空を舞う二羽の蝶、命の儚さ

 

昨日は、終戦記念日であり、お盆の中日でした。
その日を前に、友人の妻の墓参に谷中の寺を訪れました。

なぜか、二匹の蝶が戯れていました。

墓地から一向に離れようとしないで舞い続けていました。

誠にきれいな蝶でしたが、写真を撮ると、なぜか影で写ります。

なんど撮ってもそうなるので、なにか意味があるのだなと感じ、

続けて撮るのを止めました。

 

友人とその妻の在りし日の姿にも重なりましたが、

突然、人生を断ち切られた英霊と家族の人生や思い…

深く儚い思いを、蝶が表現しているようで、胸が痛くなりました。

そう思ったところで、

言葉にできぬ感情が湧きあがり、しばし動けなくなりました。

 

しかし、しばらくして我に返りました。
蝶たちは、ここが墓地だとも、終戦の日だとも、

お盆だとも知りません。
ましてや、そこに誰の人生が眠っているのかも知りません。

ただ二羽で、空を舞い、戯れ、命を謳歌している。
それだけなのです。
でも、人間の側から見ると、その「それだけ」が、あまりにも儚い。

蝶にとっては、一瞬のデート。
墓地に立つ人間にとっては、二度と戻らない人生。
そこに眠る人たちにとっては、

かつて確かにあったはずの「今日」という一日。

そう考えると、命というものは、

人生は、大きな意味を持って生きることではなく、

与えられた一瞬を、懸命に生きること!なのかもしれません。

蝶は明日のことを恐らく考えない。昨日のことも悔やまない。
ただ、その瞬間を舞う。だからこそ美しい。そして、だからこそ儚い。
儚いから尊い…終わるから美しい…失うから、今が愛おしい…

もし蝶が墓地の意味を知っていたら、

もっと悲しい光景になったことでしょう。飛び方が変わるでしょう。
だから、「知らないこと。」そこがいい。

死者の眠る場所で、生きている蝶が、何も知らずに生命を謳歌している。
それはある意味で、死者たちからの、

今を生きる私たちへ向けてのメッセージのようでもあります。
 

「悲しむだけではなく、生きなさい」と…。
 

おかげさまで、この蝶が、

お盆という日の本当の意味を教えくれました。

そんな気がします。

亡き人を偲ぶことは、死を見つめることだけではない。
死を見つめるからこそ、生きている今を大切にする。
二匹の蝶が、何も知らずに、静かに伝えてくれました。

墓を舞う、ただの蝶だった。二匹のただのデートだった。
その、ただの一瞬だった。だからこそ、尊く、美しく、儚かった。
生も歓喜、死も歓喜という心境を体が感じ、震えました。

 

同時に、支えてくださる、総ての方に感謝を捧げました。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

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ロボット芝刈り機が緑の芝生に設置されている

 

私が一目置く、レッスンプロの言葉です。

 

『◯◯さん、総パット数の平均ってどれくらいですか?』
「3パットが多いので、結構打っちゃってますかね....」
把握してない方は、大体この様なお答えになります^_^

やっぱり、自分の事を少しずつでも良いので、

把握しておかないと、上手くなるものも、遅くなってしまいます。

今は、色んなことが数値化で見える化されているので、

分析能力が上がってはいますが、これも1つずつクリアで良いのです(^^)

その中でも簡単なのが、パット数ですよね。
分かれば、練習の質も変わるので、

今の総パット数を出してみてくださいね。

これも、練習の1つですよ^_^

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今回、突き刺さる一言。 「これも、練習の1つですよ。」…

ここに、レッスンプロの人格を感じます。
多くの指導者は、「数字を付けなさい。」と言うでしょう。
しかし、このプロは、「記録することも練習ですよ。」と言いました。

「記録そのものが上達を生む習慣」だと、さりげなく教えています。

帳簿をつけることができない経営者に、山下事務所は、何と言ってきたか。

「社長、練習ですよ。」とは、言ってきませんでした。

 

経営の意思決定は、つまり経営の練習の積み重ねです。

その行為が会計記録になる。いまのスコアを今つけなければ、

正確なトータルは、わからなくなります。

 

ゴルフをしない経営者もいます。

運動が苦手な方もいるでしょうが、もしかすると、

毎回、記録をつけることが面倒くさいからではないか…

そんな想像が、湧きあがってきました。

 

そもそも、

点数を自分でつけるスポーツって、ゴルフくらいではないでしょうか。

ゴルフは、審判がいない競技ですよね。

プレーヤーも審判も自分自身。そして仲間が黙って申告を見ている…

 

帳簿の仕組みを編み出したのは、イタリア人ですが、

会計という制度に高めたのは、イギリス人です。

ゴルフを発明したのもイギリス人。

ここら辺の繋がり、実は、相当深いものがありそうですね。

 

だからこそ、レッスンプロが提唱する、

記録をつけることが「練習の1つ」…というメッセージ。

思いですね。そして、ものすごい練習ですね。


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天府火鍋の看板と宇宙柄の天井

 

昨日は、心身ともに、かなり刺激的な一夜を過ごしました。

写真の通り、まさに「ここは日本なのか?」と思わせる空間。

その中に、IT企業を経営する敏腕の社長、

部下で、バリバリのAIコーディネーターを担う中国人女性2名。

金融機関の支店長と副支店長。

彼らが、わいわい言いながら、長い橋で火鍋をつつく。

そんなエネルギーに満ちた輪に入れていただきました。

 

