言霊
「言葉は言ってしまった時に、
その音響はなくなっちゃっているようだが、波動は残っている。
その波動が残っているということを考えてみたならば、
かりそめにも我が口から人の幸福を呪ったり、
人の喜びを損なうような言葉は
冗談にも言うべきではないということがわかりはしないかい?
とにかく、お互いの気持ちに
勇気をつける言葉、喜びを分かち合う言葉、
聞いていても何となくうれしい言葉を
お互いに言い合おうじゃないか。
言葉はねえ、言霊というのが本当なのよ。
言葉は魂から出てくる叫びなんだから。」
― 中村天風 ― 思想家
1876年7月20日 ‐ 1968年12月1日
この教えを一言でいえば、
「言葉は、相手に投げた瞬間に終わるものではない。
相手の心に残り、その人の中で生き続ける。」ということでしょう。
◆「音は消えても、波動は残る」
声そのものは、言った瞬間に消えます。
「馬鹿だな」「無理に決まっている」「どうせ失敗するよ」
音は数秒で消える。でも、言われた人の心には残ります。
帰宅してからも、布団に入ってからも、翌朝になっても、
「あの言葉、嫌だったな……」と残っている。
逆もあります。「君ならできるよ」「あなたがいてくれて助かった」
「よく頑張ったね」この言葉も、音は消えます。
しかし、その人の心の中では、何年も生き続けることがある。
天風がいう「波動」とは、
科学的な意味で音波が残るという話だけではなく、
「言葉が人の心に与えた影響は残り続ける」ということでしょう。
◆だから「冗談だから」は通用しない
ここが天風の厳しいところです。
「冗談だよ」「そんなつもりじゃない」「悪気はなかった」と言っても、
相手の心に傷を残した事実は消えません。
特に怖いのは、親しい関係です。
家族。社員。部下。友人。親しいからこそ、つい言葉が粗くなる。
「お前は昔からダメだな」「そんなことも分からないの?」
「また失敗したのか」言った側は忘れても、言われた側は忘れない。
だから天風は、「かりそめにも、人の幸福を呪ったり、
人の喜びを損なう言葉を言ってはいけない」と断言するのです。
これは、単なる「言葉遣いに気をつけましょう」という道徳ではないですね。
「人の心を壊すな。人の心を育てよ。」という、
人間関係の根本原則であり、実践原理です。
◆経営者にとっては、さらに重要な実践
経営者の言葉は、社員にとって普通の人の言葉とは重さが違います。
社長が、「うちの会社はもう駄目だ」と言えば、社員は不安になります。
逆に、「大丈夫。今は苦しいけれど、ここを乗り越えよう」と言えば、
社員の心に芯ができます。
経営者の言葉は、単なる会話ではなく、
「組織の空気をつくる言葉」なのです。
だから経営者は、「何を言うか」以上に、
「どんな心から、その言葉を出しているか」が問われます。
最後の一行、
「言葉は魂から出てくる叫び」という言葉は、ここに繋がります。
いかがですか。「言霊」。
日頃の言葉が、人格を形成している。
その人格を、個性だと勘違いしていく。
そうして勘違いの人生を送っていく…
もしそうなら、大変に恐ろしいことですね。
使う言葉を変える日々の実践、
また一週間かけて、探究していきましょう。
すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
いつもお読みいただきありがとうございます。
― 経営マインド 362 ―
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