今月は 「 ミステリー・アンソロジー 」、「 ミステリー・中編集 」、
「 サスペンス 」 の 3冊。
「 密室晩餐会 」 二階堂黎人 編
「 密室ミステリー 」 アンソロジー の 第3弾 で 6作品。
1弾目は 『 密室殺人大百科 (上) 』、『 ~ (下) 』、
2弾目は 『 不可能犯罪コレクション 』 です。
過去の作品から 選んでると 思っていたのですが、
全て 「 書きおろし 」 でした。
( といっても この本、出てから かなり年月経ってますが )
「 少年と少女の密室 」 大山誠一郎
昭和28年。
タバコの 闇取引が 行われる家を 監視していた 警察が、
取引現場の 隣家で 殺人事件に 遭遇する、「 衆人環視 」 の密室
の話。
シンプルな トリック ですが、
序盤の 殺される 少年少女 と 警官 の 出会いの描写 が 巧かったですね。
意外な 犯人 と、それに至る 過程( 推理 )も 良かったです。
でも、警官の失態 だから 少し モヤモヤが あります。
「 楢山鍵店、最後の鍵 」 天祢涼
鍵店の男 が 警官と共に 息子の部屋を 開けるが、息子は 亡くなっていた。
「 密室 」 だったので 自殺と 思われたが、
“音に 色が見える” 「 共感覚 」 を持つ探偵、音宮美夜 が 捜査を
始め…。
音宮美夜 は 『 キョウカンカク 』( 未読 )の主役みたいです。
父親と 音宮の 「 心理戦 」 が スリリング。
鍵師 らしく、“鍵” や “扉” に 例えた 心情表現も 面白かったですね。
意外な真相も 良く、“うっかりミス” が 結構 ヒドイ けど
( 一応 伏線はある? )、一番 好きな作品。
「 密室からの逃亡 」 小島正樹
平屋で 発見された 老女性の 「 焼かれた 死体 」。
平屋は 工事の警備員に 見張られていたが、
老女性の死因は 遠く離れた 沼 での 溺死 で、全身も 外で 焼かれていた…。
老女性の息子が 容疑者で、高校の同級生でもある 刑事 が 事件の
真相に 迫る、ハードボイルドな 話。
「 やり過ぎる 」 作者らしいので、かなり デカい トリック かと
思いきや…。 ( 一応 デカい と言える…のかな? )
設定は 興味を そそりますが、真相は チョット 物足りない。
個人的には その前の 「 デカい トリック 」 の方が ケレン味を 感じて
良かったです。 ( まあ、好みの 問題ですね )
「 峡谷の檻 」 安萬純一
時代劇・ミステリー。
暗殺を終えた 男2人は 捕まり、「 枯れた谷 」 に “吊られた小屋” に
入れられる。
しかし、両側に 見張りが 居たのにも かかわらず、4日目の夜に
2人は 消えてしまう…。
軽い アクション や 催眠術 も出るし ( トリック には 関係ない )、
特異な設定 でも あるので、霞流一 の作品を 思い出しました。
なので、トリックは 大体 予想できました。
それでも こういった トリック は 好きなので 面白かったですね。
「 寒い朝だった 失踪した少女の謎 」 麻生荘太郎
“飛び降りた少女” が消え、行方不明 になる話 なのですが、
最初の トリック は、某 漫画 で 似たのが あったので ガッカリ。
“仕掛け” の 納得度も 個人的に 低くい。
でも、それを 前フリ とした 後半の 「 飛び降り 」 は まあまあ良かったかな。
残念なのが 失踪する前の 少女のセリフ、「 寒い朝だったから 」 が、
「 密室 」事件と 関係ない ことです。
その意味( 動機 ) は 好きなヤツ だけど…。
「 ジェフ・マールの追想 」 加賀美雅之
カー の 推理小説に 出てくる アンリ・バンコラン と ジェフ・マール が
登場する 作品。
「 密室 」、「 首切断 」、「 透明人間 」 と 面白そうな 趣向で、
「 読者への挑戦 」 も あります。
犯人と トリック 自体は 良かったのですが、「 首の切断 」 が ちょっと
気になるかな。
なので 真相 よりも、“その前の 推理”( もちろん 穴は ある ) の
