税理士である山下は、会計参与として、
ある企業の取締役会に、毎月出席しています。
6月に株主総会を終えたところで、早速、新期の取締役会を開催。
取締役だけで、ローカルベンチマークを作成することにしました。
役員のお1人のレポートの分析を先週お伝えしましたが、
AIによる評価はなかなかのものでした。
役員としての飛躍的な成長を、AIも感じ取ったのです。
そこで、もう一人の方の分析もお願いしました。
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前回の千葉さんは、
「会社を俯瞰して見る力が芽生え始めた人」という印象でした。
一方、この秋田さんは、かなり違います。
読み終えた瞬間に感じたのは、
**「この人は経営を"構造"で考え始めている。」**
ということでした。
これは役員として、一段階上の思考です。
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☆ 第一印象
千葉さんは > 「会社をどう良くするか」を考えています。
秋田さんは > 「会社がなぜ強いのか」を説明しています。
この違いは、とても大きいです。
例えば、「安定・再現」を理念だけではなく、
* 数値管理 * 中番制度 * 稟議制度 * メンテナンス内製化
という具体的な仕組みまで落とし込んでいます。
つまり
理念⇒仕組み⇒成果…という因果関係が頭の中にあります。
これは経営者の思考です。
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特に素晴らしい点①
■ 強みが「能力」ではなく「仕組み」
多くの人は > ウチには技術があります…で終わります。
しかし秋田さんは、
例えば > テスト校正が一回で終わる > 中番による情報共有
> 数値管理 > メンテナンス内製化など、
競争優位の理由まで説明しています。
つまり「強い」ではなく、「なぜ強いか」を書けています。
これは非常に高いレベルです。
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特に素晴らしい点②
■「無形資産」に気付いている
文章を読んでいて驚いたのは、彼は設備ではなく、
・知識・ノウハウ・仕組み・配合表・品質管理数値…
これらを会社の財産として認識しています。
これは近年よく言われる**知的資産経営**そのものです。
しかも本人は難しい言葉を使わず自然に書いています。
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特に素晴らしい点③
リスク感覚が鋭い
普通は「ウチは人材不足です」で終わります。
しかし秋田さんは、* メーカー撤退 * 部品供給停止 * 後継者不在
* 特定顧客依存 * 無償サービス という、
会社が将来傷むポイントを具体的に見ています。
これは経営者に必要な、危機察知能力です。
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☆ ただし、さらに大きく成長するためには
ここからです。私は三つあると思いました。
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■ 第一の課題
「分析」が強く、「未来」が少し弱い
文章全体が非常に論理的です。
しかし、読後感として、未来へのワクワク感が少ない。
例えば、
・アート市場・特殊印刷・ブランド化については触れていますが、
まだ「こういう会社にしたい」という情熱が少し見えません。
つまり、
分析者としては非常に優秀ですが、
旗を振る人としてはこれからです。
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■ 第二の課題
人を見るより仕組みを見ている
文章には、
・制度・仕組み・品質・工程・管理が数多く出てきます。
逆に、
・社員一人ひとりへの期待・育成・感謝・夢などは少ない。
つまり、経営管理には強い。
しかし、人を動かす言葉はこれから伸びます。
経営者は、数字だけでも、仕組みだけでも会社を動かせません。
最後は、人の心です。
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■ 第三の課題
「価値」が分かっているのに、自社の価値をまだ安く見積もっている
今回、私が最も印象に残った一文があります。
> 組織全体がまだ無自覚であり、正当な収益化に結び付いていない。
これは非常に重要です。
つまり、本人は、会社の価値には気付いています。
しかし、その価値を、どう価格へ転換するかまでは、
まだ描き切れていません。これは次のテーマでしょう。
例えば、この会社は、製造会社ではなく、
品質保証会社と言ってもいい。
さらに、モノを再現する会社ではなく、
「お客様のブランドを守る会社」とも言い換えられます。
そこまで価値を言語化できた時、価格競争から抜け出せます。
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☆私なら、この方にはこんな宿題を出します
私は数字ではなく、言葉の宿題を出します。
1. 私たちは印刷会社ではなく、何の会社なのか。
2. お客様は、印刷物ではなく何を買っているのか。
3. 当社がなくなったら、一番困るのは誰か。
4. 当社が10年後に業界で「唯一」と言われるものは何か。
5. 社員が子どもに自慢できる会社とは、どんな会社か。
この問いに答え続けることで、分析力は「構想力」へと変わっていきます。
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■ 会計参与として感じたこと
実は、この資料を読んでいて最も嬉しかったのは、
財務や会計の記述ではありませんでした。
それは、
> **「月1回の会計参与と取締役による勉強会で経営基盤を固める」**
という一文です。
千葉さんは「会計参与が経営者と取締役をつなぐ」と表現し、
秋田さんは「経営基盤を固める場」と表現しています。
同じ会計参与という存在を、それぞれ異なる角度から評価しているのです。
私は、この違いに、お二人の個性がよく表れていると感じました。
* **千葉さん**は「人をつなぐ会計参与」を見ています。
* **秋田さん**は「経営を進化させる会計参与」を見ています。
そして、お二人に共通しているのは、
「会計は決算書を作るためのものではなく、
経営者の思考を鍛えるためのものだ」という体験を、
毎月の取締役会の中で積み重ねていることです。
これは、会計参与制度の本来の価値を体現する、
非常に良い実践だと思います。
率直に申し上げれば、この二人は役割は違っても、
将来は互いを補完し合う強い経営チームになれる可能性を感じます。
千葉さんは「人を巻き込み、現場を動かす力」を持ち始めています。
一方、秋田さんは「会社の構造を設計し、競争優位を言語化する力」
を育てています。
もし今後、お二人がお互いの長所を学び合えるように導いていけば、
この会社の経営陣はさらに一段高いステージへ進むはずです。
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いかがですか。会社の未来が、実に明るい。
希望に満ち満ちているような分析ではないでしょうか。
実際、そうした会議が毎月展開されているのです。
この在り方が、日本の中小企業のモデルになることを祈っています。
すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
いつもお読みいただきありがとうございます。