こんな時間を過ごすだけで、

「人と人の間に、すでに国境がなくなっていたこと」を感じました。

◆「すごい会議」の正体

その賑やかさは、まさに『すごい会議』でした。

 

IT企業の社長。中国人のAIコーディネーター。
金融機関の支店長、副支店長。そして税理士。
普通なら、それぞれが自分の専門領域について話すだけです。

ところが今回は、
AI → 経済 → 中国 → アジア → 外交 → 防衛 → 家族 → 私生活→相続問題…
にまで話が広がりました。

人選された円卓なので「異業種交流会」とは少し違います。
異なる世界を生きてきた人間同士が、お互いの世界観を交換した…
だから面白かったのです。

そして、AIの話をしていた人たちが、最後には家族の話をした。
ここはポイントでした。対話の中身が、

情報交換から、価値観の交換に変わったからです。

 

◆「日本もいよいよそんな時代に」という感覚

 アジアの人たちは、こうした多民族交流は昔からやっていますが、
 日本もいよいよそんな時代になったな…と感じました。

島国である日本は、その利を活かし、長い間、
「日本人同士で、日本語で、日本の常識を共有する」
ことを、社会構造の前提にしていました。

ところが、これからは違います。東京の一つのテーブルに、
日本人、韓国人、中国人、台湾人、ベトナム人、インド人、欧米人……
が普通に座る。しかも、単に外国人が「日本に住む」のではありません。

それぞれが自分の国の価値観を持ったまま、一つのプロジェクトを動かす。
この世界が、もう始まっていたのです。それを目の当たりにしました。

◆ここらら想像する未来

 

この一夜の経験で、面白い創造がたくさん湧きました。

 ①「翻訳できる人」の価値が急上昇する
AIによって言語そのものは、どんどん翻訳できるようになります。
しかし、「この中国人は、なぜこういう言い方をするのか」
「この日本人は、なぜそこまで慎重なのか」
「この金融機関は、何を本当に心配しているのか」という、

文化・価値観・商習慣の翻訳は、まだまだ人間の仕事でしょう。

今回の中国人AIコーディネーターのお二人は、

まさにその「橋」としての役割を果たしていました。センスですね。

ということで、これからは語学ができる人より、

世界観を翻訳できる人が強くなるのではないかと、想像しました。

 ② 金融機関の「支店」の意味が変わる
金融機関はこれまで、「地域企業にお金を貸す役割」こそが使命でした。
しかしこれからは、「地域と世界をつなぐ場所」になっていく可能性があります。
「この会社、中国企業と組めませんか?」
「この技術を東南アジアで売れませんか?」
「この外国人経営者と、この地域企業をつなげませんか?」
「この会社の後継者問題を、海外人材との組み合わせで解決できませんか?」

そんなことを支店レベルで考える。
そうなると金融機関の価値は、融資額だけでは測れなくなります。
この金融機関は、すでにその思考の組織です。
更に進化して、人と情報と企業をつなぐ「知のハブ」になるでしょう。

 ③ 税理士の仕事も、実はそこへ向かう

会計は、税務署や、金融機関から信頼を得るためだけにあるのではない。
これは、このブログで、いつもお伝えしていることです。
会社の現在地を知り、経営者の考えを言語化し、
金融機関と対話し、社員と未来を共有し、
そして、場合によっては海外の人間とも価値観をすり合わせる。

そう考えると、「会計は社会と会社をつなぐ」という、

山下事務所の思想が、さらに深く、大きな意味を持ってきます。
つまり、(中小企業の)会計も、国境を越えられる!のです。
なぜなら、会計には、売上、利益、キャッシュ、資産、負債、

そして自己資本という「共通言語」が、既にあるからです。

 そして、もっと大きな変化

今回の会食の場で感じたことは、

「日本人が国際化する」ことではないな、という直観です。

「日本という社会そのものが、多様な人間によって再編集されていく」
始まりだと感じました。

 

ついこの間まで、「 日本に外国人が増える」という捉え方でした。
しかし、これからは、「日本の中に、いろいろな国の価値観が共存する」
という状態になっていくことでしょう。
そして、そのとき重要なのは「同じになること」ではありません。

「違ったまま、一緒にやれること。」これです。

中国人は中国人の価値観を持つ。
日本人は日本人の価値観を持つ。
金融機関は金融機関の論理を持つ。
経営者は経営者の欲望と恐怖を持つ。

それでも同じテーブルを囲み、「それは面白いね」
「あなたの国ではそう考えるのか」

「じゃあ、一緒にやってみよう」と合意できる。

それが、これからの日本に必要な、

「成熟した国際化」なのだろうと感じました。

◆IT社長は、なぜ「火鍋」という舞台を設定したのか

これこそ、IT社長の経営思想なのでしょう。

 

火鍋の中には、いろいろな具材が入っています。
肉も、野菜も、きのこも、それぞれ違う。
でも、同じ鍋で煮込まれることで、一つの味になる。

ただし、具材そのものが同じになるわけではありません。
これからの日本は、そんな姿になるのかもしれません。

「一つになる」のではなく、違うものが違うまま、一つの場をつくる。

AIが言葉の壁を低くし、交通と金融が国境の壁を低くし、

そして人間同士の信頼が心の壁を低くする。

そうなったとき、東京の一つの火鍋のテーブルが、
「小さなアジアになる。」そう考えると、急に体が熱くなりました。

でもそれは、きっと火鍋のせいだったのでしょう。

しかし、その未来を一足先に体験された夜だったと思います。


肩書も、学歴もいらない。いらないというより通用しない。
これからの「すごい会議」は、専門家を集める会議ではなく、
「違う世界を生きてきた人間を、同じテーブルに座らせる会議」
になっていくのです。そんな未来が目の前にありました。

 

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木彫りのフクロウ、経営者の感覚器官

 

週明けにご紹介した、

天風の「感覚器官を正確に使う」…

深めるお時間ありましたか?