くだり が楽しかったです。
「 ドッペルゲンガーの銃 」 倉知淳
本格・ミステリー の 中編集で、全3編。 ( プラス エピローグ )
キャリア刑事の 兄・大介 がいる、ミステリー作家の 卵の
灯里( あかり )。
小説のネタのため 兄 から聞いた “奇妙な事件” に挑むが…。
勉強だけは 出来る キャリア刑事・大介 の、
ノホホンとした様子 や、ポンコツぶり ( 妹曰く、“陽だまりのタンポポ” )に和みます。
ネタ探しに 必死な 灯里 と、ボンクラな 大介 との やり取りも 笑えますね。
ミステリーなんで 探偵役 がいるんですが、チョット以外?だったので
誰かは 秘密にしておきます。
1編目 「 文豪の蔵 」。
週に1回、整理のために 「 蔵 」 を訪れている 男女3人 が 「 蔵 」を
開けると 中には 死体が…。
「 蔵の鍵 」は 発見者の1人 でもある、蔵の持ち主 が 肌身 離さず
持っていた…。
“死体出現” の 謎を巡る 密室モノ。
今年 読んだ、某・作品を 思い出したのですが、
それよりも 良く出来た トリック で、伏線回収も 気持ちよく、
かなり 好きです。
2編目 表題作 「 ドッペルゲンガーの銃 」
“ほぼ 同時刻” に 起こった 「 コンビニ強盗事件 」 と 「 射殺事件 」。
両者は かなりの 距離があり、車で 2時間ほど かかるのだが、
使われた 「 銃 」 は同じだった…。
不可思議な 設定が 興味をそそりますし、伏線回収も 動機も 良かったです。
3編目 「 翼の生えた殺意 」
離れの茶室 で 首を吊った男 が発見される。
夜から 朝にかけて降った雪で、「 自殺者の片道の足跡 」 と、
発見者で 車イスに乗る長男 の 「 往復した車輪跡 」 が 残っていた。
犯人がいるとした場合、3人いる息子の いずれかしか いないのだが、3人とも 犯行は不可能 だった…。
某、マイナーな “カンフー映画” を思い出し、トリックの 一部は
わかったし、少し気になるところも。
それでも 楽しめましたが、先の2作品と 比べると、少し 物足りなさを感じましたね。
軽めな 感じなので 読みやすく、ミステリー本格度 も 高めかな。
「 鵜頭川村事件 」 櫛木理宇
パニック・サスペンス 作品。
1979年。
妻の墓参りのため、鵜頭川村 を訪れた 岩森明 と 幼い娘の 愛子。
妻の伯父・矢萩元市 の家に泊まるが、豪雨のため 村から出られなくなってしまう。
そんな時、若者の死体 が発見され、村の有力者・矢萩 の
問題児の息子 が犯人では…と 憶測が広がる。
さらに 長引く雨に 矢萩家 と 降谷家 や 他の家 との対立が 顕在化、
若者たちも 自警団 を結成するが…。
エンタメ性 が 高めかな?と思って読みましたが、そうでもなかったですね。
村に 会社を持ち、村民の1割 を占める 矢萩家 ( 雇い主 )と、
村民の 4割を占める 降谷家 ( 従業員がいる )との 関係性が
面白く、
降谷港人 と 矢萩廉太郎 との 友情に ちょっと グッと きます。
村( 田舎 )から 抜け出せず、都会とくらべ 変化のない暮らしに
焦燥感を 募らせる 若者の鬱屈の描き方、
村から出た 岩森 の、若者たちへの視線の 描写も 良かったです。
停電や 電話の不通、 水の融通や 食料の不足で 徐々に 高まっていく “狂気” は楽しいのですが、
後半の 「 自警団の暴走 」の “暴力描写” は 物足りないな~。
エンタメ性が 少ないのは まあ、良いんだけど、
テーマとしては もう少し 暴力描写 は あった方が 良かったかな。
中盤に 「 猟銃 」 の くだり が あったので、てっきり 誰かが使うのだろうと思っていましたが、結局 使わなかったし、
猟犬 も 出てきたけど “襲う” 描写は 無いし…。
それでも サスペンス・ドラマ としては まあまあ 楽しめました。
あと、ミステリー作品では ありませんが、
若者を殺した 犯人が判明する くだり は 結構 「 本格 」 でしたね。