30年の節目に、未来を語れる職員がいるということ

事務所開業30周年の記念セミナーは、

正直に言えば、いろいろなトラブルもありました。
それでも、結果として「大成功だった」と胸を張って言える一日になりました。

その理由は、セミナーの内容や講師の力だけではありません。
このセミナーを、ここまで高い視座で受け止め、言語化してくれる職員がいる──
その事実に、私は深く胸を打たれました。

今回紹介するのは、ある職員が書いてくれた感想です。
そこには「反省」や「自己弁護」はありません。
あるのは、全体を見渡し、未来を見据え、他者を敬う姿勢でした。


すでに“時代の先端”を歩いていたという気づき

印象的だったのは、
「山下事務所では、世間が“これからの10年”として掲げていることを、

すでに10年やってきた」という指摘です。

内部にいると、それは日常であり、ルーティンに見えてしまう。
しかし外から見れば、それは明確な先進性であり、価値です。

この視点を、職員自身が自覚し、言葉にできる。
それは、単なる業務遂行者ではなく、

組織の思想を理解し、未来を共有している存在である証です。


人を見、場の空気を感じ取れる感性

西武信金理事長の講演についての記述も、非常に成熟しています。
事前の評価に流されることなく、
「参加者の熱量」
「話し手の気持ちの変化」
「時間超過の意味」
そこまでを含めて、一つの“場”として捉えている。

これは、数字だけを追っていては決して育たない感性です。
経営支援において、数字の奥にある人の感情や覚悟を感じ取れるか
それができるかどうかで、助言の質は大きく変わります。


謙虚さと素直さが、経営を支える

経営者プレゼンについての感想も、本質を突いていました。
関与の長短、年齢、立場ではなく、
謙虚さと素直さが、成長を分ける

これは経営者だけの話ではありません。
私たち会計事務所の職員自身にも、そのまま返ってくる言葉です。


これからの10年を担う覚悟

最後に記されていた
「ローカルベンチマークを活用した経営助言業務を、

これからは積極的に行うべき時代」
という一文。

これは、単なる感想ではなく、自らの役割宣言です。
30年の歴史を踏まえ、その先を見据えている。

よくぞ、ここまで成長してくれた。
そして、だからこそ、この先も必ず成長していくだろう。
私はそう感じています。


静かに、背中を押す

人は、急がせて育つものではありません。
環境と信頼があれば、自ら歩き始めます。

こうした職員がいる事務所であること。
そして、こうした職員とともに、経営者の未来を考えていること。

もし、
「数字だけでなく、人を見てくれる事務所と付き合いたい」
「本気で経営に向き合いたい」
そう感じてくださったなら、ぜひ一歩、関わってみてください。

30年の歴史の先には、
人が育ち、企業が育ち、地域が育つ未来があります。

私たちは、これからの30年を、ともにつくる仲間を歓迎しています。

 

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人の可能性は、決算書にまだ表れていない

今年最後の会議を終えました。
冒頭は恒例の『TKC基本講座』。

今回は「人の能力は無限大である」というテーマです。

テキストによると、人間は、自分の脳の2.3%程度しか使っていない
いわゆる天才と呼ばれる人でも、2.5%ほどだそうです。

──たった0.2%の差で、凡人と天才の差が生まれる。
本当にそんなことがあるのだろうか。

そんな問いから、会議は始まりました。

さらに言えば、
潜在意識の力は、顕在意識の2万倍から500万倍とも言われています。

もしそれが事実だとするなら、
誰の中にも、まだ使われていない「無限の力」が眠っているということになります。

経営者に伴走する私たちは、これらの言葉を信じられるか…

私たちの仕事は、数字を整えることだけではありません。
中小企業の経営者に伴走する存在であることです。

では、その伴走者である私たち自身が、
「人には無限の可能性がある」という言葉を
本気で信じているか

もし本気で信じられたなら、
経営者を見る目は、確実に変わるはずです。

 

・今は苦しんでいるが、まだ力が出きっていないだけ
・業績が伸び悩んでいるが、可能性が枯れたわけではない
・迷っているが、答えを生み出す力はすでに持っている

 

