「 恐怖の報酬 オリジナル完全版 」(米・1977)
ウィリアム・フリードキン 監督の サスペンス映画。
アンリ=ジュルジュ・クルーゾー 監督の 『 53年版 』の リメイクです。
有名なので いろいろ 省略。
ちなみに 『 53年版 』、『 77年 短縮版 』 両方 観てます。
この 『 オリジナル完全版 』の リバイバル上映時の 「 記事 」で
原題が 『 SORCERER 』( ソーサラー )だと 初めて 知りましたよ。
「 トラックの名前 」との説明も 載ってましたが、
「 なんで トラックの名前の ソーサラー( 魔術師 )が タイトル?」との
疑問が 浮かんできたんですよね。
「 『 完全版 』で 追加された カット 」の事も 書かれていたので、
その意図は 何となく推測は 出来たものの 気になってました。
という事で 「 タイトル 」 についての いろいろな( こじつけ )考察 と、
最後の 「 ドミンゲスと 酒場の女性の ダンス 」の解釈について。
( ネタバレあり )
〔 『 恐怖の報酬 オリジナル完全版 』
“悪魔の様な顔” の 「 彫刻壁画 」が見える タイトル 〕
今作は 2台のトラック が 出てきますが、
それぞれ 「 ラザロ 」、「 ソーサラー 」と 名前が付いています。
「 ラザロ 」は 「 イエスが( 奇跡を起こし )生き返らせた 男 」。
「 ソーサラー 」は 「 魔術師 」( 魔法使い )の 名称の1つで、
「 悪 」のイメージが 強め なのかな?
この2台は 始めは ボロボロ なんですが、整備された事で
「 生き返る 」んですよね。
それぞれ ( ラザロ のように )「 奇跡 」と 「 魔術 」で
“トラックが復活した” とも 思えるが 面白い。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
ボロボロの 「 ラザロ号 」。 名前が見えます 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
逆光により 神々しい感じがする、“復活した” 「 ラザロ 」 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
所々ボロく、「 ゾンビっぽい 」印象の 「 ラザロ 」( 元・死人 ) 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 ボロボロの 「 ソーサラー号 」 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 復活した 「 ソーサラー 」。
こちらは “顔” から 「 怪物っぽい 」 印象 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
「 ソーサラー 」に描かれている、「 魔術師 」というよりは
「 悪魔 」を思わせる 「 絵 」 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
トラック側面 の 「 SORCERER 」の文字( 上 ) と、
上の続き、「 ソーサラー 」が 通り過ぎて行った後 映る 「 彫刻壁画 」
( 下 )。
「 彫刻壁画 」+「 ソーサラー( の文字 )」は、「 タイトル 」とも 似せた
「 不吉 」な演出 〕
この、“不吉な”「 ソーサラー号 」は タイトルにも 関わらず、
後半、爆発するんですよね。
という事は、“トラック” としては 無事だった(?)「 ラザロ 」は
“奇跡”って事で 「 幸運 」の意味?
この 『 完全版 』では 前半25分、主人公4人が メイン舞台の
「 南米の国 」へ至った背景が 描かれて( 追加されて )いますが、
その事で 「 ドラマ性 」の他、「 社会派 要素 」や 「 宗教色 」も
強くなっていましたね。
かなり 重要なパートだと 思ったんだけど、
ネットの感想や 解説では あまり 触れられて いないような…。
1人目は ベラクルス( スペイン )の 殺し屋、ニーノ。
ここは 「 人を殺して 終わり 」と あっさり描写 でしたが、
どうやら 「 ナチス残党 」を殺している ようです。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 殺し屋・ニーノ。
「 南米の国 」へは 「 マナグア 」( ニカラグア?)へ行くための 経由国
として 訪れたようだ 〕
2人目は エルサレムで 「 爆破テロ 」を起こす カッセム。
ここは そのまま 「 イスラエル と パレスチナ の対立 」 で、
実行犯4人のうち カッセム 1人だけが 助かってました。
〔 2人は 射殺。 1人は 逮捕( 多分、処刑される?) 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 「 爆破テロ 」と カッセム 〕
当然、ユダヤ人の ニーノ とは 仲が悪いはずだけど、
「 倒木の爆破 」では 協力してるんですよね。
3人目は パリ で 「 架空取引 」( 詐欺 )を 働いた セラーノ。
詐欺に 巻き込んだ 義弟は 自殺、セラーノ は “愛する妻を捨て”
逃亡。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
妻 が読んでいる「 兵士の詩 」を聞く セラーノ( 男の方 )の くだり。
「 鏡 」で分割された セラーノの顔も 何だか 不吉 〕
「 ソーサラー 」には 「 運命を司るもの 」との意味も あるようなので、
そこから 「 タイトル 」を 決めたとするのが 妥当な感じですね。
「 キリスト教圏 」的には 「 運命を下す者 」といえば 「 神 」だと
思いますが。
この場面で セラーノは 妻から「 腕時計 」を 贈られますが、
その「 腕時計 」が、後半の セラーノの「 死亡の “切っ掛け”(?)」に
なっているのが 面白い。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 自殺した 義弟と セラーノ。
