面白かった 3作品。
サスペンス 「 バーニング 劇場版 」
隣人トラブル・サスペンス 「 隣の影 」
ファンタジー系・人間ドラマ 「 幸福なラザロ 」
「 バーニング 劇場版 」(韓・2018)
イ・チャンドン 監督の サスペンス。
チャンドン作品は 『 ポエトリー アグネスの詩 』(10年) が
面白かったですね。 ( あまり 覚えてないけど )
『 テレビ版 』は 興味が湧かず スルー。
この『 劇場版 』も ( 時間も長いし… )スルー するつもりでしたが、
複数のブログ記事で 興味が出て 鑑賞。
で、観てみたら 「 韓国 格差社会 」 + 「 ○○○○ 」 じゃないですか!
いやー、見逃すところ でしたね。
少し寓話っぽい感じも 「 エンタメ的 」で 面白かったな。
…と、思っていたのですが、みんな 結構 深読みしてましたね…。
個人的には 「 そのまんま 」の解釈です。
ちなみに 好きな場面は、最後の「 アレ 」※も イイけど、
伏線が 効いていて ゾワッと来た、「 引き出しを 開ける 」場面が
好きですね。
〔 ※ 最後の「 アレ 」。
何気に 「 長め 1カット 」( 約 6分 )で 超興奮。
しばらくして 「 そういえば 記事で 読んだな… 」と 思い出したが… 〕
主人公が ヒロインから 「 猫 の世話 」を 頼まれる 展開でしたが、
「 猫 」 は 「 お金 」( 富。 あと 女性も? )の暗喩 でしたね。
「 猫 」の世話をしても( 働いても )、
「 猫( お金 )」を “触る” どころか、“見る事“ すら 出来ない…。
「 猫( お金 )」は 「 存在しないんじゃ… 」 と 思い始めた後半、
意外な形?で あっさり 登場。
しかも、見つけるのが 主人公ってのが 切ないな~。
「 お金 」は 集まる ところには 集まる( 奪われる?)って事なんですね。
主人公は 最後、「 ハウスを 燃やす 」 けど、
その 「 ハウス 」は 誰も見向きもしない 「 ビニール・ハウス 」 ではなく、
「 豪邸 」 だ。
当然、誰かが すぐに 「 気づく 」ので 主人公は 捕まるんだろうな。
「 無言電話 」は
「 声なき声 」や 「 助けを呼ぶ声 」( 小さくて聞えない )かな。
「 暴行事件 」※を 起こした 主人公の父親が 「 頑な 」( 無言?)
だったのも、
「 意見を 言った ところで 無意味 」との 「 諦念 」であり、
「 ささやかな 抵抗 」 に思えましたね。
( ※ 「 父親の暴行 」も また、規模は違うが 「 燃やす 」行為 なのだ )
なので、捕まるで あろう 主人公も 多分、無言でしょう。
まあ、その代わりに(?)「 書いた 」訳ですが…。
「 隣の影 」
(アイスランド / デンマーク / ポーランド / ドイツ・2017)
「 隣家の庭にかかる “木陰” 」 から 始まる “隣人トラブル” を描いた
人間ドラマ・サスペンス。
個人的には シニカルな 「 ブラック・コメディ 」 でしたね。
「 何となくの鑑賞 」 でしたが、面白かったです。
木を所有する家族の 夫の方は 「 枝を切る気 」があったけど、
「 木を 大切に思っている 」 妻 は それを 良しとせず。
「 隣家が 気に食わない 」って事もある みたい ですが、
「 長男を 行方不明 」で 失っている妻( 母 )にとって、
これ以上 「 大事なモノ 」 を、“少し” とはいえ 失いたくないんですね。
もしかすると、あの木 には 「 長男との思い出 」もあるのかも…。
その 「 長男の 生死不明 」という “宙ぶらりん状態”※ 自体も
かなりの ストレス なんだよな~。
( ※ ある程度の 「 区切りを 付ける 」 には 「 生存 情報 」や 「 遺体 」が必要 )
この両家の 「 チョットした?いざこざ 」を エスカレート させたのが、
「 何者かの悪意 」 というのが 地味に 恐ろしくてね。
この 何者か にも
何かしらの 「 想い 」( 恨み、 妬み、 日頃の鬱憤 など… )が
あったのかも しれないな。
一方の 次男も 「 楽しかった 記憶( 記録 )」の為に
妻と 娘を 「 失いそうになる 」 けど、
こちらも 「 失いたくない 気持ち 」から
「 状況が さらに 悪化していく… 」という、悪循環に 陥るんだよな~。
結局、
これ以上 失いたくなかった 妻は 「 多くの( 大事な )モノを 失い 」※、
( ※ “残った” のが 気ままな ○○ってのが 可笑しかった )
次男に 至っては 「 一番 大事なモノ 」を失うんだよね…。
しかも 「 木 」で…ってのが 皮肉。
当然、お隣さんも 「 多くのモノを 失い 」…と、
「 勝者のいない 」顛末が 虚しいぜ~。
という事で 個人的には
「 想い 」が 「 囚われ 」( 妄執 )になってしまう、切なくて 苦い、
そして “笑える” 話 でしたね。
あと、「 悪意が 悪意を 増幅 させる 」 という 意味では
若干、「 心理・ホラーの 味わい 」も あったかな。
「 幸福なラザロ 」(伊・2018)
「 無垢な青年・ラザロが 狂言誘拐 に利用され… 」 という 内容 から
イ~ヤな予感が したんですが、
まさかの( タイトル通りの )「 グッドエンド 」 でしたね。
前半も チョットした 衝撃展開( 少し ミステリー風 )だったし、
中盤 「 ラザロが 復活 」してから 描かれる、
「 変わらない 社会構造( 人間 )」も 今日的な内容で 面白かった
です。
観始めて 気になったのが、
タイトルの 「 幸福 」が どの時点の ラザロ に掛かってくるのか。
終始、 「 皆に いいように使われている 」 とはいえ、
「 自分らしく ( 献身的に )生きている 」 ラザロは 「 幸せ 」と言えそう。
( 少なくとも 「 ツラそう 」には 見えなかった )
ですが 宗教色を 感じる タイトルを 考えれば、
最後の 「 ラザロの消失 」 は
「 キリスト再臨 & 終末 」( 「 天に上がる 」、「 携挙 」※ ) が
想起されるので、
個人的に 「 幸福 」は
「 地上から 消え、神の元に行った ラザロ 」を 指していると
思いましたね。
〔 ※ 「 携挙 」
「 携挙モノ 」( 「 神様 赦して モノ 」 )という ジャンル?もあり、
結構 制作 されている。 当然、説教臭い 内容。
有名?なのは ニコ・ケイ主演の 『 レフト・ビハインド 』(13年)か。
個人的に オススメ なのは
バカ・コメディ 『 ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッド~ 』(13年) 〕
他の人々は
「 実際に 奇跡を見ても 」( 変わる チャンスを 与えられても )
何も 変わらないんだよな。
当の教会からして 「 冷たい 」しね…。
あの最後で 「 神が 愛想を 尽かした 」事が ハッキリと わかり、
笑ってしまいましたよ。
ラザロ意外は 皆、「 不幸( になる )」 なのだな~。
そういう意味では 今作も 「 ブラック・コメディ 」で いいかな。