― TKC全国会の優れた見識に敬意を表して ―

                                代表取締役会長 飯塚真玄


中小企業向け会計の新指針

来月にも策定着手 中小企業庁



中小企業庁は10月にも中小企業の会計処理に関する新しい指針づくりに着手する。取引を適時記録するなど帳簿の信頼性向上を促すとともに、自ら会計処理をできるように手順や仕組みをわかりやすく説明。経営者が経営状況を的確に把握できるようにする。

同庁の「中小企業の会計に関する研究会」(座長、江頭憲治郎早大大学院教授)が17日の会合で、新指針の方向性を示した報告書を正式決定する。10月にも中小企業団などが参加する新しい検討会の場を設け、新指針の普及促進方法も検討する。

報告書では、大企業などが対象となる国際会計基準(IFRS)を中小企業に適用する必要がないと明記。決算に基づいて納税額を計算する「確定決算主義」など、中小企業の会計慣行に配慮する。

従来の指針は内容が難解で、中小企業の実態に即しておらず、新たな指針策定の必要性が指摘されていた。



日本経済新聞 平成22年9月17日朝刊



この記事を9月17日の朝自宅で読んだとき、思わず立ち上がり、密かに万歳三唱した。これで中小企業は救われる。税理士も救われる。ついては当社も救われる。こんなに嬉しいことはない。

これまでの経緯は坂本孝司先生や全国会事務局の浅香智之君から詳しく聞いていた。しかし、このような内容の記事が全国紙に載ったのは初めてである。

優秀な記者が書いたに違いない。短い文章ながら要点をすべて尽くしている。「取引を適時記帳するなど帳簿の信頼性向上を促す」や「経営者が自社の経営状況を的確に把握できるようにする」などは、中小企業の会計を考えるさいに最も重要な視点である。さらに国際会計基準(IFRS)の影響排除や「確定決算主義」の堅持も記載されている。

では、なぜ万歳三唱したのかと言えば、この成果は、昨年6月以来、TKC全国会において坂本孝司先生や久田英詞先生を中心に編成された特別チームの皆さんが、勇気を持って耐え難きに耐え、利他行の精神から渾身の努力を尽くしたことによるものだったからである。


一、確定決算主義が崩壊すると


昨年(平成21年)び年末まで、日本の確定決算主義は、IFRSの影響により、崩壊の危機に晒されていたのである。

これを食い止めたのが日本商工会議所とTKC全国会であった。その経緯は次項で記すとして、ここではまず確定決算主義が崩壊すると、どうして税理士事務所が崩壊し、その結果として当社も消滅することになるか、その倫理を説明しておきたい。

確定決算主義の崩壊は10年くらいの時間をかけて、徐々に次のように進むだろう。

①IFRSの影響で会計と税務の分離が進み、法人税別表調整が極めて複雑となる。

②誤謬による所得計算の誤りが続発する。

③税務当局は事務混乱回避を理由に、確定決算主義(法人税法第74条)を廃止する。

④帳簿の証拠力が否定され、かつ不正申告の挙証責任が税務当局側ではなくなる。

⑤帳簿に課税の基礎をおく青色申告制度が廃止され、推計課税が増える。

⑥関与先から見て巡回監査は不要になる。

⑦金融機関は公認会計士の監査証明のない決算書を信用しなくなる。

⑧税理士事務所のビジネスモデルが崩壊する。

⑨TKCの存在理由が消滅する。