本格ミステリー「 灰かぶりの夕海 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

今月 読んだのは

 

本格ミステリー

『 灰かぶりの夕海 』  市川憂人

 

 

一応、本格ミステリー

『 夏と冬の奏鳴曲 』  麻耶雄嵩

 

 

全集

『 筒井康隆 全集19

12人の浮かれる男・エディプスの恋人 』 筒井康隆

 

 

の3冊。

 

ですが『 灰かぶり 』は 先月末に 読み終わっての「 持ち越し 」なので 実際は2冊です。

 

( まあ、今も 別のヤツを 読んでますが… )

 

今回は『 夏と冬の奏鳴曲 』が長文になったので 一冊ずつ紹介。

 

 

 

「 灰かぶりの夕海 」  市川憂人

本格ミステリー。

 

 

マスクが必須になり 前年の五輪も中止、外を出歩く人も

ほとんどいない 2021年。

 

バイクを使い「 荷物の集配 」の アルバイトをしている

波多野千真( はたの・かずま )は、相模湾沿いの国道で

倒れている女性をみつける。

 

その女性は「 2年前に亡くなった 」恋人と “同じ姿” で、

“名前も同じ” 夕海( ゆうみ )と名乗る。

 

いろいろと思いを巡らした 千真 だったが、結局は 訳アリらしい 夕海を ボロい自宅アパートに泊める事に…。

 

千真職場の上司の助けを借り、夕海は同じ「 集配 」の仕事に付き、 そのまま 千真と共に暮らすようになる。

 

しばらく経ち、今は「 一人暮らし 」の 千真の恩師の家に配達にいった 2人は、そこで 殺されたとみられる「 女性の死体 」を

発見。

 

その女性は 恩師の “亡き妻そっくり” の顔で、家も「 密室 」

状態であった……。

 

 

 

いきなり( プロローグ )「 殺人現場 」、

「 一章 」始まってすぐ「 亡き恋人の そっくりさん 」が出て

くるし、

 

その後も ちょっとした「 気になる描写 」や「 集配トラブル 」など あるものの、

 

全体的に 千真夕海の「 不便・貧しい 共同生活 」や

「 配達仕事 」と、あまり波のない 静かな流れ。

 

「 インタールード(1)」の描写に “ある考え” を膨らませたりもしましたが、

 

いろいろと「 気になった( 腑に落ちない )ところ 」も多く、結構 ダラけた読書になってしまいましたね。

 

中盤頃、恩師の家で「 密室殺人 事件 」が 起こってからは

さすがに 身が入り出しましたけど。

 

 

その「 密室 」は「 手掛かり 」は しっかりあったとは思いますが、個人的に「 本格度 」は 少々弱め&地味め…かな。

 

というか「 開かずの間 」( 実際は「 入れずの間 」か )自体に至っては 納得ができず。

 

…でしたが、最後にやってくれましたよ。

 

「 気になったところ 」も 少々無理っぽいのも ありましたが、

ほぼ 氷解。

 

「開かずの間」や「 トイレ一緒に行った 」(どうせ 解らんし)とか、その他 諸々 得心が行きましたね。

 

ダラけながらも 結構 気を付けて 読んでたつもり※ なんだけどな…。

 

( ※ 念頭にあったのは 前に読んだ『 揺籠のアディポクル 』

それでも ダメってどういうことよ )

 

 

とはいえ、どちらかと言えば「 ミステリー 」よりも

「 人間ドラマ 」要素の方が 若干 “強め” かもしれません。

 

「 社会派 」要素も 意外とあったりしますし。

 

ちなみに「 結末 」は “逆の方”( 読めばわかる )が 好きかな。

 

 

あと、内容と関係ありませんが カバーの「 装画 」

平野実穂『 息が通う 』)が 綺麗でしたね。