今月 読んだ本は、
SF&ファンタジー・アンソロジー、シリーズ 第3弾
『 不思議の扉 ありえない恋 』 編: 大森望
著: 小林泰三、 シオドア・スタージョン、 川端康成 他
本格ミステリー
『 頼子のために 』 法月綸太郎
多ジャンル・短編集
『 六とん3 』 蘇部健一
SF・本格ミステリー
『 ナイフが町に降ってくる 』 西澤保彦
こち亀・アンソロジー
『 小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所 』 原: 秋本治
著: 今野敏、 柴田よしき、 東野圭吾、 京極夏彦 他
と バラエティー豊かな 5冊。 ( 「 積読 」処理も がんばった… )
まずは 「 SF&ファンタジー・アンソロジー 」から。
「 不思議の扉 ありえない恋 」
著: 梨木香歩、 椎名誠、 川上弘美、 シオドア・スタージョン、
三崎亜記、 小林泰三、 万城目学、 川端康成
編: 大森望
『 SFショートストーリー 』の「 第2弾 」…に いきたいところ でしたが、
去年 亡くなった 小林泰三の SF作品『 海を見る人 』を いいかげん
読んでおきたかったので こちらを チョイス。
本作は SF&ファンタジー・アンソロジー 『 不思議の扉 』シリーズ の
「 第3弾 」で、全8作品 収録されています。
この アンソロジー、 「 恋 」がテーマ だし ほとんど 「 初読み作家 」
だったので チョット不安でしたが 思ったよりも 楽しめました。
「 サルスベリ 」 梨木香歩
約8ページ しかないので、「 作品紹介 = ネタバレ 」になるんですが、
本作は 「 サルスベリ( 植物 )に 好かれた 男 」の話 です。
“サルスベリ” よりも、
「 掛け軸 から 亡き親友が語りかけて来る 」場面が 幻想的で 印象に残ります。
「 いそしぎ 」 椎名誠
たぶん、初読み。 ( 教科書に載っていたような気もするが… )
「 不思議な造語 」があるのは知っていましたが、なるほど、
「 造語 」で 奇妙な雰囲気・世界観を 醸し出していましたね。
「 愛する妻が “お召し送り” に 選ばれる… 」
という 「 奇妙な風習 」を描いた作品で、
「 選ばれたことによる 報奨金 」、「 局 の存在 」、
「 受諾証書に サイン 」 など、
終始 不穏な空気が漂う 内容は 「 夫婦愛 」の要素は あるものの、
かなり 「 不条理・ホラー 」寄り。
「 段々と 熱を帯びていく 行進( 町内 )」に 薄気味の悪さが ジワジワと
湧いてきましたね。
詳しい 説明もないところも 良かったな。
「 海馬 」 川上弘美
「 男に 恋をし 陸に上がった、 “海に住む生き物” の 私。
男と過ごした 私は その後、他の男たちに 譲り渡されていき… 」
という 「 異類婚姻譚 」。
「 暮らしていけるが 自由は 奪われている 女性 」や 「 女性の自立 」を 暗喩的に描いた 話…なのかな。
「 DV 」や 「 トロフィー・ワイフ 」っぽい描写も ありましたが、
安易に 魅力的な男に惹かれる 女性の「 愚かさ 」( 本能?)が
垣間見えたりと、「 辛辣さ 」や 「 どうしようもなさ 」も 感じる 内容。
最後の「 変身 」( といか、女性から “元の姿” に戻った )は、
「 ありのまま 」の他、 「 男に媚びない 」みたいな 意味合いも あるのかな?
