かつて「日本のハリウッド」と呼ばれた京都市右京区太秦の大映通り商店街で、
映画関係者らでにぎわった食堂「つたや」が29日で閉店する。
映画やテレビ時代劇の全盛期には多くの俳優や撮影スタッフらが「わが家」のように親しんだが、
撮影の減少とともに、80年余りの歴史に幕を下ろす。
「つたや」は、店を切り盛りする山本和子さん(81)の義父が1930年前後に開いた。
戦後の映画やテレビ時代劇の最盛期には、近くの撮影所関係者らが集い、
演出などについて熱く議論した。
俳優の津川雅彦さんは撮影所に向かう前にここで歯磨きや食事を済ませ、
テレビ時代劇「必殺」シリーズに出演した故藤田まことさんはよく座敷で
まげ姿のまま昼寝していた。
「必殺」では食事シーンで登場する料理を作ったことがあり、撮影に貢献。
多くの俳優のサイン色紙も残り、時代劇ファンに人気があった。
だが撮影所の閉鎖や時代劇の減少で次第に客が減り、約1年前に閉店を決めた。
今年に入ってから、閉店を知ったかつてのなじみ客や撮影所スタッフらが顔を見せ、
「もうお別れだけど、体に気をつけて元気にしてや」
と惜しんだという。
山本さんは、4月から長男明彦さん(57)らと長野県大町市でカフェを営む。
「この町を離れるのはさみしいけど、店を終える前に久しぶりに懐かしい顔にも再会できて、
よかった」
と話していた。
29日も午前11時から営業する。
閉店は通常午後7時だが、若干早める予定という。
【京都新聞】