そう信じて関わるとき、
経営者の中の潜在意識が、静かに目を覚まし始めます。

無限性は、叱咤よりも「信頼」から引き出される

人は、否定され続けると力を閉ざします。
しかし、信じてもらえたとき、
驚くほどの力を発揮します。

 

会議では、私たちらしく、

「明るく、朗らかに、経営者の可能性を信じ切ろう!」
そんな語らいをしました。

私たちが放つ言葉、
私たちの表情、
私たちの姿勢そのものが、
経営者の未来に影響している。

そう考えると、この仕事の重みと同時に、
大きなやりがいを感じます。

まだ見えていない力が、必ずある

経営者の皆さまへ

今、思うような数字が出ていなくても、
自分の限界だと決める必要はありません。

まだ使っていない力がある。
まだ目覚めていない可能性がある。

私たちは、そう信じて伴走します。

2026年、
経営者の皆さまが発揮する「無限性」を、
私たちはすぐ隣で見届けたいと思います。

数字の先にある未来を、
一緒に切り拓いていきましょう。

 

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会計は、幸せになるための「力」だと改めて教えられました

先日、拙著『稼ぐ力は会計で決まる』(幻冬舎新書)について、
職員さんから感想をいただきました。

とても素直で、飾り気がなく、
「ああ、ちゃんと届いているんだな」と胸が温かくなる言葉でした。

その感想の中で特に印象的だったのは、
「自分だけでなく、これから読む娘にも会計力を身につけてほしい」
という想いです。

この一文に、私はこの本を書いた意味のすべてが詰まっているように感じました。


会計は、難しい知識ではなく「生きる力」

会計というと、
・数字が苦手
・専門家だけのもの
・経営者や税理士の世界
そう思われがちです。

けれど本当に伝えたかったのは、
会計は「特別な人のための技術」ではなく、
人生を自分で舵取りするための力だということでした。

・今、何が起きているのか
・この選択は、未来を良くするのか
・無理をしていないか
・守るべきものは何か

会計は、こうした問いに静かに答えてくれます。


親から子へ、上司から部下へ、受け渡されるもの

職員さんが「子にも読ませたい」と思ってくれたこと。
これは単なる読書のすすめではありません。

それは、
「幸せに生きるための道具を、そっと手渡したい」
という親心であり、願いです。

私たち大人が会計を学ぶ意味は、
自分が稼ぐためだけではありません。

・無理な挑戦をしない力
・危うさに気づく力
・続ける力
・守る力

それらを次の世代に残していくことこそ、
本当の「稼ぐ力」だと思うのです。


会計力を持つ人が増えれば、社会はもっと穏やかになる

会計力とは、
奪い合う力ではなく、
整える力です。

見栄を張らず、
足元を見つめ、
長く続く道を選ぶ。

そんな人が一人、また一人と増えていけば、
会社も、家庭も、社会も、
きっと今より少し穏やかになる。

今回の感想を通して、
「この本は、もう私の手を離れて歩き始めている」
そんな実感を持ちました。


皆が会計力を備え、幸せになるために

この本を読んでくれた職員さん。
これから読むお子さん。
そして、これから手に取ってくださる方々。

会計力を身につけることで、
人生の選択肢は増え、
不安は減り、
覚悟は静かに固まっていきます。

皆がそれぞれの場所で、
自分の人生と、会社と、家族を守れるように。

そんな願いを込めて、
これからも会計を語り続けていきたいと思います。

 

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『人から好かれる人間になる』

「閻魔(えんま)様が塩をなめたような顔して
人生に生きるよりは、

ちょっとやそっと人から
阿呆(あほう)と思われてもいいから、
もう少しニコニコした顔になりなさい、ねえ。

人としてこの世の中に生まれて
一番大切なことは、
人に嫌われる人間になるんでなく、
好かれる人間になることだよ。

どうだい、あなた方、
苦虫をつぶして、
へんてこな面してるやつのほうが
かわいいかい?

それとも、何かなし、
ニコニコしてるやつのほうがかわいいか、
どっちだ?


