保証協会から融資を断られた事例です。
理由は得意先が限定されているということでした。
わかりやすくいえば売上先が少なすぎるということです。
はっきり言えば、得意先への依存度が高すぎるということですね。
その得意先と取り引きがなくなったら、当該企業はどうなるか。
途端に返済できなくなるでしょう。リスク高いから貸せません。
このようになりました。言われてみれば当然の結末です。
しかし、それで終わってよいのでしょうか。
時は2024年。生成AIが暴れだす前夜です。
1900年代みたいな金融常識をいまだに用いてよいのでしょうか。
実はこの企業、10年前にも同じ理由で、資金調達ができませんでした。
あれから10年です。ビジネスモデルが確立されているので、
得意先が増えることはありません。仕入先も変わりません。
従事員が入れ替わることもなく、同じ商いを淡々を続けています。
それでもコロナなどが起こりました。手元に資金を置いておきたい気分が、
10年に一度くらい湧いて来ます。
保証協会のマニュアルではリスクが高いと分類されても、
この企業は、実際に存続しています。なぜ存続しているのか。
それを考える必要があると思うのです。マニュアルにはそこが抜けています。
理由はズバリ。月次巡回監査を実践して、業績を把握しているからなのです。
適正申告をモットーとして、社会に背面するような姿勢を排除しているからです。
こうした真実性こそを信用の担保にすべきです。
さらにこの企業は、書面添付を実践し、中小企業会計要領に準拠し、
記帳適時性証明書を決算書に添付しています。
取引先が多い、少ないの前に、評価すべきことがこれだけ揃っています。
さらに、モニタリング情報サービスの提供もしている。
現在は保証協会も、データを取得しているのです。
にもかかわらず、得意先が少ないという理由で門前払いしました。
つまり会計不正を犯していても取引先が多ければ融資するという姿勢です。
そんな思考で、社会が善い方向へと進むでしょうか。
先ず自らの浄化を基とする企業が存続していることを、なぜ尊ばないのか。
これがマニュアル業務の悲しい現実です。
金融機関が、いかに顔の見える関係性を構築したいと願っても、
保証協会に依存した融資をしている内は、願いを叶えることはできないでしょう。
ここら辺は、会計人も苦しいところです。
時代の変革期にいることを理解するが故に、我慢のしどころです。
ただこちらは我慢できても、主役である中小企業が我慢を続けられるか…
そこが心配です。外形的な基準より、内部の管理能力こそが実力であり、
信頼性だという着眼を早く育てていただきたい。
「情報の非対称性」という言葉が、金融で使われるようになって久しいですが、
現実の変革には、まだまだ時間がかかるな…
そんな感を強くした今回の事例でした。
すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
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