老舗企業の経営計画発表会。
この計画書を手にするたびに、背筋が伸びます。
社長の考えのすべてが表記された経営計画書。
社長の人生そのものが詰まっています。
計画書というのは、未来への誓いであり、遺言書だなと感じます。
製造業。従事員40名。二十歳で入った方が、40年勤務して退職。
年に1人入社して、1人が定年を迎える。
この人数に達して、ようやく人づくりが暗転します。
こちらの企業に出会うことで、人材の循環システムの在り方を知りました。
10年間は修業。次の10年間は第一線。その次の10年は責任職。
そして最後の10年は、後進の育成。
企業で過ごす40年の在り方が、社員に染み入っているので、皆が仲良し。
営業も、製造も、総務もそれぞれの役割をきっちり踏まえ、
自ずと強固な一枚岩の組織になっていきます。
電話をすると、総務の方が元気一杯に挨拶してくれます。
会社に対する思いを伺うと照れることもなく「社長が大好きです!」と答えます。
社長への尊敬心が、そのまま愛社心となって仕事の付加価値へと転じます。
この形が作れたら中小企業は不死身です。
どうしてこんな安定感のある会社になれたのか。
その秘密が決算書に表れています。
自己資本比率51%。毎期この比率を維持しています。
総資産に対する借入金の比率は30%。他人資本の60%にあたります。
事務所が提唱する限度比率を越えていますが、
両建てで金融機関に出資しているので、
実質借入金は、総資産の25%に納まります。
ということは他人資本の50%を維持しているということになります。
固定長期適合率は82.5%。
自己資本における有形固定資産の比率は66.6%。完璧です。
こうした巌のような安定性が、社員を40年かけて育む社風を作り出します。
そして大事なのは会計に対する社長の精神です。
経営計画書の50頁に以下の文言が記載されています。
「わが社は、山下明宏税理士事務所に指導を仰いでいる。
毎月、巡回監査を受け、正規の月次決算書を完成させる。
部長並びに主任は、巡回監査に全面的に協力し、指導をしっかり仰ぐこと。
また不明な点は、その都度確認し、不明点、漏れ等がないようにすること。
本年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法については、
社内で決めたルールに従い、担当部課ごとに所定のフォルダーに、
確実に保存していくこと。(略)
今後とも、山下明宏税理士事務所とは、
良好な関係を築くように努める所存であり、
本決算も「記帳適正証明書」を添付していただけるよう環境を整備すること。
いかがですか。この精神が、ステークホルダーからの信頼性を不動のものにし、
決算書の中身を強固にしていくのです。
その結果、安心感にあふれた社風が醸成され、
従事員は雑念を起こす必要もなく、仕事に専念して成長していきます。
故にこの企業は老舗になり、今では、地域になくてはならない存在です。
この企業とともに、事務所も大いに革新していきます。
すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
いつもお読みいただきありがとうございます。