木製の厚いドアを開けて中に入ると、そこは小さなバーだった。


女性のバーテンダーが一人カウンターに立っていた。

客はいない。


「私をイメージしたカクテルをつくってくれませんか」


しばらく黙って座っていたが、唐突に頼んでみた。

暇だったからだろう。小さく頷いて応じてくれた。

そのための質問に私はいくつか答えた。


そして創ってくれたオリジナルの一杯。


彼女、題して


「夏の夜」。。。


シェリー酒をベースにマティーニ風にアレンジ。

金属製のようじに何かが刺さってグラスの底に沈んでいる。

「果物の皮で星をかたどりました。」

それが流れ星に見えて洒落ている。


木樽の香りを楽しみながらも、しっかりすっきりとした仕上がり。

湯上りに手拭いをぶら下げ、夜空の下をあるく父と子を想像させた。


しかし彼女の「夏の夜」が父と子であるはずがない・・・


では彼女の風景とは・・・
リーワイリーを掛けてもらい、話し出してくれるのを待ってみた。