10月 読書1 「扼殺のロンド」、「猫柳十一弦の後悔」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

10月に 読んだ本は…

 

 

本格ミステリー

「 扼殺のロンド 」 小島正樹

 

 

漫画 『 ジョジョ 5部 』の スピンオフ小説

「 恥知らずのパープルヘイズ 」 上遠野浩平

 

 

本格ミステリー

「 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪指数 」  北山猛邦

 

 

SF系・本格ミステリー

「 ティンカー・ベル殺し 」 小林泰三

 

 

ホラー・ミステリー

「 間宵の母 」 歌野晶午

 

 

の5冊。

 

 

 

まずは 「 本格ミステリー 」2冊( 小島正樹北山猛邦 作品 ) から。

 

 

 

「 扼殺のロンド 」 小島正樹

 

本格ミステリー。

 

 

「 廃・自動車整備 工場 」内の 「 壁 」に激突した「 車 」から

「 男女の遺体 」が発見される。

 

その遺体、“絞殺された” 木佐貫信子姉川家・次女 )は

「 腹部が 裂かれ 胃腸が なくなって 」おり、

 

“無傷だった” 姉川清人は 後に 「 高山病で 亡くなっていた 」事が

わかる。

 

さらに 「 車 」は 衝突のため、ドアが開かなくなっており、

工場も 目撃者 が工場を出た 数分後、地主が 施錠し、

「 二重の密室 」になっていた…。

 

 

 

『 十三回忌 』 と迷ったのですが、コッチの方が 面白そうだったので。

 

少し前に読んだ 『 奇譚の島 』と同じ探偵だよな~と 思ったら

「 シリーズもの 」※ でしたね。

 

( ※ 『 海老原浩一 シリーズ 』

今作は シリーズ3作目で、『 奇譚の島 』は 5作目、

かなり前に 読んだ 『 呪い殺しの村 』は 7作目 みたい )

 

 

著者は 「 大きなトリック 」を 得意とする 作家で、

 

今回も 「 胃腸 取り出し 」「 高山病 」と、

初っ端から 「 ケレン味を 感じる 不可解な事件 」を 放ってましたね。

 

この 姉川家を 中心にした事件 を、

刑事の小沢笠木 が捜査するんですが、

 

「 被害者2人の 目撃証言 」 や、姉川家・各自 のアリバイから

混迷が深まり、さらに 「 第2 」、「 第3 」の事件も 起こります。

 

 

ちなみに 「 第2の事件 」は

「 被害者の 手首と 頭部に 包帯が巻かれた “密室” 」

 

「 第3の事件 」は 「 死体出現 」と なっていて、

 

順番に ケレン味が 「 大 」「 中 」「 小 」と、バランスの良い形に

なっていましたね。

 

あと、「 事件 」それぞれ 伏線のアプローチが 違っているのも

良かったですよ。

 

個人的には 「 第3の事件 」の 「 可能性 潰し 」に “いぶし銀の魅力” を 感じました。

 

かなり 気になるところも ありましたが、

個人的には 「 総合的に見て 」まあまあ 許容範囲…かな?

 

二転三転する 「 話 」自体も 面白く

( 3冊しか読んでませんが ) 小島正樹作品の中では 今のところ

一番 楽しく 読みましたね。

 

 

 

 

「 猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪指数

北山猛邦

 

本格ミステリー。

 

 

“才能の無さ” を 自覚し、「 探偵 」を 諦めた

君橋君人( きみはし・きみと 通称:クンクン )は、

「 探偵助手 」になるため 大学の「 探偵助手 学部 」に入る。

 

2年になり 「 ゼミ 」を選ぶことになった 君橋 と、同アパートに住む

月々守( つきづき・まもる )の 2人 は、第3希望として 適当に選んだ 探偵・猫柳十一弦( ねこやなぎ・じゅういちげん )の「 ゼミ 」に入る事に なってしまう。

 