 

今回の言葉…

「会社で毎日起きていること」まで下ろすと、

かなり見えてくると思います。

経営者へのメッセージとして

天風は、難しいことを言っているようですが、

経営者に置き換えると、実は、とてもシンプルです。
それは「起きたことを、正確に見なさい」ということです。

会社では、毎日いろいろなことが起きます。

・売上が下がる。・社員がミスをする。・お客様からクレームが来る。
・利益が出ない。・銀行から厳しいことを言われる…。

そのとき経営者は、出来事そのものより先に、

自分の感情で意味づけしてしまう…ことがあります。

・「社員がだらしない」・「景気が悪いから仕方ない」
・「うちの業界はもうダメだ」・「お客様が分かってくれない」
言うのも、思うのも簡単。でも、ちょっと待ってください。

それは、事実でしょうか。
それとも、事実を見た自分の「解釈」でしょうか…。

◆ 例えば、売上が10%落ちたとします

「売上が10%落ちた」これは事実です。
しかし、「景気が悪いからだ」は、まだ事実ではありません。
「営業社員の力が落ちた」これも、まだ分かりません。
「お客様が離れている」これも調べなければ分かりません。

そこで経営者が、

「何が起きているのか、まず正確に見よう」と考える。
・商品別に見る。・顧客別に見る。・前年と比較する。
・粗利益を見る。・客数を見る。・単価を見る。・現場の声を聞く。

すると、「売上が落ちた」のではなく、

「一部の商品だけが落ちている」ことが分かるかもしれない。

さらに調べると、

「売上は落ちているが、利益率は上がっている」かもしれない。

そうなると、最初に感じた「大変なことになった」という印象とは、

景色がまったく違ってきます。

これが、天風のいう、

「感覚器官を正確に使う」ということではないでしょうか。

 

これって、実際の話しなのです。昨日もそうでした。

 

社長が、試算表を見る。私を呼んで、一緒に考えたいと。

曰く、「売上は、上がった。変動費もそれに応じて上がった。
固定費は、ほぼ横ばい。テキスト通りの成長なのに、
なぜ、経常利益が、この程度なの?!」と、いう問いです。


◆ 経営者にとって「勘がいい」とは何か

経営者には、「勘のいい方」がいます。
数字を見ただけで、「なんかおかしいな」と言う。

先の社長も、その範囲にいらっしゃる方です。

社員と話して、「何かあるな」と感じる。
お客様の話を聞いて、「これは大事な変化だ」と気づく。

これは、単なる才能ではありません。
「毎日、現実を正確に見てきた人の勘」なのだと思います。

数字をごまかさない。都合の悪い情報から逃げない。
社員の耳の痛い話も聞く。お客様の変化を見る。現場を見る。
そして、毎月、自分の判断と結果を照らし合わせる。

そういうことを何年も続けていると、
「この数字は危ない」「この投資はやめた方がいい」
「この社員は今、伸びようとしている」
「このお客様の要望は、これから市場全体に広がる」…
ということが、だんだん見えてくる。

おそらく、これが「経営者の勘」です。

◆ だから、会計は「社長の感覚器官」になる

ここが、山下事務所が考える結論です。
会計は、税金を計算するためだけのものではありません。
「会社で何が起きているのかを、正確に感じ取るための道具」です。

だから、真っ先に、月次決算が大切になる。
一年に一度、決算書を見るだけでは、

「去年はこうだった」という過去の話になります。

しかし毎月、正確な数字を見る。
「今月は何が起きたのか」を考える。「先月と何が違うのか」を見る。
「なぜこうなったのか」を現場に聞く。これを繰り返していく。
すると、数字を見る目が変わってくるのです。

最初は、「利益が100万円出ました」だったものが、
「この利益の出方は少し変だな」になってくる。

さらに、「この数字になる前に、現場では何が起きていたのだろう」
と考えるようになる。ここまで来ると、

「会計が経営者の感覚器官になっている」といえるでしょう。

◆ そして、ここに「経営者の成長」がある

優れた経営者とは、「嫌な現実を見ない人ではありません。」
むしろ逆で、嫌な数字ほど早く見る。耳の痛い話ほど聞く。
都合の悪い事実ほど確認する。

 

