『TKC医業経緯情報』7月号

医業という職業に従事するというのはつくづく大変だと、

この雑誌を捲るたびに思います。

人の命に係わる仕事なので、生半可な気持ちで従事などできません。

それはどの仕事でも本質的には同じでしょうが、

特に難しいなと感じるのは、医療現場における状況変化の目まぐるしさです。

 

税理士という職業には、法的安定性という概念がありますが、

医業ではどうでしょう。あのときはよかったことが、次のときには否定される。

そんな場面が多々あるような気がします。

健康診断を受けたほうがよいよ、と一般的にはいいます。

しかし診断を受けるために、定期的に過度の負担を体にかける。

その積み重ねが、不健康の火種になっていると予測する方もいます。

予防接種はした方がよいよ、と一般的にはいいます。

しかし、例えば接種することで、癌にはなならないかもしれないが、

子どもが生まれなくなるかもしれないと言われたらどうしますか。

その時代、時代の価値感というか流行によって、

医療現場の判断が変わって行きます。それもめまぐるしく…

医業従事者はそんなことを思っていないかもしれませんが、

つくづく大変な仕事だなと。ご苦労を感じ、お察しします。

 

雑誌の後半に、「クレームがあったときはどうする?」というコラムがあります。

そもそもクレームとは何か。直球の質問です。

これに答えは明快です。それは期待と現実のギャップです!と。

アンケートによると、65%の人が、期待外れを感じているそうです。

しかし、それが顕在化するのは、全体の3割弱だとありました。

この数字が本当ならば、満足を得るのは3人に1人いないということですね。

そこから何を掴むか。ここが勝負どころですね。

 

ページをめくると、今度は「ミスマッチを防ぐ面接対策」というコラムです。

採用ミスマッチの例が表にまとまっています。

スタッフ側の言い分は、

1.聞いていたのと、仕事内容が違う。

2.雇用条件が違う。

3.雰囲気が好きではない…

クリニック側の言い分は、

1.聞いていたスキルを持っていない。

2.教えてても全然理解しない。

3.良さそうな人柄だと思ったのに…

こんな感想があげられています。どっちの内容もあるあるです。

こうした集計結果から、何が読みとれるでしょうか。

そこを掴むことが、勝負どころでしょう。

 

大雑把に言えることは、スタッフ側は、

面接している時に、一番輝いている自分を見せているはずです。

そこから割り算しなければならないのがクリニック側の責任です。

しかし、割り算しないで額面で期待してしまうのが、クリニック側なのです。

疑う心を忘れてしまうのがクリニック側。

疑う心を深くしてしまうのがスタッフ側。

これこそ情報の非対称性ですね。

 

この問題の解決は、おそらく利他心の醸成以外にはないでしょう。

互いが互いを敬う、相手のために何ができるかを考える。

そうした心を養っていかない限り、権利の主張という罠に落ちていくだけです。

結果として幸福な職業生活を手に入れることは難しいでしょう。

 

コラムは最後にこう結ばれています。

「広告や紹介会社に頼らない組織づくりを」と。

いい言葉です。自力と他力が、経営の分岐点だよとのメッセージでしょう。

先のスタッフ側とクリニック側のつぶやきにも通じます。

不満の言葉は、つまるところ、人のせい。他力なのです。

自力のエネルギーを強くしていけば、他を慈しむ心が湧いてきます。

他に依存する心は、自らの成長を止めます。

 

社会環境は、他力の力が年々強まっている気がします。

つまり利他の経営を目指す病院が、スタッフを採用するのは、

今後ますます困難となるでしょう。

ゆえに、クリニック内で人材を育成するしかないのです。

媒体に頼らない採用…それはスタッフがスタッフを呼んでくるということですね。

スタッフが誇りを持って働く環境づくり。クリニックと一体になって作るのです。

経営者の責任は、その環境づくりに集中することだよと、

コラムは示唆しているように読めました。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。