2026/6/20
娘と一緒に早朝の新幹線に乗り込み、ディズニーランドへ遊びに行きました。
新幹線はこの週から運行を開始した、ディズニーシー25周年の記念車両。
元々は違う新幹線の予約をとっていたのですが、娘がランドに早く着きたいと希望するので、ならばこれになってみようとなりました。
ただ、この日はどの列車も予約は満席で、ディズニートレインも例外ではありませんでした。
残っていたのはグリーン車のみ。
それも、飛び石状に空席があるような状態でした。
通路を挟んでではありますが、8号車14番のB-Cが並びで空いていたので、そこにしました。
ディズニートレインについての笑い話は、また次の機会に書きますが、長々と前置きを書いて、ここからが本題なのです。
8号車に乗り込み、予約した座席まで行くと、窓側の席に先客の高齢の女性が座ってらっしゃいました。
質素な装いでありながら、見た瞬間にかなり上品なご婦人という形容が頭の中に浮かびました。
フットレストを利用し、伸ばした脚に膝掛けをしている足元にはキャリーバッグ。
重くて網棚に乗せられないのだろうと思い、挨拶の後に「良かったら上に乗せますよ」と話しかけました。
ご婦人は、何かの狭窄症を患い重いものが持ち上げられないのだが、上げれば今度は下ろせなくなるのでということを話され遠慮されました。
「どちらまで行かれますか?下ろすとこまでやりますよ」と話すと「東京までです」と。
「でしたら、僕と同じですね。じゃあ、あげますねー」となりました。
「それにしても混んでいますね」
「スポーツの大会でもあるのかしら?京都から大勢のラケットを持った人が乗ってきましたよ」というような会話をしながら打ち解けて行きました。
しばらくするとご婦人がうとうととし始めたので、僕は持ってきた本を読み始めました。
今回の本は、『好きよトウモロコシ』(中前結花著)
40-50ページ読んだところで、ご婦人が目を覚まして、再び話が弾みました。
今度は海外旅行の話。
パートナーが大学でロボットアームの研究をしており、ウイーンの学会へ出席するので同行されたそうです。
「私はホテルが良かったのだけど、夫が嫌がって、アパートを借りて現地で食材を、調達しながら過ごしました」
「夫がウイーン少年合唱団の公演を、予約してくれていて、初めはイヤイヤだったけどいってみたら素晴らしかったの。あれは、観光客相手では無くて、日常的に歌っているみたい」
などなど、お年を召して、足腰を悪くされてもなおバイタリティに溢れる気持ちの持ち主であることを感じました。
また、ところどころに「夫が、夫が」と仲の良さを感じる話も楽しかった。
そうこうしているうちに東京が近づき、不意にご婦人が「あなたは本がお好きですね。ウイーンで手に入れた栞があるので、良かったら差し上げます」とおっしゃるのです。
「え!いいんですか?でもこんな素敵なやつ」という僕に「私は本は読まないから」と。
イヤイヤ!ウイーンで栞を購入するくらいだもの、絶対読書好きだと思うけど・・・とは、思いましたが、それでも僕に栞をプレゼントしたいと思ってくださるお気持ちに甘えて、ありがたく頂きました。
「これどう使うのかしら?」と言うので、「磁石付きなので、こうですね」と、次に読み始めるページに挟んで見せて、改めてお礼をしているうちに東京に到着しました。
そしてお互いに「さようなら、お元気で」と挨拶をして別れました。
乗るつもりでなかったグリーン車に乗ったおかげで、素敵な出会いが起きたなーと、娘に話しながら京葉線のホームに向かいました。
この話は、ここで終わりのはずでした。
ところが、帰りの新幹線でのこと。
本を読もうとカバンから取り出した時「そうだ、行きにもらった栞を見せてあげるよ」と、ページをめくり栞を取り出し娘に見せました。
「いい栞だね」
どこでどんな出会いがあるかわからないものだねというような会話をした後、本に視線を落としました。
「ゴロゴロと足元をペットボトルが転げていく」という出だしは、『ミイラの朝』というタイトルで、手足を大怪我した著者が早朝の新幹線に乗っており、隣の人がそれを拾い上げてくれた場面で始まっていました。
以下、続きを本文から引用します。
「歩けんの?上に荷物置こうか?」
親切にも、網棚の上に置いてくれるという。
「どこまで?自分で下されへんかったら困るもんね」
「品川までです」
「そしたら、わたし東京まで乗るから下ろしてあげるわ」
そう言って、膨らんだわたしのカバンをひょいと棚へ上げてくれた。
(52ページ ミイラの朝)
「ちょっとここ読んでみて」慌てて娘に読ませ、2人で物凄いねと唸ったのでした。
この本は買ってから、旅行に持っていく機会が2度あったのですが、いずれもその旅の気分ではないと思い見送っていました。
今回ついに持って行ったわけですが、何かもうこうやってめぐり合う為に手にしたのではないかと思える出来事でした。
とても不思議で、思い出す旅に胸熱になる出来事でした。
パートナーの教授のお名前を書いておけばよかった。

















































































































