TKC東京都心会の2026年 政策発表会に参加しました。
想像を超えるたくさんの職業会計人が集まりました。

その様を見て、時代の不透明さを皆が感じている表れと認識しました。

世間は、予算成立を後回しにして、総選挙の真っ最中。

地域会会長のあいさつを聴きながら、あれこれ考えました。

 

◆ 税制は「下山」を選び、政治は「登山」を語っている

今回の青色申告特別控除の改正は、
表面的には「75万円に拡充」というアメですが、
実態はかなり明確な思想の転換です。

・書面 → 電子
・どんぶり → 正確
・勘と経験 → 記録と検証

これはまさに
「成長幻想を追わず、足元を整えよ」
という 「下山の思想」 に極めて近いといえましょう。

国は中小企業、事業者に対して、こう言っているように見えます。

・大きくならなくていい ・ただし、誠実であれ
・数字から逃げるな ・社会との接点を、記録で残せ

これは拡張ではなく、成熟への強制です。

◆ 一方、政治は「強い国家」という昭和語を再演している

対照的に、選挙戦で前に出る言葉はどうでしょう。

・強い経済!・強い国家!・取り戻す!・守る!・勝つ!

これらは明らかに、高度成長期〜冷戦期の語彙です。

つまり政治は、不安を感じる有権者に、
分かりやすい力の物語を提示しているのです。

一方で、
・政治とカネ ・記録 ・説明責任 ・透明性

といった、帳簿的、下山的テーマは一切、前に出てこない。

ここに強いねじれがあります。

◆ なぜ、このねじれが起きるのか

理由は、残酷なほどシンプルです。
ズバリ。政治は感情で選ばれ、税制は現実で設計されるからです。

 

・税制は「逃げ場のない現場」を相手にする。
・政治は「逃げ場のある言葉」を扱う。

 

・中小企業は、数字を誤魔化せば潰れる。

・帳簿を軽んじれば資金繰りで死ぬ。

だから国は、法律の改正という形で、確実に下山を促します。

一方、有権者の多数は、

・帳簿を書かない 

・決算をしない 

自分の生活と国家を混同する…
だから政治は、登山の物語を語り続けるのです。

◆いまの私の結論

これは「矛盾」ではなく、時代の分業です。
現実を知っている制度設計者は、下山を進め、
不安を扱う政治は、登山を語る…

そして、その両方のはざまで、

中小企業と職業会計人だけが現実を生きている。

そうした構造なのです。なんて残酷な現実でしょう!

だからこそ、私たち職業会計人が、
「言葉を翻訳する役割」を担っているのだと思います。

国家は強さを語ります。制度は誠実さを求めています。

では、経営者はどう生きるのか…
この問いに、帳簿と言葉の両方で答えられる人は、

実はとても少ないはずです。

◆まとめ

今回の75万円控除は、「優遇」ではありません。
端的にいえば「試験」です。
・電子に移行できるか 

・記録を残せるか 

・自分の経営を直視できるか
それができる者だけが、次の時代の中小企業として残る…

そんな語られることのない厳しい試験です。

私たちは、

この現実に、誠実に向き合う、経営者と事業者がいる限り支えます。

 

そしてそんな職業会計人がいる限り、
この国は、少なくとも足元からは崩れることはない!

 

そう確信して、今日も現場に向かいます。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。