コンピュータ会計を成功させるには、「先ず現金を合わせること。」
これが飯塚毅先生の徹した教えでした。
この甚深の意味がわかる会計人と、わからない会計人にわかれました。
わかる会計人は、現場で現金管理を徹底させるため、
その指導に腐心しました。そしてコンピュータへの入力は二の次になりました。
わからない会計人は、現金勘定を調整勘定に使い、
サクサク入力をはじめました。関与先から受け取った領収書はなんでも入力。
残高確認をして、元気がマイナスになると、
役員借入金を起こし、現金をプラスにします。
こうして実態とかけ離れた試算表が、大量に乱造されていきました。
便利はよいけれど、しっかりした精神を持っていなければ、
コンピュータ会計は危険なのです。まさに「もろ刃の剣」。
山下事務所は、入口で飯塚先生のご指導に触れることができたので、
道を過つことなく30年、何とか会計事務所を経営することができました。
いつまで経っても、現金が合わない企業が存在します。
月次で巡回監査をして、毎月残高を確定させているのに、
翌月はまた合わない。ありえないことが起き続ける企業も中にはあります。
そうした企業は、例外なく社長の心が緩んでいます。
結論として申し上げられること。
それは、現金が合わせられない人、現金を合わせる気持ちがない人は、
会社どころか商売をやってはいけないのです。
そこを見極めてから顧問契約ができれば一番よいのでしょうが、
山下事務所には、まだその眼力がありません。
ともに巡回監査を続けていくことで、ようやく互いの個性を知ることになります。
そこまで緩いと思わなかったという感想と、
そこまでキツいと思わなかったという感想のギャップです。
ギャップを互いに認識できたらラッキーです。
そのときお客さまに、選択権が委ねられます。
「よし、商売できる力をつけよう!鍛えももらおう!」と自らの心に挑むか。
「よし、現金にうるさくない会計事務所に変わろう!」と自らの心に生きるか。
この選択です。しかし、本当の問題は職員さんです。
お客さまのいざという時、どんな振舞いを示すか。そこです。
常日頃より、飯塚先生の精神に生きよう!と話していますが、
現金の合わないお客さまを許してしまう心がでるときがあります。
そんなとき、ベテランの職員さんは、よく注意されました。
例えば「お~ぃ!どっち向いてるの?」なんていう風に。
現金は、そのうちこの世から消えるかもしれませんが、
商売の姿勢=会計の精神を作り上げるには、
現金管理、現金実査がはじめの一歩であり、急所なのです。
そして現金管理の正確性こそ、商いを永続させるの秘法なのです。
指導ツールとして現金が使えなくなったときは、次に何を代替物とするか。
それを考えていかなければならないときが来ています。
AIの進化によりデータ作成がますます速度を増す時代です。
だからこそ入口の入口を地味に指導する実践。
ここが会計人の生命線になります。
現金にルーズな企業で、発展しているところはありません。
逆に、業績がたとえ思わしくなくとも、金種まで合わせて、
毎月チェックを受ける実践をルーティン化している企業は、
絶対に潰れません。発展はそのゆるぎない土台から興るのです。
すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
いつもお読みいただきありがとうございます。