今回のご相談は、結構、重い内容でした。

果たして会計事務所に繋ぐことなのかと、

紹介者も悩みつつご相談の主とお越しになりました。

 

10年間、同じ職場で勤めた仲間とビジネスを起こすことになりました。

ご相談の主は、法人を立ち上げ、事業の主体になります。

仲間は、必要な資源を提供する専門家を次々に紹介し、

パートナー関係を、構築していきます。

ビジネスモデルは、金融機関からの信頼も勝ち取りました。

モデルがいくら立派でも、まだ実績がありません。

実績がないうちは絵にかいた餅です。

しかし金融機関は、ビックリするほどのお金を貸し出してくれました。

ご相談の主は、仲間を信頼し切っていました。

その姿を見て、金融機関も信頼してしまったのでしょうか。

俄かにはありえませんが、こうして法人は資金調達に成功し、

約定どおり、ビジネス・パートナーに支払いは実行され、

予定通り、事業は動き出すはずでした。

しかし、夢はそこで終わったのです。

ご相談の主を覗く、すべての関係者が忽然と消えてしまったのです。

 

まるで、作り話を伺っているようでした。漫画か、短編小説か…

しかし生気の抜けた青ざめた顔は、作り物ではありませんでした。

コロナ禍で、資金調達がしやすい環境下だからこそ、

起こってしまった事件かもしれません。

新規事業とは言え、絵にかいた餅には新規性があったのでしょう。

金融機関も中小企業の救済という使命を担っていました。

 

それにしても詐欺師というのは、

こういう社会環境を察知する才覚が長けているようです。

察知して、シナリオを描いて、キャストを選び、巧みに動く。

そしてもう一つの才覚は、人情のかけらもない心の持ち主です。

「心が一番大事だよ」という人間を食い物にするのが得意です。

10年という時間をかけて人を騙していきます。恐ろしい話です。

 

そしてご相談の主には、借金だけが残りました。

最大にして、唯一の被害者だとわかりながらも、

金融機関が同情するわけがありません。信用は完全に失われました。

失われた信用…これは借金より重いかもしれません。

信用のない中、どうやって返済を成し遂げるか。

仮に完済したとき、ご相談の主は何歳になっているでしょう。

 

自ら招き起こしたこの大苦難を克服したとき、

この方の人格はどれほど磨かれ、崇高になることか。

経営難に悩む人たちを、励まし、再起させる神さまになっているでしょう。

 

しかしそこまでの道は、あまりに長く、遠い…

どれだけの時がかかるか、今はわかりません。

その時間を買ってしまったのです。

「オレが借金して買ったもの、それは苦難だった!」と、

笑って語れる日が来ますように…

次回は、ご家族ともお会いすることにしました。

 

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