そして、「これは自分に何を教えてくれているのだろう」と考える。
すると、失敗が、経営者を成長させる材料になるではありませんか。

天風の、
「 同じものでも取り入れ損なうと、反対の方面へ働きだす」
という言葉は、まさにここだと思うのです。

赤字も、クレームも、社員の退職も、売上減少も、

それ自体が、経営者をダメにする現象ではないのです。
それをどう受け取るかで、

会社を弱くする材料にも、会社を強くするそれにもなるのです。
 

◆ だから現場にあって投げ掛けたい問い

「社長は、見たいものを見ていませんか?」
「聞きたいことだけを聞いていませんか?」
「数字を、自分に都合よく解釈していませんか?」

そして、
「会社で起きていることを、事実として正確に受け取れていますか?」

「その感覚を、言語化できますか?」

巡回監査担当者は、この問いを持って毎月の数字を見る。

そして、・社員と話す。・お客様の声を聞く。・現場を見る。

その積み重ねが、やがて「経営者の勘」になっていきます。
天風のこの教えは、経営者にとって、
「勘を磨きたければ、まず現実から逃げるな」という教えなのです。

そして、巡回監査とは、「単に会計をチェックする仕事ではなく、

経営者が会社の現実を正確に感じ取るための「感覚器官」を、

一緒に磨いていく仕事…」そう定義してよい時代が来たということです。

 

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カットされたスイカの画像

 

夏の盛り。すいかを頬張りながら、経営談義を弾ませました。
尊敬する経営者が、こんな一言を口にしました。

 

「お金を持っている人に勝つにはスピードだよ。スピードしかないよ。」と。

 

グサッときました。私には、スピードは無かったなぁ…と反省。

実は、割と仕事は早いほうだったのです。

AIも、事務所で一番使いこなしていると、職員さんに褒められるほど。

 

でもこの言葉は、単なる「仕事を早くしよう」という話ではないのです。

「資本の差を、時間の差でひっくり返せ」という、

非常に強い経営原理が語られたわけです。

◆ 1.「お金を持っている人に勝つ」という発想

お金を持っている人は、強いです。
・ 人を雇える。・ 広告を打てる。・ 店舗を増やせる。・ 最新設備を買える。

・ 赤字に耐えられる。・ 失敗しても、また挑戦できる…。
つまり、お金は「選択肢」を増やしてくれるのです。

では、お金のない人はどうするか。
同じ土俵で「資金力」で戦ったら負けます。
だから、この経営者は、

「金で勝てないなら、金では買えないものを武器にする」
こと提唱したのです。その極めが、スピードです。

◆ 2.スピードは「お金のない人にも平等に与えられている」

ここが、この言葉の核心です。つまり真理なのです。
1億円持っている会社も、1000万円しかない会社も、
一日は24時間しかありません。

大企業も、小さな会社も、「お客様から問い合わせが来た」
という瞬間から、同じ時間が流れ始めます。

そこで、
・ 大企業が検討している間に、小さな会社は動く。
・ 大企業が会議している間に、小さな会社は顧客に会う。
・ 大企業が稟議を回している間に、小さな会社は試してみる。
・ 大企業が失敗を恐れている間に、小さな会社は一回失敗する。
これが積み重なると、資本力の差が、時間によって縮まっていく。
言葉にすると、面白くありませんか。


だから、「スピードしかないよ」という言い方になるのです。
「スピードも大事」ではない。ここが急所です。

「資本力のない者が勝つためには、スピードしかない」

という覚悟。まさに真理です。

 ◆3.しかし、本当の「スピード」は、仕事を早くすることではない

ここは経営者にとって、とても重要な視座です。

スピードとは、「すぐ行動すること」だけではありません。

本当のスピードは、
決める → 動く → 結果を見る → 修正する
この循環を速くすることです。

例えば、「新商品を出そうか?」と半年議論する会社と、
「小さく出して、お客様の反応を見よう」と一週間で動く会社。
後者は、半年後には、すでに何度も失敗と修正を経験を積み重ねます。

つまり、
「スピードの速い会社は、時間を味方につけて学習している。」のです。

◆ 4.「速い人」は、実は「捨てるのが速い人」

もう一段深く読むと、こんな世界が見えてきます。

スピードを上げるためには、
「何をやるか以上に、何をやらないかを早く決めなければならない。」
のです。
・会議を減らす。・迷ったら試す。・不要な資料を作らない。
・完璧を待たない。・ダメだと分かったら撤退する…。

つまり、実は、
「決断の遅さ」が、会社のスピードを殺している。」のです。

資金の少ない会社が資本力のある会社に勝つには、
「能力」で勝つ必要すらないことが、見えてきませんか。

相手より先に決め、先に動き、先に失敗し、先に修正する。

これを繰り返せばいいのです。

◆ 5.そして、スピードの源泉は「恐怖心」と「執念」かもしれない

これは、朝の言葉ともつながります。

「成功した人は、投げなかった人。」そして今、掘り下げている、
「お金を持っている人に勝つにはスピードだよ。スピードしかないよ。」

 

この二つを並べると、共通した経営観が見えてきます。

「諦めない。そして、遅れない。」これです。

諦めないだけでは駄目。ただ頑張るだけでも駄目。
「執念 × スピード」なのだと思います。
何度失敗しても立ち上がる。しかし、同じ場所に立ち続けない。

すぐ動いて、すぐ学んで、すぐ変える。
だから時間が経つほど、差がついていく。
飯塚毅先生のご指導。「一週二点改善運動」はその模範です。

★ 経営者の行動原理にすると★

まとめとして、この言葉を次のように翻訳したいです。
「金のある会社と同じことをしてはいけない。
 金のない会社は、相手より早く考え、早く決め、早く動き、早く失敗し、

