映画本 「 怖い、映画 」
第3章から 続きで、感想など いろいろ。
この本に ついては これで 最後です。
第4章
「 恐怖の根源~フォビアの世界 強迫観念を刺激する映画 」
桜井雄一郎 の 「 『 ボディ・スナッチャー 』 恐怖の変遷 」 は、
タイトル通り 小説 『 盗まれた街 』( 55年 刊 )の 映画化 4作品に
ついて。
4作も あったか?と 思ったのですが、
『 ボディ・スナッチャー / 恐怖の街 』 ( 56年 ドン・シーゲル 監督 )、
『 SF/ボディ・スナッチャー 』 ( 78年 フィリップ・カウフマン 監督 ) の
他に、
『 ボディ・スナッチャーズ 』( 93年 アベル・フェラーラ 監督 )、
『 インベージョン 』( 07年 主演 N・キッドマン、 D・クレイグ ) も
そうなんですね。
でも、『 インベージョン 』 は 複製を作らず に、体を乗っ取るので、
趣が違い、気づきませんよ~。
( 内容も ほとんど 覚えていないし、本でも チョット触れているだけ…)
『 56年版 』 の メッセージ は、『 遊星よりの物体X 』(51年) と同じく、
個人的には 「 共産主義への脅威 」 と、捉えていましたが、
全く 逆の 「 米政府による 赤狩り 」( 思想統制 ) とも 考えられるんですね。
ちなみに ドン・シーゲル 監督 は 「 アカの脅威 」 と 言っているみたいです。
その 『 56年版 』 は 当初、
主人公 の 「 次は君たちだぞ 」 の 声 で終わるはずでしたが、
プレビュー上映で 観客が うろたえた ため、
本編を 「 主人公の 回想 」 とし、
冒頭の 「 病院で 語り始める 主人公 」場面 と、
最後の 「 対策に乗り出す 」場面 で 挟んだみたいです。
( バッドエンド から グッドエンド?に 変わった )
あと、ジョー・ダンテ 監督 『 グレムリン 』( 84年 ) で、
主人公が 見る TVに 映る、「 次はお前だ!」の映像 は、
『 56年版 』の “ハイウェイの場面” なので、
『 グレムリン 』 が 『 ボディ・スナッチャー 』 の 形を変えた 再現 だとの 指摘が 興味深かったです。
『 78年版 』 は 4作中、一番 好きです。
主人公 ( ドナルド・サザーランド ) が、結構 健闘していたので、
初見時は 最後の 「 叫び 」 に 鳥肌が立ちました。
好きな バッド・エンド の 1つですね。
あと、この作品の 「 複製人間 」 は、“傷”も再現 していて、
( 原作に あるのを 監督が 拾った )
さらに 見分けが 付けづらく、恐怖感が 増しています。
『 93年版 』 は レンタル店で 見たことがあったけど、借りなかったんだよな~。
監督の アベル・フェラーラ は、
ホラー的には 『 ドリラー・キラー 』(79年)の監督 だし、
舞台が 軍事基地 で、エンタメ・ホラー度が 高そうで 面白そうです。
フォレスト・ウィテカー も 出てるな。
「 Amazon 」の 動画配信 に あったので、今度 観てみます。
『 盗まれた街 』 の テーマを 今 考えると、
自分と違う 人種や 国から、いろいろと 奪われる 恐怖、
主義、主張の違いによって 起こる、人々の断絶って ことで しょうか。
あの 「 叫び 」 は、「 声高な 非難 」 や 「 排他的な 糾弾 」 にも
思えますね。
真魚八重子 の 「 見えない恐怖 放射能に感じる不安 」 は、
タイトル通り 「 放射能 」 を 扱った 映画に ついて。
始めに ハリウッドの “雑な” 放射能描写 として
『 M:I フォールアウト 』(18年) と、『 インディ4 』(08年) を
取り上げていて、苦笑しちゃいます。
個人的には 『 ダイ・ハード5 』(13年)の 「 放射能中和 」 が 酷かったですね。
気になった作品 が、“アトミック・ソルジャー” を扱った
『 ナイトブレイカー 』( 89年 TV映画 )。
核実験に 同行する 主人公医師 の 「 若いころ 」 と 「 現在 」 を
それぞれ、 エミリオ・エステヴェス と マーティン・シーン、親子で
演じてるんですよ。
“アトミック・ソルジャー” とは、核の恐怖 を 教えられないまま
核実験 に 参加させられた 軍人たち のことで、その話 自体が 恐ろしい。
個人的に 放射能の映画 で 思い出したのが、
『 魚が出てきた日 』( 67年 マイケル・カコヤニス 監督 )。
爆撃機が 墜落する前に 落とした、原爆 と
金属の箱 ( 放射性物質 が入っている ようだ ) を 巡る、
「 ブラック・コメディ」(?)で、
脱出した パイロット 2人 の 奮闘が滑稽で、金属の箱 を 開けようとする青年に ハラハラ し、
島民のバカ騒ぎが 拍車を掛ける ラストも 不穏で、印象深い作品
です。
あと、「 見えない恐怖 」 といえば、細菌や ウィルス を 扱った映画 も
あります。
『 アンドロメダ… 』(71年 ロバート・ワイズ 監督 )の
宇宙からの来た 細菌 の脅威 は 今でも 魅力的な 設定だし、
( ジャンル映画 では よく使われてるけど )
全く 未知の細菌の恐怖と 解読のプロセス が 楽しめた 作品でした。
あと、前半の 村を 調査する場面の 画面分割 が 緊張感を 醸し出していて 良かったですね。
『 アウトブレイク 』(95年) では、ウィルスを 人間が 拡散させてましたが、