実は 若い女性で、若くして「 名探偵号 」を取った 天才でもある

猫柳十一弦 だったが、

駆け出しの探偵で 実績は無く、頼りなさげ だった…。

「 猫柳ゼミ 」は 名探偵・雪ノ下 が担当の 「 雪ノ下ゼミ 」の

「 孤島研修 合宿 」に 参加するが、

その “千年館・孤島”( ちとせだて・) で 殺人事件が 起こる…。

 

 

 

北山猛邦『 クロック城~ 』( トリック好き )、『 オルゴーリェンヌ 』

短篇集 『 私たちが星座を盗んだ理由 』 は 読んでます。

 

 

古本屋で 続編と共に 購入。

 

続編の方の 「 帯 」に、この 『 猫柳~の後悔 』 について

 

「 13年版 『 読者に薦める 黄金の本格ミステリー 』 選出 」 との文言が…。

 

調べると 「 黄金の本格ミステリー 」 とは、

 

07年から 始まった

「 南雲堂 の 『 本格ミステリー・ワールド 』の中から、特に 優れたものを 選び、顕彰する 」企画 のようです。

 

今は その 『 ~ワールド 』自体が 休刊してるようですが…。

 

 

本題。

 

本作は 「 名探偵 」が 地位を持ち、認知もされている 「 世界観 」…

みたいです。

 

「 探偵助手 学部 」 とか 「 名探偵号 」が “ミステリー心” を

くすぐりますね。

 

読む前は 「 タイトル 」から 「 老人?探偵 」を 想像していましたが、

まさかの 「 女性探偵 」で ちょっとビックリ。

 

性格も 探偵らしからぬ(?) “おとなし( 控え )め” で、“頼りない感じ” なんですが、

これは 「 他の探偵との 差別化 」という 意味では 良かったですね。

 

 

主人公の 君橋は “普通”のキャラ でしたが、

月々 の方は 陽気な性格なのに 意外と 鋭いところも あったりと、

面白いキャラ でしたね。

 

 
あらすじから わかる通り 「 孤島もの・ミステリー 」

 

事件は

「 胸に 杭が刺さり “蛍光塗料まみれ” の服の 死体 」

「 “透明アクリルの箱” に 入った 死体 」

 

「 立て続けに 発見される 」 という 緊迫感のある展開。

 

しかも 「 ほぼ 全員に アリバイ がある 」事も わかり、

テンションも 上がりましたね。

 

その後は 「 探偵助手 生徒 」( と 探偵 )という事で、

「 全員で 固まって 行動 」と セオリー通りの 展開になるのですが、

 

中盤くらいから 他作品とは チョット違う 趣向※に なってました。

 

 

※ 「 設定・展開バレ 」なので 以下白字。

 

「 未然に 次の殺人を 防ぐ ( 防ごうとする )探偵 」。

 

ミステリー的には 「 次の殺人 」 が 「 推理材料 」にも なってしまう、

「 探偵のジレンマ 」な 問題 でもある

 

 

この趣向が、探偵・猫柳の 「 秘めた想い 」、「 探偵としての矜持 」、

「 彼女の アイデンティティ 」にも 繋がっているので、

「 ドラマ 」としても 結構 グッと くるんですよね。

 

 

肝心の 「 ミステリー 」( トリック など 諸々 )に ついては、

 

犯人の 「 殺害ルール 」は “腑に落ちない感じ” を 若干、覚え

ましたが、

「 趣向を活かすため 」なので まあ、無問題…かな。

 

 

「 死体の 蛍光塗料 装飾 」は ケレン味としては “好み” では

ありますが、

「 犯行の 納得感 」としては 低め。 ( 被害者に バレそうな気が… )

 

個人的には もう少し 工夫が欲しかったな。

 

「 アクリルの箱 殺害 」も 結構 良かったけど、

こちらも もう少し 説得力が ほしかったです。

 

 

という事で、個人的に 「 本格 」としては “まあまあ” な感じでしたが、

 

探偵が 魅力的 だったし、「 ミステリーの趣向 」も 良かったので

予想したよりも 楽しめましたね。

 

「 読み心地 」( 文体 )も “軽め” なので、サクッと 読めるのかな?