早く直す。 その繰り返しによって、資本の差を時間の差で逆転する。」

そして、さらに短くするなら、「迷う時間を、競争相手に与えない。
ここまで絞ると、行動原理になるのではないでしょうか。

関与先の経営者に投げ掛けられる言葉にもなります。


「あなたの会社で、今いちばん遅いものは何ですか?」と。

・決断でしょうか。・報告でしょうか。・月次決算でしょうか。
・顧客への返事でしょうか。・採用でしょうか。・社員の育成でしょうか。

見えたら、そこを一つ速くする。いかがですか。
経営改善とは、

実は「スピードを上げること」から始まるのかもしれませんね。

この続き、また別の機会で考えましょう。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

 

緑のコケと虫

 

「成功した人は、投げなかった人。
成功しない人は、諦めが早い。自分が強いからだろうね。
仕事は気が弱い人の方が成功する。
すぐ満足する人も、もったいないよね。」

 

これは、尊敬する大成功中の経営者のつぶやきです。

これを読んで、あなたはどんな想像をしますか。

この言葉、かなり深いなぁと感じました。
一見すると、「 成功する人=強い人」「 成功しない人=弱い人」
という話に見えますが、

この経営者は、むしろ逆のことを言っているような気がします。

◆ 「成功した人は、投げなかった人」

成功する人は「才能があった人」でも「頭がよかった人」でもない。
「途中で投げなかった人。」辛抱強い話しなのです。

経営をしていると、必ず「もう無理だ」と思う局面が来ます。
いつも書くことですが、・売上が落ちる。・人が辞める。
・資金が苦しくなる。・新しいことを始めても結果が出ない。
・何年やっても芽が出ない…


そこで多くの人は、「これは向いていなかった」
「時代が悪かった」「人が悪かった」と、手放してしまう。

でも、大成功している人から見ると、成功と失敗を分けたものは、

案外そんな大げさなものではなく、「それでも、もう一日やったか?」

なのかもしれません。
---

◆「成功しない人は、諦めが早い。自分が強いからだろうね。」

ここが、とても面白い。この方、独特の表現です。
普通は「諦める=弱い」と考えます。
ところが、この方は、「自分が強いから諦める」と見ます。

つまり、「自分ならもっとできるはずだ」
「こんなことをしている場合ではない」
「こんな環境では力を発揮できない」という、

自我の強さが、諦めにつながることを見抜いているのです。

反対に、少し気の弱い人は、
「自分にはこれしかできない」「もう少しやってみよう」
「せっかくここまでやったのだから」と、ずるずる続ける。
そして、その「ずるずる」が、いつの間にか**粘り強さ**になる。

これは経営者にとって、とても大切な視点だと思います。


◆「仕事は気が弱い人の方が成功する」

ここには、さらに深い意味があるように感じます。

気が弱い人は、・ お客様の顔色を見る。・ 社員の言葉を気にする。
・ 数字が悪ければ不安になる。・ 失敗を恐れる。
・ 「これでいいのか」と何度も考える…
一見すると、経営者としては、誠に頼りない。

ところが、その「弱さ」が、
「慎重さになり、観察力になり、改善力になる。」


「俺は正しい」と思っている人は、失敗しても気づかない。
「俺の判断、大丈夫かな」と思っている人は、毎日数字を見る。

そして、少しずつ直す。経営というものは、案外この繰り返しです。

だから、
「強い人が勝つのではなく、弱さを抱えたまま続けられる人が強くなる。」
この方の核心は、ここにあると思うのです。そして唸ってしまいます。

そして最後の、ダメ押し。
「すぐ満足する人も、もったいないよね。」
これも経営者に突き刺さる言葉です。

「満足するな」という精神論ではありません。

むしろ、

「まだ伸びるのに、自分で成長を止めてしまうのはもったいない」
ということではないでしょうか。

年商が10億になった。利益が1億になった。
自己資本比率が50%を超えた。

 

「よくやった。もう十分だ。」もちろん、それは素晴らしい。
でも、その瞬間に、「この会社は、もっと人を幸せにできるんじゃないか」
「もっと社員の人生を豊かにできるんじゃないか」
「もっと社会の役に立てるんじゃないか」と考えられる人になれ。

そうすれば、また違う景色が見られる。さらに先へ行くことができるよ。

大成功しているこの方は、大成功したと思っていません。

大成功と呼んでいるのは、周囲にいる人たちです。

 

ゆえに、
「成功とは、強い人間になることではない。
弱い自分、不安な自分、迷う自分を抱えながら、
「投げずに、もう一日やること。」なのです。

そして、うまくいったときに、
「もう十分」と自分を満足させず、「まだ何かできる」と思うこと。

だから、もしかすると成功者とは、
「強い人」ではなく、「弱さを捨てなかった人」なのかもしれません。

山下事務所では、日ごろ、

関与先の経営者に「数字を見ること」「月次決算」

「自己資本を厚くすること」をお伝えているのも、この心です。

数字を見るのは、強い経営者だからではない。
・不安だから見る。・心配だから見る。・間違えたくないから見る。
その小さな「弱さ」を毎月積み重ねていく。

 

すると10年後には、その人が周囲から、
「あの社長は強い」と言われる。

いかがですか。

この経営者のつぶやきには、なんと沢山の優しさが詰まっているか…

これこそ、現場にお届けしたい成功哲学のように感じます。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。

松本めぐみ氏、風船会計、経営支援セミナー

 

