合う「 世界観 」であれば バチっと ハマりそうな気が

しましたよ。

 

あと、細かい「 伏線・手掛かり 」関係も 悪くなかったです。

 

 

 

 

「 星降り山荘の殺人 」  倉知淳

 

本格ミステリー。

 

 

会社で 問題を起こしてしまった 杉下和夫( すぎした かずお )は、ほとぼりが 冷めるまで キザな「 スターウォッチャー 」、

星園詩郎( ほしぞの しろう )の マネージャーをする事に。

 

さっそく 杉下星園と共に イメージアップの仕事として

雪山にある、コテージを使った オートキャンプ場 へ。

 

他に 集められた「 UFO研究家 」と「 小説家 」、

依頼者・岩岸 の知り合いの「 女子大生2人 」らと共に そこで一夜を過ごすが、

 

翌朝に 岩岸のコテージで の「 絞殺死体 」が発見される。

 

その コテージには 雪に残った「 3筋の足跡 」と

「 ミステリーサークル 」を思わせる「 跡 」が残されていた。

 

杉下は 昨晩、岩岸のコテージの前で「 言い争うような声 」を

聞いていたが……。

 

 

 

端折りましたが「 嵐の山荘 」( クローズドサークル )展開になります。

 

本作は「 本格ミステリー 」で 度々 名前が挙がる作品ですが、

未読でした。

 

で、ようやく 読んだんですが、いかにも ちょっと前の

「 新本格 」というような内容で 少し 懐かしい気持ちになりましたね。

 

 

言い換えれば「 古めかしい 」とも言え、

今読むと 引っ掛かる表現があるのが 難点かも。

 

それとは 関係ないですが、細かいところでは 専門家なのに

「 UFO 」と「 宇宙人 」を ごっちゃにしているところが

気になりました。

 

 

「 ミステリー 」としては 要所要所に「 次の展開 」と共に

「 注目点 」が示されている 親切設定で、

 

「 本格 」として とっつき易い印象を受けましたね。

 

特に「 伏線・手掛かり 」の描写が 自然で 感心しましたよ。

 

ただ、一番 期待していた「 ミステリーサークル 」の くだりが弱く、全体的な「 納得感 」は それほど高くは なかったかな。

 

( 雪が降る地域なんで「 雪 」関係は 厳しく なりがち )

 

ちなみに “アレ” には 気付きましたよ。

 

まあ、それ以外は ダメでしたが…。