小説や話の作り方に「起承転結」という句があるが、この小説は「結」ありきで始まってくる・・・・松本清張の如何にも清張流の造りで構成となっている。一気どころか、病院の診察待ちでたちまち読ましてもらった・・・・読み物がないと、病院では困ってしまう道理がよーく分かる。
カイロプラテックに行っていることを病院に告げ、早期回復を要望した・・・・結果即にCTスキャンと採血、その結果、左股関節痛の原因がスキャンで判明した。激しい運動で傷めた筋スジに水が出来たと、普段は2cc程度が3ccになってしまっているという検診・・・・分かればもっと具体的な治し様があるというもの。
役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは出張先でのこと・・・・外出先で心臓麻痺、助けを求めて駆け込んだ化粧品店で息を引き取ったと。
ところが妻からは一度も聞いた事のない場所で、さらには、その死に方がどう考えても合点がいかない。浅井は自分の仕事の最中に探偵を使って調べ始めるが、そこには隠された妻の秘密がさらけ出されてきたのだった。
始まりから終いまでスラスラと読めてしまい、興味を本からはなさない面白さに満ちている。ただ最後のどんでん返しの「結」が物凄く当たり前過ぎで、いささかもガッカリ・・・・もう少し考えた方がと言ってしまう。もっともTV等にしたらこの程度でいいのかもしれないが、なんとか最後の1ページだけは書き替えて欲しい。
今時はどこにでもありそうな話。
「あなたの奥さんは大丈夫」・・・・と言いたくなる。