今回のセミナーでは、第1部 特別講演に、松本めぐみさんをお迎えします。

山下事務所にてお話しいただく趣旨は何か。

それは女性、特に、これから社会で活躍する方、

まもなくリーダーになられる方の心にお届けしたいと願ったからです。

 

◆「自分には、まだ何もない」と思っているあなたへ。

そもそも社会って、
最初から自信がある人だけが活躍するのでしょうか。違いますよね。
迷ったり、失敗したり、「これでいいのかな」と立ち止まったり…
それでも諦めずに、投げずに一歩ずつ前に進んだ人が、
いつの間にか、誰かに勇気を与える人になっている。そんな気がします。

今回、山下明宏税理士事務所主催の
「経営支援セミナー2026」にお招きするのは、
「風船会計」の創始者・松本めぐみさん 


松本さんは、もともと会計の世界を歩いてきた方ではありません。

北九州工業高等専門学校を卒業し、
米国半導体メーカーでエンジニアとして働き、
スイスでMBAを取得。

その後、嫁ぎ先の家業の経理部門を統括しながら、
「会社が利益を上げること」と
「そこで働く人が幸せになること」は、
両立できるのではないか――。

そんな問いを立てて、
経営と会計の世界に新しい風を吹き込んできました。

その生き方そのものが、
今回、私が皆さんに聴いてほしいと思った理由です。

「女性だから」ではない。「若いから」でもない。
「スキルがあるから」でもなければ、「経験があるから」でもない。

自分の人生を、自分の手で切り拓いていく。

その姿を、ぜひ見てほしいのです。
特に、これから社会に出る皆さん。就職したばかりの皆さん。

いざ、仕事を始めたものの、
「自分はこのままでいいのだろうか」と少し迷っている皆さん。

そして、仕事も家庭も、自分の人生も、
全部大切にしたいと思っている女性の皆さん。
ぜひお越しになってください。

「風船会計って何だろう?」そんな軽い気持ちで構いません。

でも、きっと帰るころには、「私も、もう少しやってみよう」
そう思ってもらえるのではないかと思っています。

人生には、誰かの一言で見える景色が変わる瞬間があります。
特別講演をはじめ、今回の3時間が、
皆さんにとって、そんな時間になれば嬉しい。

そしていつか、
「あの日、松本さんの話を聴いてよかった」
「山下事務所のセミナーに参加できてよかった」
そう思ってもらえたら、
主催者としてこれほど嬉しいことはありません。


 経営支援セミナー2026

2026年10月8日(木)14:00~17:00
TKC東京本社2階 セミナールーム

特別講演
「こうして、ふうせん会計は誕生した」(仮題)
講師:松本めぐみ氏


17:30~19:30 情報交換会

 

定員100名。
 

若い皆さんにも、ぜひ参加していただきたいセミナーです。

 

若い人に、知識を与えたいのではありません。
「自分もやれる」と思える大人に、出会ってほしいのです。

あなたの人生は、あなたが思っているより、ずっと大きい。
そのことを、松本さんの生き方から感じてみませんか。

それでは、会場でお会いしましょう!

パラー・デ・カタルーニャ音楽堂の装飾的なファサード

 

今週の会議では、週明けの天風の言葉の分析で、大いに盛り上がりました。

 

つまり、
事実 → 感覚 → 解釈 → 感情 → 行動
という流れの中で、私たちは「解釈」を勝手に混ぜてしまう。
だから天風は、まず「正確に取り入れよ」と言っているのだと思います。


ここを特に感じたようです。

そこが感じられると、次の展開へと続きます。

 

最後の、「そうしてはじめて、本当にすぐれた勘の力がでてくる」
という一文への気づきです。

普通は「勘」というと、才能とか、ひらめきとか、

およそ特殊な能力だと思ってしまいます。
でも天風は、そうではないと言っているように感じます。

勘とは、現実を正確に受け取り続けた人にこそ、

育ってくる能力なのではないか…という思想です。
 

つまり、「なんとなく嫌な予感がする」というものと、
「長年、数字と現場と人を見続けてきたから、これは危ないと感じる」
というものは違う…ということです。
後者は、経験の蓄積から生まれた高度な感覚です。

 

いまの職員さんは、主にベテランで構成されているので、

こうした話にピンと来ます。笑いながら「そうそう!」と頷きます。
そして、自ずから現場の経験を語りはじめます。

巡回監査士は、経営者と毎月、一緒に数字を見る。
売上、限界利益、経常利益、自己資本比率、資金繰り……。
最初は「数字を確認している」だけかもしれません。

ところが、毎月、正確な数字を見続けていると、
「この数字、何かおかしい」と感じるようになる。

そこで経理担当者に状況を伺う。
社長の表情を見る。社員の動きを見る。そしてお客様の変化を感じる…

すると、「数字にはまだ表れていないけれど、何かが変わり始めている」
ということまで感じ取れるようになる。そんな体験を語ります。

これこそ天風のいう「勘」なのではないかと思うのです。
こうした貴重な経験を聞くことで、

会計は単なる過去の記録、集計の結果ではないことがわかります。


現実を正確に受け取るための「感覚器官」を、

経営者が、巡回監査士との中で育てていく道具になっている…

そのことが、見えてくるのです。

だから巡回監査士は、

「経営の思考訓練の伴走者」へと進化するのです。

人間は、情報を取り入れる前に、すでに自分の色をつけています。
「嫌なことを言われた」「景気が悪い」「社員が動かない」
「銀行が厳しい」「税金が高い」…。

こうした言葉の中には、事実と感情が混ざっています。

「ちょっと待て。本当にそうなのか。自分は正確に見ているのか」
天風は、きっと、そう語りかけているのです。
これは経営者にとって、とても大切な訓練だと思います。

現実そのものが、私たちを苦しめているのではありません。
現実をどう受け取るかによって、それは力にも毒にもなるのです。

だから、「よく見る」「よく聞く」「事実を事実として受け取る」
「すぐに決めつけない」「自分の感情を混ぜない」その訓練を続ける。

 

