野良ニャン族が激減中 & ナオミと云う女 &「痴人の愛」谷崎潤一郎 | KISHO director's blog

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人生のほとんどを広告マンとしての「食」に特化して考えてきた。愛食家として、これからは新しい観点で日本の「食」を考えていきたい。
もう一つ、人生とクラブライフ「ゴルフ」だ、太平洋クラブと富士カントリークラブの日常、箱根御殿場ライフを綴る。

 

今年の頭に、我が近所にペットの美容院ができた、看板一つだけで秘密裏っぽい・・・高貴なワン&ニャンの溜り場だ。

不思議にこのショップができると同時に、野良のニャン族も消えた・・・町内では都合のいい話。
誰でも知っている谷崎潤一郎の名作、お初で読ましてもらった・・・加山又造の表紙絵、さすがに名著、布陣が凄い。
大正文化ですが、先週読んだ漱石の作品とも絡んでいる・・・明治昭和とまさに日本文学の素晴らしさが詰まっている。
作品は複数の装丁あり)
独自の「悪魔主義的作風」が一気に頂点へ極まった傑作。新聞連載されるや、巷に「ナオミズム」という言葉を流行らせた。

きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちていく。性の倫理も恥じらいもない大胆な小悪魔が、生きるために身につけた超ショッキングなエロチシズムの世界。

ナオミを「偉くすること」と、「人形のように珍重すること」と、この二つが果して両立するものかどうか――?今から思うと馬鹿げた話ですけれど、彼女の愛に惑溺して眼が眩んでいた私には、そんな見易い道理さえ全く分らなかったのです。
「ナオミちゃん、遊びは遊び、勉強は勉強だよ。お前が偉くなってくれればまだまだ僕はいろいろな物を買って上げるよ」
と、私は口癖のように云いました。

その対象がいかなる女性に向けられるにしろ、谷崎が終生求めつづけたのは、魅惑と同時に禁忌の色であるところの「白」だったということである。そしていつの時期にあっても、谷崎が模索した「白」の象徴は時代の風俗とともにある。大正モダニズムの衣裳をまとったナオミの姿は、いまなお嫣然とわれわれにほほえみかけてくる。
 
ナオミ・・・今の世もいる女。
大正はモダニズムの嚆矢かな。