この「 自殺のくだり 」は 「 編集 」が 素晴らしかったな。 説明は割愛 〕
4人目は 米国・ニュージャージー州の マフィア、
ドミンゲス( ロイ・シャイダー )の話 ですが、
これが いろいろと興味深い 内容でしたね。
「 大金を 集計している 教会 」を 襲った ドミンゲスたちは
大金の強奪に 成功しますが、車での逃走中、口論から 事故に。
怪我を 負いながらも 死ななかった( 捕まらなかった )ドミンゲス
でしたが、
強奪時に 幹部の弟を 撃っていたため、命を 狙わる事になります。
何故、教会に 大金があるかと 言うと、
この教会は マフィアが 運営(?)している から。
この「 教会 」の場面では 「 結婚式 」を 行っていたし、
「 ビンゴ 」※も 催しているようなので それらが 多分、収入源なんでしょう。
( ※ 「 ビンゴ 」
米国では 教会が 運営資金確保のため 行う事があるみたい )
これは 多分、「 教会と 金、犯罪組織の繋がり 」を 揶揄した表現 だと
思うんですが、実際は どうなんですかね。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 教会に 掲げている 「 ビンゴ 」の告知。
この教会では 「 結婚式 」が 行われている最中 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
「 強奪 」と、 逃走中の「 事故 」と、
一人だけ 無事だった ドミンゲス( R・シャイダー ) 〕
「 ホラー視点 」で言えば、
ドミンゲス だけ 「 実は死んでた 」系( 話 )※の雰囲気で 観れますね。
〔 ※ “実は死んでた”系・ホラー 『 恐怖の足音 』(62年)は
「 車の事故 」が 始まりだった 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
「 結婚式 」場面での、目に「 アザ 」が見える 新婦 〕
新郎新婦を 映した 構図から
わざわざ「 新婦の顔 」に クローズアップ してるんですよね。
司祭の 「 祝詞 」も 冷たく 感じます。
「 男性の暴力性 」が 垣間見える カットに なってますが、
「 教会 」という場所を考えれば、「 宗教(者)の暴力 」の意味も
あるのかも…。
この 追加された 「 4つのエピソード 」から 見えてくるのが
「 暴力 」( 報復、対立 )と 「 金 」( 強欲 )、それと 「 宗教 」。
4人は それらで 国を追われる事になってましたね。
( ニーノ については 詳しく わからないが… )
こうして ( 奇跡的、 魔術的に )「 運よく 」? 「 南米の国 」に 逃亡
できた 4人ですが、
この国は どうやら 「 独裁国家 」らしく、
「 米国の油田会社 」と 両得な( 搾取的な )取引も しているようだし、
「 パイプライン設置 」の仕事場は ケガ人が出ても 「 設置 」が最優先で、
その( 少ないであろう )賃金も 警官に ピンハネ されたりと、
ここでも 「 金 」( 欲 )と 「 暴力の影 」が 付きまといます。
村自体も 貧しく、まるで 「 地獄の様な 」環境ですが、
「 油田火災 消火 」のため 「 ニトロ 」を 採掘場へ運ぶ 道程もまた、
「 地獄めぐり 」のようでしたね。
まるで 4人の犯した「 罪 」を体現させるかの様な、
過酷で 苦難を伴う 「 道 」で、「 因果 」を 強く 感じます。
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』 「 油田火災 」現場。
爆発原因は 「 テロ 」のようだ 〕
しかし、トラックの名前が 「 ラザロ 」と なれば、
4人が “奇跡的に” 「 逃げのびた 」のは 4人に 「 贖罪 」の機会を
与えたかった、との解釈もできそう。
つまり 「 ニトロ運び 」の道程は 「 煉獄みたいなもの 」 で、
危険な任務は 「 自己犠牲 」って事ですね。
まあ、煉獄※は 「 炎で “小罪” を清める( 浄化させる )」場 なので
違う気も するんですが、
「 業火 」のような 「 油田の火災 」は 「 炎による 浄化 」を 彷彿とさせるんですよね。
〔 ※ 「 煉獄 」
人によっては 「 某・アニメ 」や、「 某・連続打撃 」を 思い浮かべそう
だが、
「 天国 と 地獄の間 」に あるらしい、ワンチャン・ポイント(?)の事。
ダンテ 『 神曲 』にも 出てきます。
「 聖書 」に 書いてないので、プロテスタントでは 否定 らしく、
カトリックでも 肯定、否定があるみたいで、扱いに 困るゾ… 〕
結局、( 不吉な タイトルの通り?) 「 4人 全員死ぬ 」事になりますが、
「 因果 」にしろ 「 罰 」( 贖罪、煉獄 )にしろ、
どのみち 顛末は 決まっていた事のように 思えますね。
「 ラザロ 」が 「 贖罪の機会 」だとするなら、「 ソーサラー 」の方は?
キリスト教圏では 「 魔術( 魔法 )は 反キリスト 」との考えも あるので、
魔術師・「 ソーサラー 」は 「 悪魔 」と 同類と言えそう。
トラック にも 「 悪魔っぽい絵 」が 描かれていた事からも
「 ソーサラー号 」 = 「 悪魔イメージ 」が 成り立ちそうですね。
主人公・4人が 「 報復 」の感情や 「 お金 」の誘惑に駆られ 破滅した事を 鑑みれば、
「 ソーサラー 」とは そういった
( “悪魔の誘い” のような )「 衝動・欲望 」の事のように 思えますし、
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
セラーノの 「 妻への手紙 」を託される ドミンゲス。
このあたりで 『 四月の想い出 』が 流れる…というのは 雑誌記事で
知りました 〕
〔 『 恐怖の報酬 完全版 』
「 長い黙考 」の後、ドミンゲスは 酒場の女性を ダンスに誘う。




























