黒沢清 監督2作品 「 地獄の警備員 」、「 カリスマ 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

黒沢清 監督 2作品。

 

 

「 地獄の警備員 」(日/1992)

黒沢清 監督の 殺人鬼系・ホラー作品。

 

新しく 「 曙商事 」に入社した 成島秋子

同じ頃に 「 曙商事ビルの警備員 」として 雇われたは、

3年前 兄弟子愛人を殺した 元力士の富士丸 だった。

 

その時は 無実になった 富士丸だったが 再逮捕との報道があり……。

 

 

 

再鑑賞。

 

初見は 20数年前で、その頃は 『 13金 』とか 「 アルジェント作品 」

とか、「 残酷 」演出・映像が ハデ目の作品を 多く観ていたので

イマイチに感じたんですよね。

 

今回観ても 「 残酷描写 」は やや単調、 「 黒沢清らしい演出 」も

物足りないと 感じたし、

 

「 サスペンス 」としても あまり盛り上がらずで、感想としては そんなには 変わらなかったかな。

 

それでも 「 突発的な暴力 」「 鉄扉 」『 悪いけ 』 )、

「 異質な精神( 思考 )」( 『 LOFT 』西島秀俊 と似てる?※ )が

発見できたのは 良かったです。

 

あと、ワンマン上司や デキない上司 などの 社内ドラマや、

「 女性の肩身が狭い 職場環境 」も イイ雰囲気でしたね。

 

 

〔 ※ 『 LOFT 』(05年)西島秀俊は 最後、犯行がバレて

自棄(ヤケ)になり、 主人公を道連れにして 死のうとしたが、

 

富士丸の「 殺戮 」(の 一要因?)も、再逮捕が迫っている事からの

「 自棄っぱちの殺人 」に思えた。   最後も 自殺してるし 〕

 

 

ここから「 画像 」。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  元力士・富士丸 役は 松重豊

今作が 「 映画 初主演 」らしい 〕

 

あんまり 力士っぽくはないけど、異様な雰囲気は よく出ていましたね。

 

 

関係ないけど 「 力士・殺人者 」といえば、『 世にも奇妙な~ 』 でも

映像化された、筒井康隆 『 走る取的 』( 面白かった )が 思い出されます。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』

主人公・秋子 役の 久野真季子( 現 : クノ真季子 ) 〕

 

『 世にも奇妙な~ 』 繋がりでいえば、昔の作品 『 見たら最後 』※

出てましたね。

 

 

( ※ 『 世にも奇妙な~ 』の 『 見たら最後 』

覚えている人が多そうな作品。

 

大きな声では言えないが 観ようと思えば 観れる。

でも、“見たら最後” だからな~ )

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  富士丸の 最初の殺人。

ちなみに 殺された 白井 役は 内藤剛志

 

「 とりあえず 死体をロッカーに押し込めとく 」的な 雑な感じがイイね。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』

「( インシュリン打つところ を )見てるだけで いいから 」 という、

「 謎・セクハラ 」をする 上司・久留米大杉漣 ) 〕

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  黒沢清 作品で よく出て来る 「 鉄扉 」 〕

 

インタビューを読む限りでは 「 鉄扉 」には 意味はないみたい?

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  地下にあった「 秋子の写真 」 〕

 

この他 「 富士丸が 秋子の落とした イヤリングを 付けたり 」と、

ちょっとした 「 ストーカー 」要素も。

 

 


〔 『 地獄の警備員 』

エレベーターに乗っている 久留米富士丸に 襲われる くだり 〕

 

ここは 『 悪いけ 』『 殺ドレス 』っぽかったですね。

「 カット割り 」なんかも 良かったな。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  配電盤?で感電させられる 久留米

 

ここらへんから 地味目に…。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  久留米の「 腕折り 」&「 足折り 」 〕

 

ここは 折る時に 「 カット 」が変わって 迫力半減。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  腕を折られる 野々村

 

ここは ちゃんと「 折る 」描写があって 良かったんですが…

 

 

〔 『 地獄の警備員 』  「 警棒&フライパン 殴打 」で死んだ 野々村

 