「 不思議のひと触れ 」 シオドア・スタージョン
「 夜の海、〈 “彼女”を待つ 〉平凡な男 は、同じく 〈 待ち合わせ 〉を
していた 平凡な女 と出会うが… 」 という 話。
かなり 「 ロマンチック 」な話なんですが、少しずつ 距離を縮める事になる 2人の会話は まるで「 コント 」のようで、
以外にも 一番 「 恋愛モノ 」として 楽しめた作品でしたね。
ファンタジックな 「 怪物譚 」( 出てこないけど )としても 楽しめたし、
“彼女たち” の 粋な計らい?を 感じさせる オチも 良かったです。
「 スノードーム 」 三崎亜記
「 クリスマスが近づく街。
僕は 〈 ショーウィンドー で 暮らす女性 〉を 見つける… 」
という、「 奇妙な設定 」は 面白そうだったけど、まあまあ 普通の結末 でした。
「 海を見る人 」 小林泰三
本作は たびたび 紹介されており、気になっていた作品。
著者の ( 本格・)ミステリー、 SF、 ホラー を合わせた作品は
読んでいますが、「 SFのみ 」の作品は あまり 読んでないんですよね。
「 山で暮らす 少年は 〈 山の祭 〉で 少女と出会うが、その少女は
山とは “時間の流れ” が違う( 時間の流れが 遅い )浜で 暮らしていた… 」
という 「 “時間差” 恋愛譚 」です。
高所ほど “時間の流れ” が速いため ( ブラックホールの影響らしい )、
「 山の1年 」は 「 浜の3、4日 」と かなりの時間差がある 設定は
面白いし、
少年が「 山 」から 遠眼鏡を使い 「 浜 」を見ると、
「 浜の人々が 止まっている様に 見える 」など それを活かした
描写や 展開も 良かったです。
ですが、「 時間が 少年と 少女を 引き裂く 」という 切ない「 青春譚 」は、 私には ロマンチック過ぎでしたね。
個人的には 「 時間に 囚われた 2人 」 という、「 SF系・恐怖譚 」にも
思えたかな。
「 長持の恋 」 万城目学
『 鴨川ホルモー 』の スピンオフ 作品。
てっきり 「 長持が人に恋をする 」話かと 思っていたら、
「 学生の珠美が バイト先の 老舗旅館の蔵にあった 〈 長持 〉に入っていた 〈 木の板 〉を介して 過去の人物と 〈 文のやり取り 〉をする… 」
という、映画『 イルマーレ 』みたいな(?) 「 “時代差” 文通譚 」
でした。
著者原作の 「 映画2作 」を見る限りでは 苦手な作風との印象を持っていましたが、
本作は 主人公・珠美の心情が コミカルに 描かれていたし、
「 子細な描写 」は 頭で映像化しやすく、予想外に 楽しく 読めましたね。
( 人気の理由が なんとなく わかった )
でも 「 終盤の展開 」は 結構 胸にきましたが、結末は あまり 好きじゃなかったかな。
「 片腕 」 川端康成
「 『 片腕を一晩 おかししても いいわ。 』
娘から 〈 右腕 〉を貸してもらった 私は… 」
という 「 腕フェチ&幻想・官能譚 」。
( テーマ的には 「 腕に恋した話 」 )
「 取り外された 右腕 」のほか、「 “もや” が垂れ込めた 街 」、
「 薄紫のヘッド・ライト 」、「 右腕との会話 」など、「 幻想ムード満点 」の作品。
“好み” でいえば 本作が 一番 好きですね。
「 右腕 との 触れ合い 」があったりと、エロティックな内容ですが、
真っ先に 想起したのが 『 ジョジョ 』の 「 スティッキィ・フィンガーズ 」。
「 腕の 取り外し 」のほか、終盤前では 「 自分の腕と つけ替え 」ても
いますし。 ( 右腕には ちゃんと「 脈 」もある )
あと、「 異常犯罪 好き 」としては
「 妄想系の 腕フェチ( 腕切断 )・猟奇殺人者 」の話としても 読めましたね。
雨外套( レインコート )の中に 「 娘の右腕 」を隠し 家路に向かう様子は かなり 犯罪者っぽい雰囲気だったし、
これも 「 ジョジョ絡み 」では あるんだけど、
「 男が右腕に 話しかける 」 ところも、なんか 吉良吉影っぽいんですよね。
という事で、個人的には 「 幻想フェチ( エロ )」、「 妄想・猟奇 」
として “2度おいしい”作品でした。
この「 シリーズ 」( 全4冊 )の収録作には 他にも 気になる作品があるので、たぶん、読むかも…。