― 中村天風 ―  思想家 
            1876年7月20日 ‐ 1968年12月1日 

 

経営者という立場にいると、どうしても顔がこわばります。

数字、資金繰り、人の問題、将来への不安。
真剣に向き合えば向き合うほど、
知らず知らず「苦虫をつぶした顔」になっていく。

しかし天風氏は、はっきりと言う。
「一番大切なことは、好かれることだ」と。
これは決して「八方美人になれ」ということではあるまい。

経営とは、人に動いていただき成り立つもの。
その人は、理屈だけでは動かない。
「この人のためなら」と思えたとき、初めて力を出してくれる。

好かれる経営者は、空気をつくる。

社員が本音を言えるか。
金融機関が耳を傾けてくれるか。
取引先が一歩踏み込んで協力してくれるか。

その多くは、経営者の「表情」と「佇まい」で決まる。

眉間にしわを寄せ、
常に正論と数字を振りかざす人と、

多少不器用でも、
どこかニコッとしていて、
「一緒に考えよう」と言ってくれる人。

どちらと仕事をしたいか。答えは明白だ。

人は「正しい人」より「感じのいい人」についていく。

敬虔で学んだこと。

笑顔は、経営判断の質を上げる。
そして不思議なことに、
笑顔でいる経営者のほうが、判断を誤りにくい。

心がこわばっていると、
視野は狭くなり、「守り」か「攻撃」かの二択に陥りやすい。

ニコニコしていると、余白が生まれ、第三の選択肢が見えてくる。

今日、事務所に入るとき、
社員の前で、意識して口角を上げてみてみよう。
完璧でなくていい。少し阿呆と思われてもいい。

「この人のそばにいると、なんとなく安心する」
そう思われる経営者であること。

それが、数字にも、人にも、未来にも、
最後に効いてくる力になる。

「人から好かれる経営者であれ。」
天風氏の言葉は、静かに、そして力強く、語りかけている。 

 

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いつもお読みいただきありがとうございます。

 

― 経営マインド 329  ―


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出来合いを、ここまで美味しくする人がいる

出来合いのピザを前にして、
「そのまま焼く」という選択肢を、この友人は決して選ばない。

カマンベールチーズを丁寧に刻み、
まずはピザ全体にふんわりと振りまく。
これだけで、チーズの層に奥行きが生まれる。

その上に、アンチョビ。
主張しすぎない量なのに、焼き上がると一気に存在感を放つ名脇役だ。
塩気と旨味が、全体の輪郭をくっきりとさせてくれる。

オーブンから取り出した瞬間、
仕上げにフレッシュなバジルをさっと乗せる。
熱で立ち上る香りと、瑞々しい緑。
この一手間で、ピザは「料理」になる。

合わせるのは、微炭酸のイタリア産白ワイン。
泡が口の中を軽く洗い流し、
チーズのコクとアンチョビの余韻を、次の一口へとつないでくれる。

ちょっと贅沢な週末。
高価な食材があるわけでも、特別な技法があるわけでもない。
ただ、出来合いを出来合いで終わらせない姿勢があるだけだ。

何でも手作りしてしまう、食通の友人。
その料理にはいつも、「美味しくしたい」という純粋な意思が宿っている。

 

こういう一皿があるから、
週末は、少しだけ豊かになる。

 

今週もお読みいただきありがとうございました。

 