顔が「 ほぼ 血のみ 」で ガッカリ。

やっぱり 「 特殊メイク 」がないと 迫力が不足気味だな。

 

 

〔 『 地獄の警備員 』

女性をロッカーに閉じ込め ロッカーごと 潰す、富士丸 」の場面 〕

 

『 地獄の警備員 』といえば この「 ロッカー潰し 」

 

「 力士らしい パワープレイ 」「 ケレン味感じる 描写 」と 申し分ない

場面。

 

個人的には 力士らしい、「 力を活かした 体や 素手による 殺人 」が

もっと見たかったですね。

 

 

 

「 カリスマ 」(日/2000)

 

「 人質事件 」で 犯人の命を助けるため、両者とも 死亡させてしまった 刑事・藪池( やぶいけ )。

 

その犯人から 「 世界の法則を回復せよ 」との メモを手渡されていた 藪池は ある森を訪れるが、

その森にある 「 一本の老木 」を巡る争いに 巻き込まれてしまう。

 

その 老木“カリスマ”

「 毒素を まき散らし 周りの木々を 枯らせている 」というが……。

 

 

コチラは 初鑑賞。

 

何となく 興味が湧かない内容でしたが かなり面白かったです。

 

「 ホラー 」というよりも 「 不条理・サスペンス( ドラマ )」なんですが、

「 人の争い・妄執 」は “恐怖” といえそうなので まあ、いいかな。

 

( オチも あんな感じだし… )

 

 

老木・“カリスマ”に対する、各々「 異なる 考え方・捉え方 」(思想)によって起こる 対立を描いた 「 寓話 」みたいな話でしたね。

 

今は亡き院長が 植えた 「 老木 」を “カリスマ”と呼び、守っている

桐山にとって 老木は 「 力 」や「 権力 」、「 地位 」の象徴みたいに映ったな。

 

「 老木が生きれば 他の植物は 死んでもいい 」みたいな考えは

「 弱者淘汰 」を 思わせるし。

 

あと、「 刀 」っぽいのを持っているってのも 意味深だったな。

 

一方、「 毒素 」から 森を守るため、その元凶である「 老木 」を調査

する 「 環境保全課 」は、

その希少性から 「 老木 」に価値を見いだし 「 金 」に変えようとするし、

 

同じく 「 老木よりも 森全体の保全 」を考えている 植物研究家・神保は 「 老木 」を「 害悪 」だと捉えているけど、

 

「 他の植物も 毒素に犯されている 」と 過剰な言動を 見せるんですよね。

 

あと、神保の方は 桐山の「 考え 」と対比させると 「 反権力 」や

「 弱者寄り 」が浮かんでくるかも。

 

こう書くと 神保「 比較的マシ 」に 思えてきますが、

 

なんと 中盤、「 毒素 」を撒いているのは神保 との情報

老木が 毒素の元凶ではないかも… )が出て来て 困惑するんですよ。

 

当の藪池はというと、「 争い 」が嫌いな質( たち )で

「 老木 」の世話を手伝うものの、どちらにもつかず。

 

結局 「 根ごと 引っこ抜き 」(「 抜根 」って言うのね)から 端を発した、

「 老木 争奪戦 」により 「 争い」に決着がつくも、

 

新たな「 木 」が発生…がすぐ 老木になり?争いがまた 勃発と、

「 争いのタネ 」(?)は無くならない。

 

藪池神保「 生きる事と 殺す事は 同じ 」との言葉から

「 両方 生きればいい、 両方 死んでもいい 」と 達観するも、

 

最後は 流れに任せ「 老木を破壊する 」方( 神保の方 )を選択、

「 新たに 生えてきた 芽 」神保に委ねる事に。

 

その選択は 藪池「 皆を救いたい 」との思いに 反した、

「 大量死 」をもたらす( かもしれない )顛末で…。

 

 

一見した 感じだと

「 バッド・エンド 」( 解釈しだいでは 「 終わりの始まり 」 )なんだけど、どの選択をしても 同じ顛末になりそうな気も。

 

そもそも 「 人間 」からは 「 グッド・エンド 」など 生まれないのかもしれませんね。

 

