小規模企業共済を解約したい…そんなご相談が増えています。

小規模企業共済とは、小規模の中小企業経営者と役員だけが加入できる

これ以上ない優遇商品。いわば虎の子です。

掛け金は全額所得控除になります。

掛け金はその年の所得に応じて自由に変動させることができます。

いざというとき差し押さえ物件の対象になりません。

こんな魔法のような商品はどこにもありません。

政府が保証している金融商品です。これ以上の安心もありません。

ただし魔法のような商品ですから、青天井で掛けることはできません。

年間の掛け金の上限は決まっています。

その上限、目一杯に掛け、20年、30年と続けると、

いつのまにか資産と呼べるほどの塊りが出来上がります。

これが老後の大切な生活資金になります。

「事務所の方針に従って、続けたおかげです。」

「なんだかものすごいご褒美をいただいた気持ちになりました!」

などと感謝されることで、事務所もお役に立てたことを喜びます。

 

そんなゴールを想定しているのに、解約したいのですが…と、

ご相談される方がいます。そうした方々が少ないとはいえ増えています。

詳しく伺うと、すでに借入をしています。それも上限に達しています。

なぜもっと早く教えてくれなかったのかとお訊ねすると、

「はじめは軽い気持ちだった。」「直ぐに返せると思った」などと仰います。

確かに返済しているのです。しかしそこで学習してしまったのです。

一度あることは二度ある。二度あることは三度ある…

格言のとおり、借りる回数は増え、その内に借りる金額も増え、

やがて返せなくなり…掛け金をねん出することもきつくなり…

そこで、いよいよご相談という運びです。

相談というより、もはや「解約するから許してくれ」という角度です。

 

こうした機会に触れるたび、指導の甘さを反省します。

このようなケースが生まれる原因は、大きく二つあると考えられます。

一つは、帳簿付けを甘やかした先。

もう一つは、思考が経営者にならず、消費者のままであった先です。

 

簿記はわかりません、数字を見ると頭が痛くなります。

こうしたセリフで会計に向き合わなかった人は、

つまるところお金の使い方がわからなかった人だと言えます。

固定資産を所有したがるという性癖も強いようです。

中小企業経営の極意は、「持たざる経営」ですよと、

何度申し上げても、結局、腹には落ちていなかった…

残念ながらその事実が明らかになる日がきます。

その儀式の一つが、小規模企業共済の解約です。

 

残念な結果ではありますが、実は残念と思っているのはこちらの方で、

当事者は一向にめげていないというケースもあります。

そんな方が口にする言葉は大概…

「そこでご相談です。何かいい方法はありませんか?」です。

小規模企業共済の掛け金をどう受け取るか。

これは中小企業経営者の卒業試験です。

折に触れ、晴れて卒業することの難しさを教えられます。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。