ルイス・ブニュエル 監督の 不条理ドラマ 「 皆殺しの天使 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

「 皆殺しの天使 」 (メキシコ・1962)

 

ブルジョワな人々が 屋敷の 「 部屋 」から 出られなくなる、

不条理ドラマ。

 

個人的には 「 ホラー 」 でも いいかな。

 

監督は 『 アンダルシアの犬 』(28年)ルイス・ブニュエル

 

 

少し ネタバレ気味…。

 

 

 

序盤から 1人の使用人 が帰り、

何かを察している? 残りの使用人帰る相談をする など、

漂う 不穏な空気 が イイ感じ。

 

その後の 紳士淑女を 伴って 屋敷の主の エドムンドが 帰って来る

場面も、

なぜか “ループしたかのように” 「 2回帰って来る 」 のが

不条理 極まりなく、ゾワリと します。

 

 

会食後の ピアノ演奏が 終わり、各々帰ろうとするも、

何故か 「 部屋 」に留まり

男たちに 至っては 上着を脱ぎ、くつろぎモードに。

 

そのまま みんな 雑魚寝っぽい感じで 就寝。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、就寝場面。 床で寝たり、椅子で寝たり… )

 

 

 

朝になっても 「 なぜ 部屋から出られないのか 」 が わからず

 

お腹がすく も、食べ物 どころか 水も ほとんどない

「 サバイバルな 状況 」 に、ジワジワと 恐怖が 湧いてきますね。

 

でも この状況、

前日の 使用人への 「 当たりの キツさ 」を 思えば 胸がすく 気持ちも あるんだよな。

 

そんな中、唯一 “普通の市民” で 残っている 執事の フリオ

かなり 不憫。

 

空腹を紛らわす ため、紙を食べる姿も 切ないぞ…。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、紙を 食べようとしている フリオ…の手 )

 

 

 

あと、ちゃんと 「 外 」 でも “異変” を 察知してるんですが、

こちらからも 何故か 屋敷に 入る事ができないんです。

 

外の人々は 困惑気味なんですが、やり取りは 緊迫感がなくて

チョット愉快。

 

だけど 後半、子供を 屋敷内へ 行かせようとするのは 酷いな…。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より。 子供を 屋敷に 行かせようとする 場面。

しかし、途中で 引き返しちゃう )

 

 

 

こんな 状況なのに 「 神 」 に祈る 描写はなく ( 多分 )、

違う モノ に頼るんですよ。

 

メキシコは カトリックが 多いみたいですが、

そっちの 「 信仰心は 無い 」って事かな?

 

( この 「 キリスト教の 信仰心 」が 原因かと 思いきや、ラスト では…)

 

 

でも、頼る 「 カバラ 」( ユダヤ教?)の 「 鍵 」( 鶏の脚 )は 滑稽

だったし

「 フリーメーソン 」“助けの叫び”虚しく 響くだけ だし、

「 言ってはいけない言葉 」ちょっと マヌケ でしたね。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、フリーメーソンの “助けの叫び” 場面 )

 

 

 

でも、不条理・ドラマ なのに 最後は 「 部屋からの 脱出法 」

ちゃんと描いている(?)のには 感心しました。

 

そして 終盤の 「 教会 」場面( オチ )と、

が 教会に 入っていく ラストカット に 震えましたね。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より オチ。 カッコ内 白字ネタバレ。

後日、脱出した 人たちは 教会での 儀式に参加。

儀式が 終わり、部屋を 出ようとする 司教(?) だが…

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より オチ。 カッコ内 白字ネタバレ。

教会での 儀式が 終わるが、“あの現象” が起こり、誰も 外に

出ない…

 

 

 

は 屋敷にもいて ( あと もいた )、

後半 「 部屋 」 に来た を殺し、焼いて 食べていました。

 

この、“キリスト教絡み” だとは 思いますが、

その解釈は 良く わからなかったですね。

 

イエス信徒生贄などの 意味がある みたいなので、

どのみち イイ意味の解釈 ではないと 思うけど…。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、前半の 羊。

熊も 羊も ジョーク として 用意したっぽい? )

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、羊 を焼いている場面 )

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より、羊たちが 教会に入ろうとする場面。

これが ラストカット で、この後 「 FIN 」 が出て 終わる。

人数が多い からか、羊の数が 多い のが 親切(?)。

外では 暴動が 起こっている みたいだが… )

 

 

 

ほとんど 「 部屋 」の場面 なので、絵的な “動き”は 少ないんですが、

 

代わりに 不安と 焦燥感で 浮き彫りになる、

人間性や 各人の性質も 描かれているので、退屈は しません。

 

後半、家主・エドムンド「 元凶かもしれない から 殺そう 」

提案する 場面では、

人々の 冷静な装いが リアルに 思え、少し ゾッと しましたね。

 

 

個人的に 目を引いたのが、「 夢 」の場面。

 

滑らかな 動きの 「 手 」 は ユーモラス ですが、

対する 女性の行動は 幻覚症状 を思わせ、恐さも 少し感じましたね。

 

 

 

( 『 皆殺しの天使 』より。 中盤、女性が 「 夢 」 で見る “動く手”。

シュールな 映像で 楽しい場面 )

 

 

 

一応、「 部屋 脱出法 」 ネタバレ。

 

( 『 皆殺しの天使 』より。 カッコ内 白字ネタバレ…字幕 付けたけど。

 

ふと 1人の女性が、あの日 会食が終わって みんなが 帰ろうとした時と 同じ 「 人物配置 」 だと 気付き ( 上の画像 )、

このまま 「 帰ろうとした時 」 を “再現”、そのまま 全員が 部屋を

出ます。

教会は 大人数 でしたが “再現できる時” は 来るのかな~

 

 

 

もともと 「 不条理 モノ 」 は 好きだし、笑いや 恐怖の 要素もあり、

とても 面白かったですね。