 

 

〔 『 カリスマ 』  藪池 役の 役所広司

 

〔 『 カリスマ 』  藪池と 老木を守る 桐山

よく見えないが 桐山( 右 )役は 池内博之

 

周りを枯らす “カリスマ” だが、“カリスマ”自身も 弱っている

 

今観ると 「 老害 」っぽくも 感じますね。

 

 

〔 『 カリスマ 』  植物を研究する 神保美津子 役は 風吹ジュン

 

ちなみに 役は 黒沢清作品に 多く出演している 洞口依子

 

あと、大杉漣 も出てますよ。

 

 

〔 『 カリスマ 』  “カリスマ”を巡る争い 〕

 

緊迫感がある 内容 だけど、後半頃の 「 老木 争奪戦 」

黒沢清 監督 『 ドッペルゲンガー 』(03年)の、

 

「 “意思で動かせる車イス” 争奪戦 」を思わせる 「 コメディっぽい 」

雰囲気。

 

あと、「 音楽 」も 「 不穏な旋律 」だけど、

後半は ちょっと「 コミカルさを感じる 」曲もありましたね。

 

 

〔 『 カリスマ 』  「 老木 争奪戦 」の 一場面、

黒沢清 作品で よく見られる 「 突然の暴力 」描写 〕

 

この「 構図 」も相まって 唐突感を 強く覚え ドキッとします。

 

 

〔 『 カリスマ 』

神保・妹に 燃やされた “カリスマ” と、落ち込む 桐山

 

 

〔 『 カリスマ 』  新たに発生した 大樹 〕

 

“カリスマ”は 燃やされるが 新たに 「 キノコ雲 」のような 木が発生

でも しばらくすると 枯れる

 

「 キノコ雲 」の形は 「 原爆 = 争い・暴力 」を 想起させますが、

 

人によっては 「 他国の侵略 」、

逆に 「 平和・繁栄 」〔 そして 衰退( 老木 ) 〕や、

 

「 希望 」( すぐ “枯れる” が… )なんかを 感じるかも?

 

 

〔 『 カリスマ 』

「 環境保全課 」に雇われている?人たちによる、「 木槌 殺人 」 〕

 

淡々と 「 体を押さえつけて 頭を 木槌で ゴン…ゴン…と 叩く 」描写が素敵。

 

この場面が 二番目に 好きですね。

 

 

 

〔 『 カリスマ 』  “新たな老木” を破壊した 藪池

 

藪池は “新たな老木”を破壊しようとする 神保に言う、

 

「 そんなに 憎いですか  ただの枯れ木なのに 」

 

藪池は “新たな老木” を破壊、その跡には 「 新たな芽 」が…。

藪池は その「 芽 」の扱いを 神保に委ねる。

 

 

〔 『 カリスマ 』  「 “新しい芽” を渡せ 」と 人質に取られる 神保( 上 )と、最初の「 人質事件 」( 下 )〕

 

 

藪池は 最初の「 人質事件 」では 両者とも 死なせていたので

この場面は 「どちらか または 両方を 救えるのか… 」と 超・盛り上がりましたね。

 

あと、「 上画像 」見れば わかりますが 松重豊も 出てます。

 

 

 

〔 『 カリスマ 』  藪池が見る、燃え盛る「 街 」 ( ラストカット ) 〕

 

最後、藪池の上司( 部長 )の電話

「 藪池か… 何やった… 何をやったんだ 」

 

 

という、何か知らんけど 「 トンデモない事になる 」最後でした。

 

まあ、『 回路 』「 人類滅びそうな 結末 」 だったし、

『 叫 』「 人いっぱい死んでそう 」 だったので、

 

そういう意味では 黒沢清 監督らしい オチ でしたね。

 

あと、最後は サイレン( 警報 )が鳴っていたので

『 ポゼッション 』(81年)の最後みたいだったな。

 

ちなみに この「 ラストカット 」が一番 好きな場面です。

 

 

というわけで 個人的には 「 不条理感 」、「 暴力 描写 」、「 オチ 」が

ピタッと 好みに ハマった作品でした。