打つ前に、もうミスは始まっている

――坂田哲男氏の名言を、経営の現場へ

「打つ前にミスするな」

プロゴルファー坂田哲男氏のこの言葉は、

ゴルフの技術論であると同時に、

結果を出し続ける人間の思考法そのものだと感じます。

ミスは、インパクトの瞬間に起きるのではない。
もっと前、準備の段階ですでに始まっている

これは、経営にもそのまま当てはまります。


経営の失敗は「意思決定の前」に起きている

経営者のもとには、日々さまざまな判断が持ち込まれます。

  • 新規投資をするかどうか

  • 人を採用するか、配置転換するか

  • 借入を増やすか、守りに入るか

多くの経営者は、結果が出たあとにこう振り返ります。

「判断を間違えた」
「読みが甘かった」

しかし、本当にそうでしょうか。

実際には、

  • 数字の確認が甘かった

  • 前提条件を思い込みで決めていた

  • 忙しさを理由に、考える時間を省いていた

判断の“前”に、すでにミスは始まっていたケースがほとんどです。


プリショットルーティンがある経営者は、強い

ゴルフでは、一流の選手ほどルーティンを崩しません。

  • 必ず同じ手順で構える

  • 違和感があれば、必ずやり直す

  • 風、傾斜、ライを確認し直す

これを怠ると、どんな名手でもミスショットが出ます。

経営も同じです。

強い経営者には、無意識のうちに経営のルーティンがあります。

  • 数字を見る順番が決まっている

  • 決断前に必ず確認する項目がある

  • 感情と事実を切り分けて考える

逆に、調子を崩す会社ほど、

  • その場の雰囲気で決める

  • 「たぶん大丈夫だろう」で進める

  • 確認作業を省略する

つまり、打つ前にミスしているのです。


「違和感」を無視した経営は、必ず曲がる

ゴルフで、アドレスに違和感があるまま打つと、ほぼ間違いなく曲がります。

経営でも同じです。

  • この投資、少し無理をしていないか

  • この人事、本当に組織に合っているか

  • この数字、どこか引っかからないか

経営者が感じる小さな違和感は、
未来からの警告であることが少なくありません。

忙しさや勢いでそれを無視すると、
結果は必ず、あとから数字や人の問題として現れます。


経営とは「打つ前」を整える仕事

経営の本質は、派手な決断ではありません。

  • 事前に整える

  • 前提を疑う

  • 確認を怠らない

この地味な積み重ねが、
大きなミスを防ぎ、安定した成長を生みます。

会計も同じです。
決算書は「結果」ですが、
そこに至る前の判断と準備がすべてを決めています。


経営者の皆さまへ

もし最近、

  • 判断が重く感じる

  • 会社の流れが噛み合わない

  • 小さなミスが増えている

そう感じているなら、
「打ったあと」ではなく、打つ前を見直してみてください。

確認は足りているか。
ルーティンは崩れていないか。
違和感を無視していないか。

坂田哲男氏の言葉は、こう教えてくれます。

結果を変えたければ、準備を変えよ。
ミスを減らしたければ、打つ前を整えよ。

経営もまた、
一本一本のショットの積み重ねなのですから。

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

「会計は経営の智恵で進化してきた」

会計と経済の歴史を振り返ると、私はいつもこの言葉に行き着きます。
会計は、税金を計算するために生まれたものではありません。
生き残るため、成長するため、

次の一手を考えるために磨かれてきた――それが会計です。

ところが、日本の中小企業の多くは、会計に真正面から向き合っていません。
数字は見ている。決算書も受け取っている。
それでも、会計が「経営の鏡」になっていない会社があまりにも多い。

なぜでしょうか。

 

私は、会計事務所側にも大きな責任があると感じています。
帳簿を会社から取り上げ、記帳を代行し、
「あとは専門家に任せてください」と言い続けてきた。
その結果、会計は社長の手から静かに離れていきました。

会計は、
・事務になり
・税務になり
・専門家のものになった

そして、経営者の“思考の道具”ではなくなってしまったのです。

しかし、これからの時代は違います。

人口は減り、市場は縮み、社会環境は大きく揺れ、
いつ何が起きてもおかしくありません。

この時代に、会計力を持たない会社が生き残れるでしょうか。

 

売上が落ちたとき、どこを守り、どこを切るのか。

資金に余裕がある今、次の一手に打って出るのか、耐えるのか。

借りるべきか、返すべきか。事業を伸ばすのか、畳むのか。

これらはすべて、会計がなければ判断できない問いです。

 

ゆえに私は、会計とは、「過去を報告するためのもの」ではなく、
「未来を選ぶための言語」だと思っています。

だからこそ、社長自身が数字を“自分の言葉”で語れる会社は強い。

完璧な知識は必要ありません。
法人税の軽減税率の恩恵を受けきっているか。

自己資本比率はいくらか。
借入金限度比率を認識できているか。

この三つを理解し、説明できるだけで、
経営の景色は驚くほど変わります。

その上で、売上総利益は維持されているか、または上がっているか。

そこを注視していけば、経営は盤石へと進みます。

 

会計に向き合わない会社は、環境に流されるだけです。

会計に向き合う会社は、守る、攻める、やめる――
そのすべてを、自分で選べます。会計は、経営の足かせではありません。
経営者が自由になるための、最も強力な武器です。