すると、単なる「五感」が、

次第に、経営者の直感・洞察力・勘へと変わっていくのです。

 

経営者に伴走する人材を育成したいと願う山下事務所では、

会議のたびに、巡回監査の父、飯塚毅先生の言葉を学びます。

先生が、何を伝えているのかを、素直に感じ取る訓練です。

 

「白露の 己が姿はそのままに 紅葉に置けば 紅の玉」

 

先生は、基本書の読み方を、このように指導されました。

結論は出ているのです。すでにいただいている。

先生は常に随時意の精神です。

あとは、その境地に迫れるか。こちらの問題になります。


このように、「勘」とは、神秘的な能力ではなく、

現実を正確に受け取り続けた人に宿る知性なのではないかと思います。
 

ところが、そこまで深く対話しているのに、

「でも…」と自分の色を混ぜて語り出す人もいます。
えっ?今まで何を聞いていましたか?(;^_^A

でも、そこが、人間の可愛らしいところですね。だから会議は楽しい。

 

ゆえに、巡回監査の極意は、担雪埋井(たんせつまいせい)なのです。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。

土井善晴「味つけはせんでええんです」書影

 

一生ものの雑文集。この本は、料理の本というより、

「人間は、どう生きれば自分を失わずに済むのか」について、

考察しているの本だと感じました。

表紙にある、「なにもしない」料理が、地球と私とあなたを救う…
という突き刺さる一文。このメッセージが、実は本全体を貫きます。

出版社自身も、本書を「料理」を入口に、人間、自由、幸福、

経済至上主義、環境危機まで考える本と位置づけています。

◆ 1.「味つけはせんでええ」は、料理の本ではない

普通、料理は、「どう味をつけるか」「どう美味しくするか」
「どう見栄えよくするか」と考えます。

ところが著者は、そこから一歩引きます。
「素材には、もともと味があるでしょう」というのです。

野菜には野菜の味がある。米には米の味がある。魚には魚の味がある。
だから、人間があれこれ手を加えて「完成させよう」としなくてもいい。
これは、かなり深い思想だと感じます。

人間が自然を支配して完成させるのではなく、

自然の中に既にあるものを感じ取り、それを生かすのです。

ですから「何もしない」は、怠けることではありません。
むしろ、余計なことをしないためには、よく見る必要がある…
そこに、著者の料理の哲学があるのです。
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◆ 2.「レシピから自由になっていい」

本書のまえがきには、とても重要な考え方があります。
「レシピとは、人の物語から生まれたお料理のメモ」P.2であって、

他人のレシピをそのまま再現することが、

自分の料理になるわけではない、という定義です。

これは現代人に向けた、かなり大きなメッセージだと思います。

私たちは、「正解は何か」「正しいやり方は何か」

「専門家は何と言っているか」「みんなはどうしているか」を探しすぎる。

でも、あなたの人生には、あなたの料理がある。
下手でもいい。不格好でもいい。レシピどおりでなくてもいい。
一生懸命、自分で料理をする。そうすると、そこに「自分」が現れる。

まえがきの言葉にも、「一生懸命お料理すればそこにあなたがいる」

「お料理するあなたが、あなたを守ってくれる」P.2 という思想が

はっきり出ています。

ここに、著者がいかに温かい視座で、人を見ているか…

それが滲み出ていると感じました。
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◆ 3.「料理すること」が、人間を取り戻す

さらに面白いのが、本の章立てです。
「料理という人間らしさ」「料理がひとを守ってくれる」
「地球と料理」「味つけはせんでええんです」「料理する動物」

「パンドラの箱を開けるな」と続きます。

つまり著者は、料理=食べ物を作る技術とは考えていない。

料理するということは、 自分で考える、 手を動かす、 素材を見る、
 季節を感じる、 火を扱う、 食べる人を思う、 結果を受け入れる…
という、ものすごく人間的な営みなのだということです。

AIが発達し、便利になり、

何でも「最適解」を教えてくれる時代だからこそ、
自分の手でやってみること、そのものに人間を守る力が湧く…
こうした視座です。だから本書の核心は「人間論」だといえます。
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◆ 4.山下事務所の思想にも重なる

山下事務所には、
「会計は、会社と社会をつなぐ機能」という思想があります。
この考え方と、著者思想に、共通点を感じます。


たとえば経営者に、「もっと利益を出しましょう」
「節税しましょう」「こういう会社にしましょう」と、

外から「味付け」してしまうことはできます。

しかし、本当に大切なのは、

その会社には、その会社にしかない素材がある…という大前提です。

社員がいる、お客様がいる、地域がある、技術がある、歴史がある、
社長の人生がある…30年、40年積み重ねてきたものがある…

 

