監査担当者の1人に、子どものころから茶道、華道に親しんできたという、

まことに教養高い人がいます。

今でこそ教養人などといわれて嫌な気はしませんが、

子どもの頃は稽古が嫌でいやで仕方なかったそうです。

友だちは、ピアノやバレエやスイミングなどを習っているのに、

自分だけ古臭いお作法をやらされている…そんな風に思っていたそうです。

実は母親と伯母が両道のお師匠さまだったのです。

そんな家に生まれてしまったら、幼い頃から畳に座らされてしまいますね。

観念するしかありません。

 

いやいや稽古を続けていたので、親元を離れて以降、

稽古からも遠ざかりましたが、たまに茶会などを手伝うことがあるそうです。

決して能動的に手伝っているわけではないのですが、

不思議と体が動くそうです。覚えていないはずの作法が、勝手にできる。

体が覚えているのです。あれだけイヤイヤ稽古していたのに、体は動く。

潜在意識と顕在意識は違うことを、この人は自身の体験を通して実感しました。

そして「型」の重要性を深く心に留めました。

 

この体験が、中小企業の経営者に受けるそうです。

「毎月、帳簿を締める意味ってなんですか?」などと呟かれたとき、

この経験を話すと、大概、共感されるそうです。

「君は、知らないうちに教養人になってしまったのだね。」

「では私も、知らないうちに経営者になれるかな?!(笑)」と。

 

イヤイヤでも教養人になれるのですから、

本気に取り組んだら、青天井の世界に行ってしまったことでしょう。

イヤイヤでも巡回監査を続けていたら、経営は続きます。

30年の経験から、これは間違いありません。

本気で巡回監査に向き合っていただいたら、

会社は、どんどんよくなります。

そして経営者自身が、想像もしていなかった会社を築けるようになります。

 

こんなに健全性が高い。安全性が高い。成長性が高い。

ちょっとやそっとのことで揺らぐ財務体質ではない…

借りていないのに、金融機関が毎期決算書を欲しいと言ってくる。

たとえばこんなことになってしまうのです。

これが巡回監査を大好きになった経営者の未来です。

「でもイヤイヤでもいいんですよ」

こんな風に指導できる監査担当者さん。

いやぁ、人間力ですね。この人に担当してほしい…

そんな社長さんがこれから増えていきそうです。

 

会議のたびに、こんな報告を聞かせていただき、

責任者としてこんなうれしいことはありません。仕合せ者です。

 

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