 

これからの時代、会社の未来を他人に委ねないためにも、
ぜひ一度、会計を「取り戻す」ことから始めてみてください。

それが、中小企業が存続し、成長し、次の世代へ手渡していくための
最初の一歩だと、私は確信しています。

こんな指導をしてくれる会計事務所…恐らく殆どないでしょう。

今、あなたは最良のパートナーを目の前にしています。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

会計は「挑戦したい人」を助けるために生まれた

会計というと、どうしても
「守り」「ルール」「細かい数字」… 
そんな堅いイメージを持たれがちです。

けれど、少し歴史をひもとくと、まったく違う姿が見えてきます。

 

個人的に勝手に尊敬している田中靖浩さんの記事を読み解いてみましょう。
『戦略経営者』2025年12月号 3頁より

 

会計は、蒸気機関車から始まった

――減価償却と会計士誕生の物語(要約)

19世紀の英国。
画家ターナーが描いた疾走する蒸気機関車は、産業革命の象徴でした。しかしその裏で、鉄道会社の経営者たちは深刻な悩みを抱えていました。「巨額の初期投資をどうやって調達するか」という問題です。

船と違い、鉄道は線路・駅・車両・土地すべてを自前で用意しなければなりません。

結果、開業当初は赤字続きで、誰も株主になってくれませんでした。
この壁を突破するため、鉄道会社が生み出した“発明”こそが、減価償却でした。

減価償却とは、巨額の支出を一度に費用化せず、複数年に分けて計上する仕組みです。これにより、現金はなくても「帳簿上の利益」を生み、配当を出すことが可能になりました。
ここから会計は単なる「お金の出入り(収入−支出)」ではなく、「利益を計算する技術(収益−費用)」へと劇的に進化します。

しかし、この進化は新たな問題を生みました。
会計は一気に複雑化し、黒字なのに倒産する「黒字倒産」すら起こるようになったのです。
そこで登場したのが、会計の専門家=会計士でした。こうして英国で世界初の会計士が誕生します。

19世紀前半に活躍したイギリスの巨匠ターナーの絵には、蒸気機関車の前を必死に逃げる野うさぎが描かれています。
それは、機械のスピードに追われる未来の人間の姿――
ひいては、忙しさと複雑な数字に向き合う会計人の未来を暗示していたのかもしれません。

一言で言うと

鉄道会社の資金調達の苦悩が「減価償却」を生み、それが利益計算と会計士という職業を誕生させた――会計は産業革命の副産物である、という物語です。

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会計の歴史は面白いですね。2年前の経営革新セミナーでも、

この角度のテーマでお話ししました。会計があったから経済は発展し、

産業革命が起こったから会計は劇的に進化したのです。

寄せては返す波のように、経済と会計は相互に発展していきました。

資本主義が進めば進むほど、扱うお金の単位は人知を超えて大きくなります。

今の投資判断、経営判断が正しいのか。将来的に合っているのか。

会計というモノサシがなければ図ることもできなければ判断することもできません。

経済という煩悩は、会計という菩提によって発展を確実なものにしてきました。

ここら辺のドラマ。会計人が経営者に大感動でお伝えすべき指導の急所です。

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■ここからは、経営者のみなさんへ

19世紀の英国。
蒸気機関車が世界を変えようとしていた時代、

鉄道会社の経営者たちは頭を抱えていました。
線路、駅、車両――すべてを自前で整えるため、最初はどうしても赤字になる。
「この事業、面白いのは分かる。でも赤字では出資できない」
そう言われ続けたのです。そこで生まれたのが、減価償却でした。
支出を一気に負担せず、時間に分けて考える。
すると、挑戦の途中でも「利益」という形を示せるようになる。
会計は、挑戦を止めるためではなく、挑戦を続けるための工夫だったのです。

その結果、会計は複雑になり、専門家――会計士という仕事も生まれました。
しかし、すべての始まりは、「やってみたい」という事業家の思いでした。

会計は、過去を締めるための道具ではありません。
本来は、未来に向かってアクセルを踏む人を支える存在です。

 