元ネタ の ノンフィクション本 『 ホットゾーン 』( 94年刊 ) が 数年前に 再刊行 されているし、
映画 『 コンテイジョン 』(11年 スティーブン・ソダーバーグ 監督 )では、
感染が 始まってからの 日数表示 が 緊迫感を出していて、
世界の混乱っぷり も リアルな 感じでした。
映画の最後に 「 感染 1日目 」 が 描かれ、恐怖を 終わらせない
ところが イイですね。
他国との 行き来が 当たり前の今、「 パンデミック 」 は かなり 身近な 恐怖 なんだよな~。
黒木あるじ の 「 ドキュメンタリーは恐怖だ!」 は かなり 衝撃的。
始めに 紹介されている 西アフリカ の シエラレオネ で
91年 から 十年続いた 内戦に ついての 作品、
『 ジ・エンパイア・イン・アフリカ 』( 06年 )が 最怖 でした。
政府軍 と 反政府軍 との対立の 原因は ダイアモンド で、
反政府軍 の 武器購入の 資金源も、市民を 強制的に 働かせ、
採掘した ダイアモンド なんですよ。
その 反政府軍 は 逆らう者を 虐殺 してきましたが、
政府が雇った 民間軍事会社 ( PMC )も、
国連から 派遣された 平和維持軍 も ダイヤモンド の 略奪や 虐殺を行っていたみたい なんです…。
( 略奪や 虐殺で 移民が 増えたりするので、結局 いつかは ツケが
回ってくるんだよな… )
ちなみに ディカプリオ 主演 の 『 ブラッド・ダイヤモンド 』(06年)は
この話を 元に しています。
一応、字幕無し の 『 The Empire in Africa 』 は、
「 Amazon 」動画配信 で 観れます。
あと、雑誌記事で 気になっていた 『 くすぐり 』(16年)も 載っていた
ので これを機に 紹介。
( 「 ネットフリックス 」配信 なので 未見です )
ニュージーランドの記者 が 「 くすぐり我慢競技 」 なる サイト を発見。
興味を 抱いた記者 は 取材を 申し込むが、何故か 嫌がらせ メールや、代理人弁護士 から 「 警告 」 を 受け… という 内容。
この 「 くすぐり我慢競技 」 は “男性が くすぐられて” いるのですが、
誰が、何の目的で 「 くすぐり 動画 」 を 製作しているのかが 気になるんですよ。
一応、大まかな事( 顛末も ) が わかる記事 が ネット にあるので
読んでみましたが、面白かったです。
あと、「 その後 」の記事 も あって、こちらも いろいろと 根深く、
面白かったです。
岡本敦史 の 「 活劇派監督が描く 『 怖い女 』 」 では、
クリント・イーストウッド 作品 を 取り上げていました。
( もう1人は ロバート・アルドリッチ )
『 白い肌の異常な夜 』( 71年 ドン・シーゲル 監督 ) と、
『 恐怖のメロディ 』( 71年 イーストウッド 主演、監督 ) に 共通する
のは、
「 女性の 恐ろしさ を 発現させるのは 男の愚かしさ 」 との
著者の指摘 には 大いに 納得し、笑ってしまいました。
『 ダーティ・ハリー4 』(83年) では、
「 80年代に 入っても 「 女は恐い 」 を 撮っているわけにはいかず、
共闘 という 思いがけない道を 選ぶことになる 」
の 記述も 笑ってしまいましたね。
「 女性に 対しては ロマンティックな 幻想を抱いた サム・ペキンパー とは 性格が 異なる 」 との 指摘も なかなか 興味深く、面白い。
個人的には、ハーレム設定 の 『 白い肌~ 』 は、
主人公 が 女性たち皆 に イイ顔 する様が ゲーム感覚で ハラハラ
しました。
結局、若い女性 に行く、正直な主人公 が 可笑しかったな~。
けど、脇の甘さが たたり、「 バッド・エンド 」 になっちゃうけど。
この 女性たちの結託 は 男には無いな~。
「 怖い女 」映画 で 個人的に 思い出すのが、
オドレイ・トトゥ 主演 の 『 愛してる、愛してない... 』(02年)。
( ほぼ 同名タイトル 作品あり )。
話自体は よくある 普通の恋愛話 なんだけど、
実は ミステリーな 構成で、後半 一転して 恐怖 作品に。
一方的な 「 強い想い 」 は 時に 恐怖に なるし、
“当人の話を そのまま 信じちゃいけない” という、教訓話 でも
ありました。
でも、その 「 強い想い 」 に 切ないさも 感じましたね。
少し 趣旨とは 違うけど、
『 蜘蛛女 』(93年)の 殺し屋・モナ( レナ・オリン )も 強烈でした。
モナ は 自分の死を 偽装するため、自分の腕を 切断 する、
サイコパス度が 高い女 なんですよ。
徐々に 追い詰められる、
悪徳刑事の 主人公 ( ゲイリー・オールドマン ) が、愚かしい けど
不憫でもあり、
帰らぬ妻を 待ち続ける、ロマンチスト な 主人公 が 物悲しかったですね。
あと、「 第4章 」 には 「 原題が “ドント”~ 」 の 昔の映画を
紹介する、
「 Don’t 映画をドン!と挑戦 」 や、
『 プロフェシー 』(02年)など を 取り上げていた、
「 得体の知れない世界が追って来る 」、
小柳ルミ子 の 『 白蛇抄 』(83年) など を取り上げていた、
「 エロいと思ったら怖かった 」 なんかもあります。
始めに 書いたように これで 映画本 『 怖い、映画 』 については
終わりです。
比較的 一般向け(?) な 内容を 取り上げましたが、
ホラー映画 以外の 「 ホラー( 恐怖 )作品 」 が 紹介できて
いい機会でした。