ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督 3作品。
ドゥニ 作品では 『 プリズナーズ 』(13年) が 一番好きですね。
「 静かなる叫び 」 (カナダ・2009)
1989年、モントリオール理工科大学で 実際に 起きた 銃乱射事件 を基にした、人間ドラマ 作品。
全編モノクロ で、
反フェミニストの 犯人、 被害に遭った女性、 居合わせた男 の
3人の視点で 描かれています。
かなり シンプル な感じで、上映時間も 77分 と 短め。
“上手くいかない事” を “全て 女性のせい にする” 犯人 が
アホ ですね。
しかし、「 Wiki 」 によると、
父親から “虐待を受けていた” り、“女性蔑視 を植え付けられていた” みたいで、思った以上に 根が深いです。
( この部分は 作品では 語られていない )
事件後の 被害女性 の描写は しっかり描いていたけど、
男の方は あんな結末 なのに 描写は 少な目で 物足りなさ を感じました。
銃撃の場面は 思いのほか 凄惨で、
パニック描写 としては あっさりめ ですが、その分 リアルな 臨場感と
恐怖感が ありました。
興味深い作品 ではありますが、人物描写が 少な過ぎかな?
「 渦 」 (カナダ・2000)
“人間ドラマ” だけど、個人的には “シニカルな コメディ” 作品。
有名女優を 母に持つ ビビアン。
中絶手術を受け、ブティック経営も不振 の ビビアン は、飲酒運転で
魚卸売り業者の男 を 轢いて 逃げてしまう…。
冒頭 オペラ風の曲 の後、
薄暗い 魚解体部屋で “男” に 解体されそうな “魚” が、
「 あまり 時間がないが 素晴らしい物語を 話しておきたい 」
と、しゃべり出します。
この作品の ナレーションは、この “魚” で、しかも 大げさな語り で
なんだか 壮大な感じです。
解体する “男” も 場所 も、
何故か ホラー映画に 出てきそうな 不気味さ を 醸し出していて
混乱しましたね~。
( いったん 停止して タイトルの 確認してしまった )
けど、話の舞台 自体は 普通 です。
人間ドラマ ですが、
ビビアン の 人を轢いたことに 気付いた 動揺や 葛藤、
「 女優の娘 」 ということで(?)、自分を 良く見せようとしたり、
性に対しても 奔放だったりと、人間味 溢れる描写 も多く、
個人的には「 悲喜劇 」 として 観ました。
事故車を 海に 投棄する場面は 杜撰さ、混乱っぷりが すごく 滑稽
だったし…。
あと 後半、ある場面 に戻り、視点が 替わる構成( 編集 )が上手く、
轢かれた男 と ビビアン の 薄~い 繋がりと、皮肉な運命に
ドラマとしても 盛り上がりましたね。
結末は 結構ヒドイ(?)のですが、
「 人間の ( 愛する事の ) どうしようもなさ 」 を描いた 作品なので、
これで 良いんですよ。
( だから “魚” が ナレーション なのだ )
「 灼熱の魂 」 (カナダ/仏・2010)
人間ドラマ・ミステリー 作品。
カナダ。
中東からの移民だった 母親・ナワル を 亡くした、
双子の姉弟・ジャンヌ と シモン。
ナワル の遺言には、ジャンヌ は 「 父 に手紙を渡すように 」、
シモン は 「 兄 に手紙を渡すように 」 と、書かれていた。
しかし、すでに 父 は内戦で 亡くなっているし、
兄 に 至っては いることすら 聞いていなかった。
ジャンヌ は 母の祖国・レバノン に飛び、若き母 の軌跡を追うが…。
レバノン内戦時( 1975年 )の 若いナワル の話と、
ジャンヌ が レバノン で 母の 足跡を追い、父を 捜す話が 描かれます。
「 レバノン内戦 」 は かなり 複雑なのですが、今作では
キリスト教 と イスラム教 の対立と、簡単に 描いています。
( 実際は 他宗派、シリア、イスラエル なんかも 介入して 泥沼化… )
前半の、妊娠した 若いナワル の逃亡場面で、兄と 父親の
存在は すぐ判明しますが、
その 父親 は すぐに ナワルの兄に 撃ち殺され、驚愕します。
殺された理由が、ナワルの家 が キリスト教 で、
相手の男 が イスラム教 だったから と、かなり 理不尽で やるせないな…。
その後、ナワル が 孤児院に 預けられた 息子 を捜す展開になるのですが、
この 「 子供を捜す 」 は、『 ブレラン 2049 』(17年)前半の展開と
似ていますね。
“ミステリー” として 気になったのが、なぜ 「 姉は 父 」、「 弟は 兄 」、と 分けたのか? と、
亡くなる前の ナワルが プールでなった “放心状態” で、
終盤 その意味がわかる 構成と 演出が見事でした。
個人的には ミステリー として すごく 面白かったので、
人間ドラマ・ミステリー が好きなら 楽しめるかな?
この 3作品の中では 『 灼熱の魂 』 が 一番良かったですね。