流星の絆 | もりぞーの  たそがれ街角Twilight

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うつうつなのになんとなくさわやかになる~脱力系ゆるトーク

今、午後TBS系でドラマ再放送SPをやっている。


「流星の絆」 


もう二年も前に大好評だった連ドラだ。ご存知の方も多いはず。


これが放映されたのが2008年の10月からの10週。



当時は僕もまだ一応リーマンしてて帰宅も遅く、またジャニーズに特に関心がないので当然ながら観ることはなかった。

が、今は仙人として暮らしているので毎日ワイドショーからドラマまで観たい放題だ。



たまたま先週第一回目の放送をチラと観てしまった。



おやと思った。原作は最近のミステリー小説の巨匠、東野圭吾。脚本はおなじみクド官。

で、一目見て「これはイケてる」と思った。第二話を観終わった瞬間、足がTUTAYAに向いた。でDVD全巻借りてきて一気に最終回まで通しでみてしまった。



なんでもこのドラマ・・原作と真相と流れはほぼ一緒らしいが計算されつくしたドラマの脚本はほぼおバカの集合体とその絡みの連続。それと毎回、周囲の特異な関係者の異常な行動をドラマ外伝としてオムニバス形式で紹介するオマケがついており、かつてないスタイルの視聴者サービスもうれしい特典だ。



ただし感じたのは原作のプロットが重厚で揺るぎないものであれば、どんな形に料理してもいい作品はできるのだなという事。キーワードは「詐欺師」・「復讐」・「兄妹愛」・「生き抜く事」、そして「ハヤシライス」だ。一杯のハヤシライスの味からこれだけのミステリーを構築するとは・・流行作家ってやっぱりすごい存在だと思う。


そしてキャスティングの妙。二宮和也、錦戸 亮、戸田恵梨香・・・いずれもピタリのはまり役だ。

そして物語の最後に明らかになる驚愕の真実。犯人はこいつだったのかぁ~と、大向こうをうならせるドンデン返しと、数々のおバカエピソード満載のストーリに反するように元来重く、哀しい原作のプリンシプルを要所要所で的確に配し、視聴者の心をわしづかみにする心憎いストーリー展開はすばらしい。



特に錦戸は上戸 彩と共演した「アテンションプリーズ」ですでにその独特の草食系キャラには一目おいていたし(今回は肉食系だが)、戸田恵梨香のたぐい稀な美貌とその演技力の凄みも知っていたのだけれど・・

この「流星の絆」で一番驚いたのは二宮の演技力だった。なんとなく脱力系キャラで軽くて茫洋としたイメージの男と思っていたがドラマを実際観て、その印象が吹き飛んだ。とくに弟、錦戸が時々発する信念なき甘い言い草に対し、突然ブチ切れて大声で叱咤する場面などは思わず息を呑む。



両親を惨殺され、孤児となった三人兄妹の長男として二人の兄妹を励まし鼓舞しながらも、まだ幼い自らの頼りなさを自覚していながら弟妹には弱さを決して見せず、復讐の一念に燃えてその鋭いカミソリのような頭脳を駆使し犯人を追い詰めていくプロセスにおいて、圧倒的な存在感を示した。



シンパシーを感じたのは彼が三人兄妹の長男であること。僕も実際そういう生まれの人間なのだ。


第何話か忘れたが、捜査も終わり養護施設にあずけられるその日、西日差し込む血糊もまだ乾かぬ狭い、だが思い出の部屋でまだ子供の二ノ宮扮する「有明功一」が弟と妹に形見分けをしてやるシーン。

そして刑事に促され乗った覆パトの後部座席で状況がよくわからずにキョトンとしている弟妹に顔をそむけて窓の外をみながら功一が声を出さずに激しく号泣するシーンは観ているこちらも頭がジーンと痺れた。おもわず涙が出た。

そしてエンディングテーマの「ORION」の圧倒的な歌唱力が胸を突く。


音譜泣いたのは・・僕だった・・汗

(しかし中島美嘉の歌は相変わらずピッチがあってない!微妙にフラット(♭)の方向に下がってる。不思議な歌手だ。)


事件に、弟妹達に強気で臨んでいた功一が言いたかったのは多分「本当に大声で泣きたいのは僕だ、僕なんだ」という叫びであったろう。ドラマとはいいながらそのシーンを観ながら深く身につまされた。自分にもかつてそんなことがあった。



そして思う。自分も今まで家族や友人、会社の仲間やバンド仲間等に対して二宮のように兄弟妹愛で大きく包み込むようなアプローチができていたろうか?自分のファミリーを守る為には恥も外聞もなく法の網もくぐり抜けてただひたすら強い責任感で強敵に立ち向かっていったことがあったろうか?そんな優しさや厳しさがあったか?



思えばあまりに情けない自分にたどり着いてしまう。本当に身につまされるドラマの展開だった。



そしてなにより格好よかったのがオープニングのタイトルバックだ。オープニング曲「Beautiful days」のサビでのたたみ掛けるようなドラムの激しいリズムに乗せベースがハイポジションでうなりをあげるあの高揚感。その曲にあわせ今は大人になった三兄弟妹と子供の頃の屈託のない三人の笑顔と楽しかった日々がシンクロして淡々と画面を次々とよぎっていくスピード感と誰もが抱くどこか懐かしい風景に胸が熱くなる。


そして復讐を誓った三人の鬼火をまとったような青く深い燐光につつまれたその立ち姿、たたずまいはなんとも哀しく切ないが、永遠にみずみずしい。


僕にとっては忘れられないドラマになった。




まあ、なんだかんだでどうも僕はナルシストでしょーもない。どう考えても入れ込みすぎた感はあるが・・・



ただ最後に、このドラマの登場人物で容姿性格共に自分に最も近いと感じたのは「妄想係長 高山 久伸」だったことを付け加えておこう。


ちょっとキモい・・・・・