数字に向き合う時間は、ときに苦しく感じるかもしれません。
それでも私たちは、数字の奥にある
『挑戦を続けたい経営者の意志』を忘れてはいけないのだと思います。

心の奥底に眠る挑戦する勇気。そこを呼び覚ましましょう。

そうすると、守りが固まらなければ攻めはできないことが見えてきます。

山下明宏税理士事務所は、そんな経営者に伴走します。

 

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未来創造企業と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか。

 

「中小企業の未来創造」というロマン。
私がまず思い描くのは、次の三つです。


①「生き残る」から「選ばれる」企業への進化

未来を創造するとは、規模拡大や売上至上主義ではありません。
・価格ではなく価値で選ばれる
・無理な成長ではなく続く成長
・社長が倒れたら終わり、という構造からの脱却

つまり、10年後も誇りをもって続いている会社をつくることです。


② 人が育ち、人が残る組織

中小企業の未来は、制度や補助金ではなく「人」にあります。
・指示待ちではなく、自ら考える社員
・離職率の低さではなく、定着と成長の両立
・「給料のため」から「意味のある仕事」へ

経営者の理念が、行動として組織に染み込んでいる会社
ここに未来があります。


③ 数字が“安心”を生む経営

未来創造に欠かせないのが、見える数字です。
・黒字かどうかではなく、なぜ黒字か
・借入があるかではなく、返せる構造か
・節税ではなく、意思決定に使える会計か

数字が不安を生まず、挑戦の後押しになる状態
これこそが中小企業の強さです。


最後に

中小企業の未来創造とは、
「小さくても、強く、誇り高く、自由に決断できる会社を増やすこと」

そしてそれは、
今日の一つの判断、
一人の社員への向き合い方、
一枚の決算書の読み方から始まります。

未来は、遠くにあるものではありません。
すでに、足元で創られています。

 

さあ、未来がここにあります。

未来創造企業 一緒に挑戦しませんか。

 

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NHK大河ドラマ「べらぼう」が、ついに最終回を迎えました。
日ごろ、ほとんどテレビを見る習慣がない私ですが、

この作品だけは例外でした。毎週、自然と放送時間を意識し、

物語の続きに心を預けていた一年でした。

何がここまで惹きつけたのか。
まず思い浮かぶのは、やはり脚本の力です。

キャストは申し分ありません。

誰もが「この人以外に考えられない」と思わせる、はまり役ばかりでした。

しかし、それ以上に際立っていたのが、森下佳子さんの脚本でした。

とにかくテンポがいい。
展開は速く、起伏は激しい。

それでいて決して雑ではなく、物語の章立てが明確で、

観る側が今どこを歩いているのかを見失わない。

しかも一年を通して、太い水脈のような主題がしっかりと流れ続けている。

この構成力は、並大抵のものではありません。

さらに唸らされたのは、その教養の深さです。
歴史的事実を丁寧に踏まえながら、

史料だけでは埋まらない「隙間」を、想像力と人間理解で見事につないでいく。

史実を壊すのではなく、史実を生かす創作。そのバランス感覚が、

作品全体に知的な緊張感を与えていました。

最終回は、これまで物語を彩ってきた登場人物たちが一堂に会し、

まるで祝祭のように踊る場面で幕を閉じました。
その光景を見ながら、

ふと山本周五郎の小説を読み終えたときの感覚を思い出しました。

人生の哀歓をすべて抱きしめたうえで、

静かに、しかし確かな余韻を残して終わる。

そんな日本的な物語の美しさが、そこにはありました。

世間でも「近年まれに見る完成度の大河」

「脚本の勝利」といった評価が多く聞かれますが、それも頷けます。

派手さよりも、人の営みを描く力。娯楽でありながら、

観る者の教養と感受性を信頼している作品でした。

一年間、このドラマとともに時代を旅できたことを、素直にありがたく思います。
良質な物語は、忙しない日常の中で、

私たちの思考を一段深いところへ連れて行ってくれる。
「べらぼう」は、まさにそんな作品でした。来年も観たいです。
江戸の物語で未来へ連れて行ってくれた森下さんに感謝♡。

 

すべては中小企業の「存続と成長と発展」のため!
いつもお読みいただきありがとうございます。