1929年の世界大恐慌がなぜ起こったか。さまざまな説があるようですが、
帳簿記入という視点で見ると、利益の考え方に統一性がなかったために、
企業の適正な価値を判断できなかったことが最大の要因だとされています。
各企業独自の会計報告を基に、それぞれの投資が行われたため、
株価と実際の企業価値との、乖離が著しいものになったということです。
その反省に立ち、1930年代から、会計基準が制定されていきました。
日本もそれに追随しますが、長期にわたる戦争のため、
実際の導入は、1949年になってから。企業会計原則が定められました。
基準なり、原則なりが定められた初期は、帰納的な考え方に基づきました。
現場の実態を先ずはありのままに受け入れ、それを蒸留する方法です。
その方法は、受け入れられやすく、普及しやすいという長所がありながら、
時代の変化に対応しにくいという短所も持ち合わせていました。
現在のような動きの速い時代では、会計は帰納的なアプローチから離れ、
演繹的なアプローチによって進化しています。
歴史的な流れを俯瞰すると面白く進化を眺めることができるのですが、
つくづくすごいなと思うことは、飯塚毅先生は、
昭和24年に「巡回監査報告書」の第1版を完成させていることです。
その年から、飯塚会計事務所では、巡回監査を開始したのです。
巡回監査を開始したということは、お客さまに伝票を起票していただいたということです。
学校を出た人でも、帳簿をつけられる人がどれだけいただろうかという時代です。
そもそも小学校、中学校で学業を終えた人が圧倒的に多かったころです。
そんなときに、企業に帳簿組織を教え、仕訳を教え、算盤を入れさせたわけです。
その指導力の高さには、茫然とします。
巷の会計事務所は、ほぼすべて記帳代行型事務所だったはずです。
そのような環境のなかで、あるべき姿を貫き通して事務所経営を展開したのです。
あるべき姿とは、演繹的アプローチです。
巷の会計事務所は、帰納的アプローチを優先した。それを仕事だと思った。
サービスだと思った。しかし飯塚会計事務所の顧客は、膨大な数となりました。
これがTKC会計の原点です。思考的原点であり、実践的原点です。
マーケットがあるからそこに触手を伸ばすのが帰納的アプローチ。
マーケットを創出していこうとするのが演繹的アプローチ。
「企業会計原則」が帰納的アプローチによって誕生した1949(昭和24)年に、
飯塚毅先生は、演繹的アプローチを取って「巡回監査報告書」を完成させたのです。
TKC会計というのは、その生い立ちから演繹的だったのです。
この感動は、文字だけで表現できるものではありません。
会計原則は帰納的アプローチからはじまり、演繹的アプローチに進化することによって、
現代の複雑な経済事象に対応できるようになりました。
TKC会計の実務は、はじめから演繹的アプローチでした。そして一貫して演繹的です。
そのためにどういうことになったか。
帳簿をとことん大切に扱う、自計化システムを作ることができた。
帳簿の延長線で考えられる予算策定システムを作ることができた。
帳簿を大切に、半永久的に保存するので、世界に冠たる経営指標を作ることができた。
ITシステムによる監査を常態とすることができるようになった。
電子申告にいち早く対応することができた。
中小会計要領に基づく決算書を提供できるようになった。
認定経営革新等支援機関の業務に100%対応できるようになった。
金融機関と、関与先企業の会計データを共有することができるようになった。。。
このように、TKCシステムに乗った会計帳簿は、
留まるところを知らずに、進化していきます。
飯塚毅先生が、初めから演繹的アプローチによって、
会計を捉えていたことの証左以外の何ものでもありません。
どういう事務所経営をしていくのか。開業するとき誰もがそこを問われます。
市場を原理とするのか、理念を原理とするのか、
そこが運命の分かれ道だということが、今よくわかります。
このように、とりあえず文字に起こせるまでにはなりましたが、
開業当時、ここまでわかっていたかといえば???です。
しかし「わからないときは、難しい方を取れ」という格言は知っていました。
いま、その言葉の深さを感じます。
格言に従い、難しい道を選択できたから今があります。
制度の世界に生きる者は、演繹的であり続けなければならないわけです。
学生気分に帰り、理論を勉強することで、実務がよく見えてくる、整理できる。
そんな幸福を味わっています。
日本最高峰の会計学の権威から、しばらく教授をいただけることになりました。
この幸運を活かし、専門性を高め、お客さまをさらにご支援してまいります。
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事務所一丸となって、お客さまの永続的繁栄に貢献します。
この度山下会計版、経営助言のバイブルを完成させました。
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