すべてが、その会社にしかない、特定の素材です。
そこに会計という「事実」を置いてみる…

すると、「あなたの会社は、実はこういう会社ですよ」と、
会社自身が語り始めるのです。
これは、著者の、「素材を生かす」に非常によく似ています。
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◆5.「味付けをしない」と「何もしない」は違う

ここは誤解してはいけないところです。
「味つけはせんでええ」は、「何もしなくていい」ではありません。

むしろ逆です。余計なことをしないためには、

素材をよく観察しなければなりません。
野菜を見て、手に取って、質感を感じ、季節を感じる。
火加減を見て、食べる人を思って、必要なところだけ手を入れる。

つまり、「自分の都合で変える」のではなく、

「相手の本質を見て、必要なことだけする」。

この態度は、ナレッジ・マネージメントそのものです。

つまり経営にも、人を育てることにも、

「経営者の伴走者としての生きざま」にも通じます。

質問されたから答えるのではなく、相手をよく見て、
「今、この人に必要なものは何か」を感じ取る。
やり過ぎない。放っておきもしない。この間に本当の伴走があります。
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◆ 6.表紙の絵も、また味わい深い

表紙の真ん中に描かれたスケッチ。一見、地球ですが、

目をぼかすと、おにぎりに見えてきます。

著者の思想は、漫画にもできるのです。

言葉にすれば「一粒、一粒も、また地球」となります。

 

「ここが、急所でおまっせ」と押し付けない。

そんな風に感じてくれたら「それでええんです」と言っているよう。

そして題字の、『味つけはせんでええんです』という三段の配置。
「ええんです」と言われると、こちらの肩の力まで抜けてくる。

 

この本は、「もう頑張らなくていい」という脱力の思想でなく、
「本来あるものを、もっと信じていい」というお勧めでしょう。
たとえば、「米は米にあらず。すなわち米は命なり」であることを、

静かに語っています。
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この本を「経営者」の必読書に…

というのも、経営者は、つい会社に「味付け」をしたくなるからです。
売上を上げなければ!人を増やさなければ!新商品を作らなければ!
DX化しなければ!広告を出さなければ!…

でも、その前に、「この会社には、もともと何があるのか?」を見る。
そこが圧倒的に重要です。そのはじまりが、会計をきれいにすること。
そして、数字を毎月見る。社員の声を聞く。お客様を見る。
創業から今までをを振り返る。

すると、会社の中にすでにある「味」が見えてきます。
自社を観察することで、この本が経営指南書であることがわかります。
すると「足す経営」から「生かす経営」へと、物語が書き換わります。

山下事務所の使命の一つ。

それは「経営者の思考訓練の伴走者」という役割です。

この役割は、本書を読み込むことで、深まります。

経営者に、答えを味付けして渡すのではなく、
その会社自身の味を、経営者が発見する過程をお手伝いするのです。

「料理が、ひとを守ってくれる」という思想。

そして「会計が、経営者を守ってくれる」という思想。
この二つ、深いところで繋がっていると感じました。

 

つまり、土井氏にお会いする日が近づいているということでしょう。

 

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いつもお読みいただきありがとうございます。

 

 

 

青空と白い雲

 

感覚器官を正確に使う

 

「我々の人生の周囲に存在するすべての事柄は、
取り入れ方がよけりゃ、我々の心の力を
非常にすぐれたものにするけども、

反対に、同じものでも取り入れ損なうと、
抗議の方面へと働きだすんですよ。

外界の印象を取捨分別することは言葉を換えていえば、
感覚器官を正確に使用することなんだ。

そうしてはじめて本当にすぐれた勘の力がでてくるんです。

 

― 中村天風 ―  思想家 
            1876年7月20日 ‐ 1968年12月1日 

 


「同じ出来事でも、「取り入れ方」で結果が変わる」

天風氏は、同じものでも取り入れ損なうと、

反対の方向へ働きだす…と言っています。ここが核心です。

たとえば、経営者にとって「売上が落ちた」という事実がある。

 

Aさんは、「もうこの会社はダメだ」と受け取る。
すると、不安になり、守りに入り、判断が小さくなる。

一方でBさんは、「なぜ落ちたのだろう。」

「お客様の変化を知らせてくれているのではないか?」と受け取る。

同じ「売上減少」という現実なのに、

心に入った瞬間に、まったく違う力になる。

天風が言っているのは、まさにこれではないでしょうか。

「感覚器官を正確に使う」とは、事実と解釈を分けること

私たちは目で見ているようで、実は「自分の解釈」を見ています。
耳で聞いているようで、「自分の意味づけ」を聞いています。

例えば社員から、

「今回は、こうした方がいいと思います」と言われた。

経営者が、「俺のやり方を否定された」と受け取れば、腹が立つ。

 

しかし、「この社員は、会社を良くしようとして意見を出している」
と受け取れば、貴重な情報になる。

つまり、事実 → 感覚 → 解釈 → 感情 → 行動
という流れの中で、私たちは「解釈」を勝手に混ぜてしまう。

だから天風は、まず「正確に取り入れよ」と言っているのだと思います。

 

 

いかがですか。「感覚器官を正確に使う」。

興味深いテーマですね。

この実践、また一週間かけて、探究していきましょう。

 

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いつもお読みいただきありがとうございます。

 

― 経営マインド 361  ―


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